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ドタバタ米国留学記 #6 買い物へ行く

念願叶って24歳でロサンゼルスの語学学校へ留学するものの、出発したその日から「ろくに準備もせず出国してしまったことを大いに後悔する」っていう、先が思いやられる衝撃のはじまりからの、英語まみれの授業、寮での生活、クセのある人々など、たった16週間に起きたおもしろエピソードをたっぷりと綴ります。


買い物に出かける

生活のリズムがつかめてくると、学校の授業や寮の暮らしに必要なものというのがわかってきます。
ちょっとしたものを買いに町へ出ると、またそれが新鮮で楽しいもので、放課後の楽しみにもなるわけです。
学校の近くには小さいお店が立ち並ぶ所があり、そこには書店、映画館、古着店、カフェ、レストラン、バーなど結構色々ありましてね。
なかでもよく利用してたのが『99¢ shop』。
日本でいう100円ショップで、日用雑貨や文具なんかはここで調達することが多かったです。その他、ちょっとした食べ物も売っているのですごく便利でした。
ただ、ノート類は紙質が悪くペラッペラだったので、日本から持って行ったものを使いましたけど。
ある程度は日本から持って行ったんですけど、現地に行ってから必要なものを把握して買い足すつもりでいたので、こういったお手頃ショップが近所にあるのはとても助かりました。

生活にちょっぴり慣れてくると少しずつ行動範囲が広がっていき、町では売っていないものを探しに路線バスに乗ってショッピングモールへ行く、なんてこともするようになります。

大学のすぐ前のバス停からモール行きのバスが出ている、っていうので、友達と行くことにしました。
っていうか、乗り方がわからないので一緒に行ってもらったんですけどね。
それが、日本人の友達「ナオ」。
ワタシはバスに乗るのがはじめてだったので、彼女にいろいろ教えてもらいます。

路線バスに乗るにはトークン (こういうコイン ↓) が必要で、まずそれを手に入れないといけません。

スーパーにあるカスタマーサービス的なところで販売しているので、出発前に購入しておきます。
トークンは、日本でいう回数券みたいなものです。
回数券って「10枚綴り+1枚オマケ」で売ってましたけど、トークンもそれと同じで、10枚の値段で11枚 (12枚だったかな?) 入っていてお得感がありました 。

で、ショッピングモールへ出発です。
バスは先払いなので、乗車時にトークンを機械に入れればOK。
終点がショッピングモールなので到着したらそのまま降ります。

この時は、普段使いのサンダルを買いに行きました。日本からは、スニーカーしか持って行っていなかっなので。
そこで見つけたのが、SKECHERS (スケッチャーズ) のサンダルです。
今でこそ当たり前に目にするメーカーですが、この頃はまだ日本ではあまり無かったんじゃないかと思います。
モールではじめて見て、一目惚れして買ったんですよ。
ブラック&ホワイトカラーのアディダスっぽいデザインで、アッパー部分がタオル地っぽい素材、クッション性のあるやや厚底、っていうのが履き心地良く、お値段もたしか15ドルくらいだった気がします。
日本に帰国してからもずっと履いていて、「それどこのヤツ?」なんて聞かれたことも多々あり、靴底が剥がれるまで履き倒すくらいのお気に入りでした。
今はもうそのデザインはなくなっちゃいましたけど。

いろんなショップを見て周り、どんなものが売っているのかも同時にチェックしながら買い物を終えたら、寮に戻ります。

今度は大学方面のバスに乗るんですけど、待てど暮らせどバスが来ない、っていうね。
バスの前面に路線番号と行き先が表示されているので、自分が乗るバスがどれなのかをよく見ないといけないんですが、バス自体が来ない。
そもそもアメリカでは遅れて当たり前なので、目の前に来たバスが元々何時発のバスなのかもわからない感じですから、時刻表なんてあってもないようなもんです。
とにかく、来たら乗る。

番号が書いてあるちっこい看板が背の高いパイプの上部についていて、3人くらい座れるベンチがちょこんと置いてあるのが、アメリカのバス停の典型。
バスは来ず、人だけ増えていきます。
いつ来るかわからないなんて日本ではあり得ないことなので、「マジかよ」って感じでしたけど、周りの人は「まだ来ないわね〜」くらいで、誰もイライラしていないんです。
時間通りに運行する日本の交通機関のすごさを改めて知るんですけど、こういうのんびりなのもいいのかな、なんて思ったりして。
この時は、バスが来るまで、ゆっくり、静かな時間を楽しみました。

やっとこバスが到着し、ヤレヤレと乗り込んでイスに座ります。
アメリカのバスは、日本みたいな「次は〇〇〜」っていうアナウンスなんてないので、自分で降りる場所を把握しておかないといけないんですね。
バスを降りる時は、バスの壁にある紐を引っ張ります。
降りるバス停の手前で紐を引っ張らないと「あ、通り過ぎちゃった」ってなるので、景色を覚えとかないと目的地で降りられない、っていう事態が起きるんですよ。
しかも、バス停に停留所の名前があったりなかったり、降りる人がおらずバス停にも人がいない場合は減速すらせず通り過ぎますから、気が抜けないんです。

今みたいにスマホがあればマップで確認できますが、そんなもんないですからね。
はじめてバスに乗る時は知っている人と乗った方が良い、っていう意味をここで知るわけです。
降りるバス停の名前だけじゃなく、2〜3個手前のバス停の名前もチェックしておくことがポイント、っていうのを教えてもらいました。


更に遠くへ

友達の「ナオ」はホームステイで、学校ではクラスも別なんですけど、寮に遊びに来てくれたりして仲良くなり、頻繁に遊ぶようになります。
彼女はワタシよりずっと年下なのにとてもしっかりしている、元気で明るくかわいらしい女の子でしてね。
学校が終わると、よく一緒にブラブラ出かけたりしてました。

二人で遠出したのは、リトルトーキョーでしたね。
ナオが「日本語で書かれた参考書を買いに行く」というのでついて行く事にしたわけです。
リトルトーキョーへ行く路線バスは、一本では行かれず、途中で乗り換えが必要でした。
たしか、2時間近くかかった気がします。
バスを途中で乗り換える場合、乗車時に乗り換えることをドライバーに言ってトークンを出し、乗り換え用のトークンをもらいます。
乗り継ぎのバスに乗る時はそれを出せばいいわけですね。
「乗り継ぎのバスがちゃんと来るかわからないけどそれに乗らないと行かれない」ので、時間がかかるのを承知で出発するんですけど、この時はラッキーな事にスムーズに乗り継ぎが出来ました。

リトルトーキョーには旅行で行った事があったので懐かしさもありましたけど、久しぶりに日本語をいっぱい見ることが出来たので、ちょっとホッとしました。
ホームシックではないものの、普通に、日本語表示に感動したわけです。

で、「どうせならランチも日本食にしよう」となり、たまたま見つけたうどん屋に入ることにしました。

店内は、日本の立ち食いそば屋風。
エスニックっぽい色合いの看板には「Udon」と書かれ、西アジア系の店員が立っています。
「何屋?」と突っ込みたくなるくらい、日本のニオイが1ミリもしません。

ダイジョブか?
絶対、日本食食べた事ないヤツらだよね。

とりあえず、出汁だしの味が恋しかったのでここで食べる事にして、メニューを見てみます。
すると、エビの天ぷらを発見。
「うまくはない」とわかっていても、こういう時って惹かれるんですよ。
で、注文しました。
数分後、出て来た Udon は
10cmくらいのちっこいエビ天が、ちょこんとのっているだけ。
それも、見たことのないオレンジ色の。
更に、うどんの汁は、ダークチョコレート色っていう。

ダイジョブか?

二人して無言ですよ。
恐る恐る食べてみます。

食べてビックリ。
エビ天なんて、ほぼ衣。

なんじゃこりゃ?
アメリカンドックみたいな食感で、エビの長さなんてたぶんこれくらいです。

出汁は何味?って感じだし。
ワタシたちは、一体何を食わされているのか。

こんな Udon に4ドル32セント支払う、って。
ここが、アメリカ。
微妙に気持ち悪い後味を、1ドルのホットチョコレートでなかった事にしてやりましたよ。

せっかく遠出したので他にもいろいろ周ってプチ日本を満喫し、帰りのバス停に向かいました。
ダウンタウンは暗くなると危ないので早めに行きましたが、例の如くバスは来ません。
地元の人も夕方以降は外に出ない (家に帰る) そうで、バス停にはだいぶ大勢の人が集まってました。
来る時はたて続けに来る、っていうのもあるあるで、一気にバスが到着したので番号を確認して乗り、行きと同じようにして戻るんですけど、睡魔との戦いでしたね。
眠ってしまったらいろんな意味でヤバいので、とにかく眠らないよう努めまして、無事寮へ戻りました。

この日を境に、ホイホイとバスに乗れるようになり活用することになります。
友達が車を買うまで、ですけどね。


つづく・・・


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