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定額減税のおさらい~愚策と思っても無駄にはしないで~

こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの道流と申します。

今月から定額減税が始まったことで多くの方の手取りが増えたのではないでしょうか。
そんな定額減税について「納税額が減って手取りが増えることはわかったけど、今後はどうなっていくんだろう?」という方へ向けて、今一度基礎をおさらいしていきましょう!

なお、こちらの記事は給与所得者に向けた説明となっている為、ご了承ください。




所得税と住民税、年間で合計4万円が減税される


定額減税は所得税と住民税の2つの税金の納税額が減る制度です。
物価高騰が続く中で、税金の納税額を減らし国民の負担を減らす目的があります。

減税額は1人あたり所得税が1万円、住民税が3万円の計4万円が年間で減税されます。
言い換えれば、年間で4万円の手取りが増えることになります。

定額減税の対象者

・日本国内に住所がある
・2024年分の所得税、住民税の納税者である(会社員、個人事業主、年金受給者)
・2023年の合計所得金額が1,805万円以下の納税義務者(給与所得のみであれば2,000万円以下)

さらに、納税者本人だけでなく扶養親族も対象者となり、被扶養者の人数分だけ減税額を増やすことができます。

例)扶養親族2人の場合

納税者本人4万円+扶養親族2人×4万円=12万円

低所得者で納税額が少ない、また扶養親族が多いことで減税額が納税額を上回り引ききれなくなった場合には、自治体へ申請することで「調整給付金」として現金を受け取れます(超重要!)

調整給付金については山田真哉さんの解説動画が非常にわかりやすいので、給付金について気になる方はぜひ参考にしてみてください!


所得税の減税方法


減税方法は所得税と住民税で異なります。

所得税は3万円を12か月にかけて均等に減税するのではなく、6月以降の給与及び賞与から3万円まとめて控除されます。
6月の納税額が3万円に満たない場合は7月に繰り越され、3万円に達するまで順次控除されます。

例)納税額が月額6,000円(7月に賞与がありプラス1万円)の場合

6月……0円(残額2万4,000円)
7月……0円(残額8,000円)
8月……0円(残額2,000円)
9月……4,000円(残額0円)
10月……6,000円(減税が終わり元に戻る)

このように減税額が3万円に達し次第、再び所得税の納税義務が発生します。


住民税の減税方法


住民税の減税額は1万円でしたね。
住民税は前年の所得を基に6月~翌年5月の12か月にかけて納税しますが、本年の6月の支払いに関しては一律で0円になります。

これは6月の支払いが免除されたわけではなく、本来12か月かけて払う金額から1万円引いた金額を11か月かけて支払うのです。
ここが複雑なんですよね……!

例)住民税額が年間12万円の場合

従来の納税額
12万円÷12か月=月額1万円

本年の納税額
6月……0円
7月以降……(12万円-1万円)÷11か月=月額1万円

ただし、11月で納めるという関係上、従来よりも月の納税額が増える場合もあります。

例)住民税額が24万円の場合

従来の納税額
24万円÷12か月=月額2万円

本年の納税額(7月以降)
(24万円-1万円)÷11か月=月額約2万1,000円

このように人によっては7月以降は手取りがむしろ減るというバグが発生するためご注意です……!

ちなみに本年から新たに「森林環境税」という税金がしれっと追加され年間1,000円の納税義務が発生していますが、それはまた別の話……。


効果が一番実感できるのは6月だけ


年間で4万円と言っても、毎月均等に手取りが増えるわけではないということがわかりましたね。
所得税は6月の納税額が3万円を超えない限りは0円、住民税も一律で0円になるため、6月が最も手取りが増える計算になります。

年間を通して6月と同じ金額が減税されるわけではないため、調子に乗って散財しないようにしましょうね!


定額減税でお金の使い方を改めてみましょう!


定額減税に関して調べていると各所でこのような声が溢れていました。

・年間4万円程度では物価高に全く追いついていない
・制度が複雑でわかりづらい。なぜ一律給付にしないのか
・保険料や消費税の方をどうにかしてほしい
・全く意味のない愚策だ

こういったご意見はもっともですし、本年限りであるならば焼け石に水も良い所だと思います。
しかし、それはそれとして4万円という金額自体を蔑ろにしてしまうのは少しもったいないですよね。

一時的にでも手取りが増えているのに「こんな制度あってもなくても変わらないだろ」と決めつけていつもと変わらない使い方をしては、貯まるお金も貯まらなくなっちゃいますね。

私は定額減税は手取りが増えることそのものよりも自分の支出を見直してみたり、お金について勉強する機会になることが一番のメリットなのではないかと思っています。
せっかくの減税額を無駄にしないためにも、今回だけでもご自身のお金について考えてみてはいかがでしょうか!

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