保育園の園長をしていた時のこと

これは6年前の2015年に自分で設立した、個人の保育園の園長をしていた時に体験したことです。

「目に見えないコミュニケーション」

日々新しいことを体験しますね。
昨日は初めて自分が園長をやっている保育園で、
ある保育士さんのやり方について少し強い口調で注意しました。
あまりにもその方が
自分の勝手な思い込みで
トンチンカンな言動をするものだから、
ついに僕も少し自分の考えを言ってしまったんです。
ええ、言ってやりました。言っちゃった。

僕は保育士ではないので、
保育の現場でどうふるまうかについては、
基本的に保育士さんの意見を尊重して、
少しくらい僕の考えと違っても、
極力相手に従うようにしているんですが、
昨日は彼女のあまりのトンチンカンさに、
耐えきれずに言ってしまったんです。
具体的な内容は書けないので
わかりにくい表現で申し訳ありませんが。

以前にもある保育士さんのやり方に、
どうしてもついていけない部分があって、
そういうところをあらためてもらえないだろうかと、
園長としてメールで伝えたのですが、
その返事は「園長先生とは考え方が合わないので、
辞めさせてください」というものでした。

その保育士さんがお辞めになって、
今回の保育士さんが来たものですから、
今回もそうなっては困るから、
なるべく言わないようにしていたんですが、
ついに昨日は言ってしまいました。

子供たちって敏感ですね。
僕が普段、あまり強い感情を発しないものだから、
僕が思い切って保育士さんを注意した時、
一瞬園内に緊張した沈黙のような空気が、
ほんの一瞬ですが流れ、
すぐに通常の保育園に戻ったのですが、
その後明らかに子供たちの態度が変わりました。

どう変わったかというと、
子供たちがみんな、異常に、
僕の近くに集まるようになったんです。

それは明らかに前の日までとは違う行動で、
「なぜだろう?」と不思議になるくらいだったのですが、
そのことについて僕なりの推論をしてみました。

うまく表現できないのですが、
僕はその保育士さんがやっていることが、
どうもちょっと違うなと思っていて、
ついにちょっと強い口調で注意してしまったんですが、
子供たちも意識下で僕と同様に感じていたらしく、
結果的に僕が子供たちを守るような発言をしたものだから、
その発言を評価して、
子供たちが僕の周りに集まり、
僕を支持することを行動で表明してくれた、
というような感じの体験だったのです。

本当にうまく表現できませんし、
現場で自分が身をもって体験する感覚というのは、
自分だけの独特な体験なので、
誰かにわかってもらうというのは無理なのかもしれませんが、
明らかに子供たちが、
「園長先生に一票」
「僕も一票」という感じで、
僕の周りにハイハイして集まってきたり、
座っている僕の背中に、
ペトッとくっついてきたり、
しゃべれる子供は何回も
「園長先生~」と僕のことを呼んだり、
これまでになく支持してくれたのです。

そして僕は本当に子供たちのことを、
「かわいいな」と思ったり、
「もっと大切にしたいな」と思ったり、
嬉しくてたまらなかったりしたのですが、
そしてこうやって深夜に目が覚めて、
このことを書かずにはいられないのですが、
結局僕は自分で決意して、
自分で自分にこんな体験をさせたくて、
保育園を作ることにしたんだろうなあと思いました。

僕は脚本家であり、演出家でもあるので、
これを物語のプロットとして考えると、
お辞めになった保育士さんや、
今回新しく来た保育士さんは、
設定上必要な敵役というか、悪役のようなもので、
結局彼女たちのような存在がいるから、
その揺り返しとして子供たちからの支持や、
逆に僕を理解してくれる保育士さんの存在が、
どんなにありがたいことかがわかるという、
そういう設定になっているんですね。

まさに人生というのは、
きめ細かく計算され尽くした文様の織物のように、
縦の糸や横の糸や斜めの糸が、
複雑に絡まり合って、絶妙なバランスで成立しており、
マンガや映画や小説やドラマやアニメなどの物語は、
人生というのがそういう風にできているということを、
疑似体験させて、いつか自分がそういう体験をした時に、
その体験からプラスの何かを学び取れるように、
予行演習のシミュレーションとして存在しているんだろうか、
だから僕は物語というものを、
必要なもので大切なものと思っているのだろうか、
というような気になりましたね。

うまく伝わっているかな、
この文章は思いつくままにただ書いており、
読み返したり直したりせずに、
このまま投稿してみることにします。
とにかくありがとう。感謝しています。

これが6年前のこと、あの時のことは、
保育園の経営もあまりうまく行かなかったし、
季節も冬だったし、とても寒い思い出です。
保育士さんは何人もいましたが、
この時問題行動をしていた保育士さんが
どの人だったかも今は覚えていません。
でもこの文章を改めて読み返すと、
僕は貴重な経験をしていたんだなあと思います。
その経験を自分で自分にプレゼントしていたんだなあって。

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