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発酵あんこ、小豆と米麹

小豆と米麹で、あんこを作りました。

料理をするとき、レシピはもちろん知りたいですが、なぜ?と湧いた疑問のことも知りたいですよね。
今日のテーマは"発酵"なので疑問も湧き放題!
ということで仕組みと作り方の説明文です。
レシピのみ知りたい方は「手順とポイント」まで飛んでください。

1.微生物、酵素、発酵

目に見えない小さな生き物である微生物。
ウイルス、寄生虫、カビ、細菌、酵母、これらは全て微生物の仲間です。
微生物酵素をもっていて、これは、有機物を分解する働きがあります。
酵素の働きによりできたモノが、人間にとって有益なら発酵有害なら腐敗と呼びます。
微生物の存在を知る以前から、私たち人間は、役立つ菌を選んで食品を作ってきました。
日本酒、焼酎、みりん、酢、醤油、納豆、漬物、ワイン、ビール、パン、チーズ、ヨーグルトなどなど。
今回作るあんこは米麹で小豆を発酵させるものです。

米麹

2.麹菌

麹菌が記された最も古い書物が、奈良時代に書かれた『播磨国風土記』です。
「神さまにお供えした蒸米にカビが生えたので、それでお酒を作って献上した」(意訳)という記述があります。
この蒸した米に生えたカビ、その名もニホンコウジカビが麹菌です。
麹菌は菌糸を伸ばし、デンプンを糖に分解します。

3.小豆 粒子;大、アミロース;少

小豆のデンプンは、他の豆に比べてデンプンの粒子が大きく、加熱すると最も大きく膨らみます。
一般的にデンプンは、アミロースとアミロペクチンから構成されています。
小豆は粘度のある柔らかいこし餡が出来上がるのですが、これは、他の豆に比べてアミロペクチンが多く、アミロースが少ないためです。
アミロースが少ないと糊化開始温度が低くなり、糊状に加熱したときの粘度が大きくなります。
小豆、とりわけこし餡の、口どけのいい、サラッとした食感の秘密がアミロースにあったんですね。
今回は米麹のもつアミラーゼという酵素が、小豆のデンプンにかえる、糖化作用を利用します。

渋きりをしている小豆

4.手順とポイント

今回準備する材料はこちら。

小豆 200g
米麹 200g

小豆:米麹=1:1

5L程度の容量がある鍋、ザル、ボール、お玉、炊飯器もつかいます。

失敗しない為に気をつけるポイントは3つ。
❶60℃付近
❷8時間以上
❸2時間ごと

以上3点を作業順序とともに、見ていきます。

①小豆を洗う。
②鍋に小豆と3L程度の水をいれ、中火にかけ、沸騰させる。
③沸騰したら火をとめ、20分間、蓋をして蒸らす
④ザルにあげ、煮汁を捨てる。

↑ここまでを渋きりと呼びます。
小豆は浸水させなくて良いので、楽ですね。

⑤鍋に渋きりした小豆、小豆の5倍程の体積の水をいれ、中火で40分。
火を止め、30分間、蓋をして蒸らす

↑親指と人差し指で持って軽く潰せるまで柔らかくするのが目標です。
⑤では、適宜水を足して、たっぷりの水の中で小豆が泳いでいるのを目指しましょう!
④、⑥で火を止め、蓋をして蒸らすことで、ムラなく柔らかくなります。

⑦ボールに煮汁、ザルにゆで小豆を移す。

↑ここでポイント❶
60℃まで冷まします
蒸らし作業とザルにあげたことで小豆の温度は約60℃。
煮汁はボール→鍋→ボールに移すと60℃くらい。
麹菌が働く為には60℃付近を維持するのが重要です。
不安な方は、適宜、温度計を使いましょう。

⑧炊飯器にゆで小豆、米麹をいれ混ぜる。煮汁を加え、粒マスタードやタルタルソースくらいを目指して、しっとりさせる。
⑨炊飯器の蓋を開けたまま、保温機能をつかう。
濡れ布巾を被せて8時間から10時間
2時間おきに天地をひっくり返すように混ぜる。

↑ここでポイント❶❷❸。
発酵では温度管理が重要。今回は60℃をキープ!ですね。
麹菌は好気性、つまり働くのに酸素が必要。
2時間おきに混ぜて空気に触れさせましょう。
発酵は時間がかかります。
8時間以上かけてじっくり甘さが増していきます。

⑩完成。冷蔵保存1週間。

白い粒が米麹


5.まとめと参考

甘さは、市販のあんこ缶の6割くらいでしょうか。
小豆本来の風味も楽しめる優しい甘さが口に広がります。
これからの季節はシリコンの型にいれて凍らせると、小豆アイスとしても美味しくいただけます。
ぜひお試しを!

参考
マンガでわかる日本料理の常識 日本の食文化の原点となぜ?がひと目でわかる/誠文堂新光社
こどもの心と体の成長・発達によい食事 Ⅲ学童期・思春期/金芳堂
比翼鶴酒造株式会社 発酵の勉強
https://www.hiyokutsuru.co.jp/23136.html
かわしま屋 炊飯器を使った基本の発酵あんこの作り方
https://kawashima-ya.jp/contents/?p=53031
井村屋 あずきについて
https://www.imuraya.co.jp/azuki/study/denpun/

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