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初霜まで2ヶ月待て! 72侯再探訪

72候が農民の暦として活用されていた時代から、現代の気候とのズレや残された文化を再発見+深掘りしています。

72候とは?はこちらの記事を参照にしてください。

10月23日からは、霜始降(しもはじめてふる)。わかりやすい。霜がはじめておりるころなんですね。

霜、降る気配なし?

霜は、夜から朝にかけて急激に気温がさがるときに、空気中の水蒸気が冷えて結晶になったものです。霜が降りるようになると、地面のあたりは氷点下まで下がっています。

72候ではそろそろみたいだけど...実際はどうなのでしょうか?関東に住む私たちは今月、急に真夏が戻ってきたかのような暑さを体験しました。絶対に近々霜がおりる予感はしません。いや、でも昨日今日は急に冬直前みたいだ...。うーん、いったい、初霜はいつくるのだろう?

各地の初霜の日を調べてみる

過去30年間の東京での初霜の平年値が気象庁のホームページにのっていました(2021.10.14)

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平均すると12月23日が初霜の日だったようです。全然まだまだではないか…!

福島気象台のホームページでは統計開始の1890年からの、最早と最晩がのっていました(2021.10.14)。

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最も早い初霜は1938年の10月9日。この72候の時期に近いです。そして最も遅かったのは2015年の11月30日。ちなみに去年は11月22日。72候のころより大体1ヶ月遅くなっています。

関西方面からなんとなく、岡山県のデータをみてみました(2021.10.14)。

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最も早い初霜は1957年の10月19日、まさに72候の時期。最も遅いのが2007年の1月7日でした。年を跨いでいるのには驚きました。2020年は12月15日です。東京より1ヶ月ほど遅く、1957年からは2ヶ月近く遅くなっています。

熊本は霜、おりるのでしょうか?熊本地方気象台のデータを見てみます。

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やはり1891年に統計開始、最も早かったのは1927年の10月15日。やっぱり今くらいの時期。最も遅かったのが2015年の12月17日で去年の岡山と同じくらいです。2020年は12月1日でした。

3ヶ所見ただけですが、だいたい50年前は各地でも72候のころと同じような10月の半ばに初霜を観測していることがわかりました。福島でも熊本でも似たような時期なことに驚きました。

最近ではどこでも12月近くなってから、ときには年を越してからのこともあるようです。

以上のことをまとめるとこうなります

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平均気温もあがっている

ここで今ご紹介した各地の10月の平均気温を、1930年と2020年で比べてみました。

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霜に関係するのは朝がたの一番寒い時間帯(他にも晴れているか、風があるかなど細かい要件はありますが今回はおいておきましょう)。
福島、東京、岡山、熊本で調べたところ72候の時期に初霜がおりていた1930年から、去年までに最低気温は1.8〜3.5°上昇していました。

地球温暖化の影響だと思われますが、最近の気候変動のニュースを見るかぎり、初霜の日が10月半ばに戻ることはこの先あまりなさそう…。

72候の暦を参考にして農作業をする時代はとうに終わりましたが、言葉を楽しんだり、季節の目安にすることはできます。しかしその暦は確実にずれ始めているようです。新しい暦を作る必要はありませんが、そのズレからなにかを学ぶことはできるでしょう。

いずれにせよ、霜を見るならあと2ヶ月待つ必要がありそうです。

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