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水引の歴史①

水引とはなんなんだ

水引を広辞苑で引く。

『進物用の包紙などを結ぶのに用いる紙糸。細い紙縒(こより)に水糊を引いて乾し固めたもの。多くは数条をあわせて、中央から染分けにしたもので、普通、祝事・進物用には紅白・金銀・金赤などを用い、凶事には白・藍白・黒白などを用いる。』
ウェディングフェアでみたものはこのことだろう。

水引とは、正しい定義としては素材のことを指すらしい。
そして水引の用途として真っ先に思いつくのは、ご祝儀袋である。
コンビニでもご祝儀袋は買える。なんとも豪華な水引で飾られている全く同じご祝儀袋が何個も重なる光景を、友人の結婚式で受付をした際に目にした。

(写真は近所のクリエイトで売られているご祝儀袋やお香典袋たち。)


そしてその水引を使用したグッズは、意外にも少なくない。
試しにハンドメイト販売サイトCreemaで”水引”と検索してみると、7575件もヒットした。(2019年2月時点)
水引素材そのものから、水引を使用したアクセサリー、置物、水引をモチーフにしたハンコなど、多岐にわたる。
検索結果の半分以上である4371件がアクセサリーであり、元々の用途であった贈り物への使用は少ないと感じる。
例えば、ご祝儀袋で絞り込むとなんとアクセサリーの約10分の1である455件ぽっちになってしまった。
(同じように楽天市場で”水引”を検索してみたが、素材ジャンルを除くと検索結果1位はジュエリー・アクセサリーだった。)

どうやら現代の水引は進物を結ぶためというよりも、完全なる装飾品として認識され始めているみたいだ。

では昔はどうだったのだろうか?
いつから水引はあるのだろうか?
水引の歴史を探索してみたい。

有識故実大辞典(約2万円、図書館では貸出禁止の大辞典である)によりと、水引が使われだしたのは室町時代ごろだという。

長野県飯田市にある水引や和紙を製作販売している飯田水引協同組合のホームページには、以下のように記載されている。

飛鳥時代、607年から派遣された遣隋使の時代、帰朝の折に随伴した答礼使が、帝に差し上げる献上品に、麻紐の赤白で染めたものが結んであったのが水引のはじまり、とも考えられています。

飛鳥時代に随より伝わった贈り物に赤と白色の紐をかけるという習わしが、700年ほどの間にじわじわと確立していったと考えられる。

奈良時代に日本における水引が考案され、平安時代には水引を色で染めて“水が流れるように風流に”綴るようになったという。室町時代には武家流の礼儀作法が伊勢家や小笠原家によって確立され、それはそのまま伊勢流、小笠原流の飾り結びの流派になりました。江戸時代中期に伊勢貞丈によって『包結の記』がまとめられ、水引や進物を包む紙の折り方だけでその内容や送り主の気持ちが分かるほどの規則が掲載されたのです。 (出典:にほんのかたちをよむ事典』)

この水引の歴史を和紙普及の歴史と比較してみると、面白いほどに重なりことに気づきました。
次回の水引ジャーニーは、紙の普及との重なりをじっくり見ていきたいと思います。

■参考文献
鈴木敬三(1995).有識故実大辞典.吉川弘文館
形の文化会 (2011).にほんのかたちをよむ事典.工作舎
株式会社竹尾(最終閲覧日:2019年5月19日)
http://www.takeo.co.jp/finder/paperhistory/



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