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困った女の子と困ったオッサン

これは10年前の日記
この文章に書いてある以外に
レポーターのチーフ的な人(30代後半のAさん)が
僕に対して信じられないような反抗的な態度をしていた。
ほぼそれが原因で僕はディレクターを引退したのだが、
つい最近になってそのレポーターが、
過去世で僕と同じ修道院にいたということがわかった。
事はそれほど複雑で根が深かったのだ。


今仕事をしている職場は、
僕(ディレクター)と、
カメラマンとレポーターの、
三人で現場を回すようになっている。

ディレクターとカメラマンは、
それぞれ一人ずつしかいないのだが、
レポーターは三人いて、
ローテーションで勤務している。

レポーターは三十代後半のAさんと、
二十代後半のBさんと、
二十代前半のCさんの三人である。

その二十代前半のCさんと、
カメラマンのオッサンの反りが合わなくて、
基本的には冷戦状態、
そして時々、内戦状態になる。

カメラマンのオッサンは五十代後半で、
良くも悪くも頑固ジジイである。
競艇場での仕事が長いので、
自分が一番競艇の事を知っていると自負しており、
僕にもレポーターにも、
威圧的に一人よがりな意見を押し付けてくる。

僕も、ディレクターという立場上、
カメラマンがディレクターに対して、
威圧的に指図をするというのはどうかと思って、
最初は自分の意見を言ったりもしていたのだが、
見事に「人の話を聞く」ということができない人で、
どんな意見に対しても、まったく根拠のない、
三段論法のようなゴリ押しの理屈で、
強引に自分の主張を通そうとしてくるので、
最後は小学生の口ゲンカのようになってしまい。
「お前の母ちゃんデベソ」と言われて、
ベソをかいたほうが負けという、
最低レベルの泥仕合にしかならないので、
僕は早い段階でそのリングから降りさせてもらって、
「はいはい、おっしゃる通りですね」と、
そのオッサンの言うことをなんでも聞くフリをしている。

プロのカメラマンとして評価するなら、
まず職場における礼儀がなっていないので0点だが、
素人のカメラ好きのオッサンと考えれば、
撮影などはそこそこできる方なので、
こういう素人のオッサンの相手をしてあげるというのも、
別の形での「仕事の経験」だと思ってやっている。

しかし、二十代前半のCさんには、
そこまで達観して受け止めることは無理なようで、
彼女は彼女なりの、初々しい一人よがりで、
オッサンと対立してしまうのだ。

それはそれで、三人それぞれにとって、
乗り越えなければならない試練なのだろうが、
Cさんとオッサンは基本的には冷戦状態なので、
控室で僕がCさんと二人でいる時はオッサン批判の話になり、
僕がオッサンと二人でいる時にはCさん批判の話になってしまうのだ。

僕は二人の言うことはそれぞれ是もあり非もあると思うので、
オッサンに対しては、
「そうですね、彼女そういうところありますよね」と言うし、
Cさんに対しては
「そうだよね、でもあのオッサン、人の話聞かないからね」
と答えて、適当に話を合わせて調停しているのだが、
これではまるで、鳥と動物が戦争した時の、
コウモリのようではないかと、
いたたまれない気持ちになることが時々ある。

最近レポーターのBさんが辞めてしまったため、
来月から新しいレポーターが入ってくるのだが、
さらにオッサンの下にも見習いのカメラマンが入るらしく、
しかもそのカメラマンは、見習いといっても、
年は五十代前半なのだそうだ。僕より年上だ。

そしてオッサンはすでに
「私は仕事に厳しい人間ですから、
新しい人に滅茶苦茶厳しく言うと思います。
あらかじめお断りしておきます。」
と、僕たちに、更に現場を戦場にすると宣言しているのだ。
単にそういうのが「好き」な人なんだと思う。

「仕事に厳しい」とか「ストイック」とかいうことと、
「ワアワア文句を言う」ということの
区別がついていないだけのようなのである。

本当に仕事に厳しくしたいなら、
まず職場における礼儀から勉強し直せと言いたいのだが、
この年齢までこうやって生きてきた人が、
今から考え方を変える可能性は低いと思っている。

9カ月も我慢してこの仕事を続け、
新しく部屋も借りたりして、
やっと自分のペースができはじめてきた矢先に、
新たな火種投入で、
今年も安寧とは程遠い一年になるかもしれない。

ちなみに僕はどっちの味方だと思いますか?
二十代前半の女の子と五十代後半のオッサン、
女の子のほうは結構巨乳です。
といっても僕は平等主義の人間なんで・・・・

これからもう10年経つ。今は熊本に移住し、
ディレクターとは全く関係のない仕事をしているが、
そして更に問題なことに、
熊本に移住して以降8年に渡って、
僕に嫌がらせを続けている、
奥さんの義妹がこの話のレポーターと同じ、
僕のいた修道院にいたことがあったという事実が発覚し、
これまで8年間我慢してきたことが
水泡に帰しもう我慢の限界になりつつある。
爆発しなければいいのだが・・・


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