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pixivFANBOXの支援が基盤に。マシーナリーとも子が活動できる理由

思い立って48時間でVTuberになり、インターネットでさまざまなコンテンツを発信して活躍するマシーナリーとも子さん。

活動を始めてすぐにファンが付き、pixivFANBOXで継続的に支援してもらえたことで、クリエイティブ活動に集中することができたそうです。

一人の無名クリエイターがファンから強く応援される存在になるまでのお話を、インタビューで伺いました。

マシーナリーとも子
2045年から来た殺人サイボーグ。2018年に『アイドルマスターシンデレラガールズ』の池袋晶葉ちゃんを応援するためVTuberデビュー。その後もライティング、イラスト、マンガ、作曲など幅広く活動。いまもっとも前からいるけど具体的になにをしているのかよくわからないと評価されるVTuberのひとり。

担当アイドルを応援するためにVTuberとして受肉

ーーマシーナリーとも子さんはVTuberとして、ご自身の動画、コラムやインタビュー記事、イラスト、漫画など幅広いコンテンツを作って活動されています。

とも子:最近だと「ジャンプルーキー!」で『スシシスターハンター』というヴァンパイアハンターの寿司職人の漫画を自主連載しているんですが、この作品がルーキー賞の最終候補になり、「少年ジャンプ+」の編集さんに担当についてもらえました。

*集英社で担当編集さんと初めて会ったとき、「なんでVTuberがこんなところにいるんですか」と言われたそうです*

ーー担当編集さんがついたんですね、すごい。改めて、マシーナリーとも子の活動を始めたきっかけを伺ってもいいですか?

とも子:VTuberとしてのマシーナリーとも子は「アイドルマスターシンデレラガールズ」(デレマス)に登場する池袋晶葉ちゃんというアイドルを応援するために始めたんです。

デレマスでは毎年アイドルの総選挙が行われ、上位に入賞したアイドルに新規の楽曲や、それに伴ったボイスの実装などが行われます。

しかし、池袋晶葉ちゃんの票数が思うように伸びず、どうすればもっと多くの人に投票してもらえるか考え、VTuberになればいいんじゃないかと思ったんです。

もうSNSや同人活動を通しての拡張は難しそうだと思ったので、全然関係ない活動を通して広めたほうがアイマスやってない人に興味をもってもらえるんじゃないかと思って。新規開拓営業ですね。

ーー布教活動のためだったんですね。

とも子:もうデレマスをやってる人はすでに担当アイドルが決まってる人がほとんどでしょうしね……。

池袋晶葉ちゃんはデレマスが始まってから1年目に実装されたアイドルなんですが、イベントを完走するともらえる系で、私が初めて手に入れたSレアだったんですよね。

当時はソーシャルゲームを始めたばかりでガチャを回すのにも抵抗があったんで、ほかの子を持ってなくて。

最初は単に戦力として採用していたんですけど、プレイするうちにこの子めちゃくちゃ可愛いなと思うようになって、それから9年くらい応援し続けています。

ただ、毎年の総選挙で上位に入れないのでいまだに声や曲が実装されず、作中での出番も少ないので、こうして布教活動を行っているわけです。

ここ10年くらいの私の活動は、全て池袋晶葉ちゃんを中心に回っている感じですね。

ーー情熱がすごい。応援のためとはいえ、VTuberになるってなかなか大変そうなものですが…。

とも子:過去にブログでまとめたこともありますし、書籍(編注:『スマホだけでもOK! VTuberのはじめかた』)にもなっているんですが、すぐにバーチャル化できましたよ。

当時は会社勤めをしていたんですが、仕事の合間に1時間くらいでキャラクターデザインをして、ゼロからLive2Dの勉強をして、思いついた2日後にはYouTubeに動画をアップしました。

*「マシーナリーとも子」のデザイン。夜にふとVTuber活動を思い立ち、翌朝の出勤前に1時間ほどで完成させたそうです*

*動く「マシーナリーとも子」*

*着想から2日後にはアップされた「マシーナリーとも子 第一話」*

ーースピード感がすごすぎる…。

とも子:自分は飽き性なので、思いついてすぐに手をつけなかったらやる気がなくなっちゃうと思って、急いで完成させました。

クオリティを上げるのは後からでいいと思って、まずはVTuberマシーナリーとも子を始めることを何より優先したんです。まあ別にいまもクオリティ上げてないんですけど……。

pixivFANBOXの支援が活動資金になった

ーーVTuberデビュー後は、どうやって活動の幅を広げていったのでしょうか。

とも子:YouTubeの動画というより、48時間でVTuberになるまでをまとめたブログが伸びたので、まずそれで認知してもらえたんですよね。確か10万PVくらい行きました。

動画に関しては、最初の頃は週2〜4本くらいのペースで出していましたね。今は更新が重くなっちゃって、月2本くらいのペースになっちゃっているので、もうちょっと増やしたいと思っているんですが…。

*オリジナルのVTuberをたくさん作ったら更新が重くなってしまったらしいです*

ーーVTuber活動を始めたときは会社員だったそうですが、今も働きながら活動されているんですか?

とも子:実はVTuber活動を始めてすぐ、一度は仕事を辞めたんです。仕事とマシーナリーとも子の活動を両立するのが大変だったので。

その後、一度は再就職したんですけど、やっぱり組織で働くのは合わないなと気づいてその会社も辞め、しばらくはバイトをしながらマシーナリーとも子の活動をしていました。

いまはそのバイトもやめてマシーナリーとも子一本ですね。

ーー最初はライターとしての仕事をよくされていたイメージがあります。

とも子:元々、雑誌の編集をやっていて、編集といいつつ自分で取材をして原稿も書きまくっていたので、自営業になってからの仕事にも役立ちました。

友だちの紹介でねとらぼさんでインタビュー記事やコラムを書かせてもらったり、ピクシブさんとお仕事させてもらったりもしましたね。

ーーいきなりVTuberになって、ファンが少ないうちは活動資金を集めるのが大変に思いますが、収入としては書き仕事の割合が大きかったんでしょうか。

とも子:そうですね、退職してしばらくは書き仕事の収入が多かったです。私みたいな活動の仕方だとYouTubeの収入はお小遣い程度の金額にしかならないので。

ただ、VTuberとして活動し始めて割とすぐにpixivFANBOXで毎月5万円くらい支援してもらえるようになり、それがかなり大きかったです。

*マシーナリーとも子さんのpixivFANBOXトップ*

とも子:これはピクシブの人から言われたことなんですが、プランは下手に安くしない方がいいそうです。

基本的にお金を出す人か出さない人の2種類しかいないから、100円とかではなく、500円とか1,000円のプランを作る方がいいよ、と。

それで、1,000円以上で読める漫画や小説の先読みコンテンツを作ってみたら、たくさん支援してもらえるようになり、生活がかなり楽になりました。

今では、頑張ればFANBOXだけで生活できなくもない、くらいの額を支援してもらえています。

ーーすごく実践的な知見ですね。そういった活動を支援してくれるファンの方たちって、どういう風に付いていったんですか?

とも子:なんなんでしょうね。

ブログが伸びたときに認知はしてもらえたのと、マシーナリーとも子を始めたときってVTuberはすでに話題だったけどまだ数が少なかった、これから増え始めるところだぞって段階だったので、珍しがってもらえたのはあるかもしれません。

当時は月ノ美兎さんやミライアカリさんが生まれて少し経ったくらいの時期だったんです。

いまじゃあまり言わないですけど当時は2018年春あたりにVTuber結構増えたよねみたいな話をけっこう耳にした記憶がうっすらありますね。

いわゆる「四天王」みたいな潮流が起こったのが'17年末とかそのへんだったので……。

余談ですが、マシーナリーとも子は月ノ美兎さんと日雇礼子さんにインスパイアされて生まれた節があります。

ーーファンの人に見つけてもらうためにやったことはありますか?

とも子:むしろそこはいまでも課題で、我ながら弱いなと常に思っていました。

今思えば、ライターとしていろいろなメディアに顔を出していたのはあるかもしれないですが、それだけで支援してもらえるかといえば、結構難しそうですよね。

ーー認知されることと、応援してもらうことは別ですよね。

とも子:正直、どうすれば支援してもらえるのかはわからないです。

ただ、FANBOXとかの支援サービスってエッチな絵の差分とかがメインストリームだと思うんですが、私が支援をする側のときは、何かコンテンツを見たいというよりは、波長が合う人を支援することが多いですね。

ーー波長が合う人ですか。

とも子:その人のことを活動内容が好きになれて、自分が支援しないと死んじゃいそうだったり、活動を続けてほしいと思ったりしたときに支援することが多いです。

多分、限定コンテンツを見るためだけというかサブスク的感覚でお金を払おうとするとこういうサービスって高く感じるんですよね。

私にずっと高額の支援をしてくれている人がいるんですが、以前、「あなたがFANBOXの収入で寿司を食べたくなるのは正しい。私はそのために支援している」と言ってくれたんです。

私も同じように、FANBOXに限らず、誰かを支援するときはあまり見返りのことを考えていないなと思います。ゆかいに生きてくれる糧にしてくれりゃそれでいいと。

ーーすごく良いエピソードですね。マシーナリーとも子さんは素の自分として発信されている印象があって、そういった部分から人柄が伝わっているのが、応援される理由かもしれません。

とも子:私の場合は演じるのが苦手なので、VTuberを始めたときに自分をそのまま出すと決めたんです。

バーチャル空間に住んでるんで……とか言い出しちゃうとすぐボロが出そうなので、素直に池袋に住んでるって言ってますし。

インターネットを長くやっていて、すでに多くの人とつながっていたというのもあるかもしれません。

けっこう今でもむかぁ~しオフ会で出会ったのがきっかけの人がどっかの企業で企画動かすようになってて、そこからお仕事もらうみたいな機会もあったりするんで……。

昔はTwitterって界隈もすごく狭かったのでそういう出会いが多かったんですよね。さっき話したジャンプの編集さんもフォロワーのフォロワーだったりしたんで。

応援してもらえるような発信を狙ってできればすごいですが、そういう話でもないと思うので、とにかくFANBOXのようなサービスはやらないよりはやった方が助けてもらえることもある、くらいに考えています。

マシーナリーとも子は池袋晶葉化し始めている

ーー池袋晶葉ちゃんの票田を増やすために始まったマシーナリーとも子というプロジェクトですが、将来的にはどのような活動を想定しているのでしょう?

とも子:これまで通り池袋晶葉ちゃんが総選挙で上位に入るための活動を続けつつ、漫画などのオリジナル作品も頑張っていきたいですね。

ーーやっぱり漫画は力を入れていくんですね。

とも子:ハンバーザム(編注:『ハンバーガーちゃん絵日記』など作者・ハンバーガーさんとマシーナリーとも子さんの同人ユニット)としての同人活動では、私がネームを描いてハンバーガーに作画してもらうスタイルだったんですが、自分で絵が描けないと人に描いてもらうのも難しいと気づいて、一人で描く練習を始めたんです。

そしたら割と楽しくなってきまして……。マンガって今Twitterとかだといちばん伝える力が強いと思いますしね。

それに、絵がめちゃくちゃ上手くなったら、「何でそんなに上手くなったの?」と聞かれたときに、「池袋晶葉ちゃんの絵を描きまくったからだよ」と布教につなげられますからね。

ーー(布教の流れが強引すぎる)

とも子:ただ、『スシシスターハンター』を頑張っているのは、ジャンプルーキー!で連載争奪ランキングのトップになると正式な連載になり、原稿料がもらえるからなんですよね。

漫画を読んでもらえるのはもちろん嬉しいですが、それでだけでなく、ちゃんと食い扶持にできるといいなと考えています。

漫画以外にもやりたいことはたくさんあって、いずれアイマスと公式にコラボするのは夢だし、他にも「コロコロコミック」に出て子どもにウケたいなとかも夢見てますし、ほかにもプラモデルやオモチャになりたかったりといった野望がいろいろあります。

ーー野望がいっぱいだ。

とも子:コトブキヤさんが美少女プラモデルにすごい力を入れているので、いつかマシーナリーとも子をプラモデルにしてくれないかなと思っています。

もしかしたらこの記事もコトブキヤさんの誰かが読んでくれるかもしれないので「いつでも受けれるしレスポンスは早いです」と書いておいてくれると嬉しいです。

ーーしっかり書いておきますね。

とも子:あと最後に、最近のマシーナリーとも子の活動を通して、池袋晶葉ちゃんと同じような気持ちになってきている話をしたくて。

ーーどういうことでしょう?

とも子:池袋晶葉ちゃんはロボットを作る趣味があって、ロボットのテストをしていたところをプロデューサーにスカウトされてアイドル活動を始める子なんです。

彼女はアイドルとして有名になることで自分の発明を広めたいという、ある意味での下心からアイドルになるわけなんですが、次第にロボットだけでなくアイドルの仕事も好きになっていくんですよ。

私も同じで、最初は池袋晶葉ちゃんを布教するためにVTuberを始めたわけですが、今はマシーナリーとも子として活動すること自体が好きで、楽しくなっているんです。

マシーナリーとも子のコンテンツを楽しんでくれる人がいるのがすごく嬉しいし、見てくれる人を増やしていきたいと考えているので、今後は今以上に活動の幅を広げていけるといいなと思っています。

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池袋晶葉ちゃんの紹介ページはこちら。
https://poplinks.idolmaster-official.jp/idol/detail.php?ch=4wwtc2nf

マシーナリーとも子さんのpixivFANBOXはこちら。
https://tomoko.fanbox.cc/

マシーナリーとも子さんのYouTubeチャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UC6EAioKr8JTYVXk54i7-J5w

マシーナリーとも子さんのWikiはこちら。
https://wikiwiki.jp/mashitomo/

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