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ドタバタ米国留学記 #5 寮での生活

念願叶って24歳でロサンゼルスの語学学校へ留学するものの、出発したその日から「ろくに準備もせず出国してしまったことを大いに後悔する」っていう、先が思いやられる衝撃のはじまりからの、英語まみれの授業、寮での生活、クセのある人々など、たった16週間に起きたおもしろエピソードをたっぷりと綴ります。


いきなり 『Cafeteria closed』

寮生活で不便に感じたのは、部屋にバス&トイレがないことでしたが、寮全体が一軒家だと思うことにして、それは時間が経つにつれて慣れました。
食事をするにも寮を出るのが当たり前、っていうのが普通になりましたからね。

食事はカフェテリアへ行きます。
いわゆる、学食ってやつです。
ビュッフェスタイルなんですけど、メイン&サイドディッシュはスタッフが盛ってくれて、パンやドリンクなどは自分でチョイスします。
パンの他にシリアル、クッキー、アイスなんかもありましたし、ドリンクは炭酸飲料がいくつかあり 、ミルクに関してはホール、ローファット、ノンファットの3種類から選べるようになっていたので、それには驚きました。

そのカフェが『5月22日から3週間クローズする』という連絡が入りましてね。
大学が休みになるので、カフェテリアもしばらく閉まる、っていうんです。
で、替わりに用意されたのが、学校から徒歩5〜6分の所にあるチャイニーズレストランで、1日3食をそこで食べろ、ってことなんですが、これがまぁまぁめんどくさいわけですよ。
寮からカフェテリアまで2分くらいだったのが、大学の門を出て更に歩くようになるので、結局 ドア to ドア (部屋からレストランまで) だと10分くらいかかることになります。
何か飲むだけでも、往復20分って。
う〜〜〜ん。

何がツライって、中華が好きじゃない。
学生用に用意されてるメニューは主にチャーハンで、具が違うチャーハンが3種類くらいあったと思います。
他にもいくつかメニューがあった気がしますが、あまり覚えていません。
お店のおばちゃんのことはよく覚えてますけどね。
中国語なまりの英語を話す、ショートカットの小柄で元気なおばちゃんでした。

ワタシは、行くと毎回「ミルク」を注文してたので、通って1週間もするとこちらが何も言わなくてもワタシを指差しながら「あなたはミルクね」と言って、すぐに持って来てくれました。
食事は、食べきれないと「持って帰りなさい」とパッケージをくれたので無駄にはなりませんでしたけど、さすがに3週間は飽きますね。
ミール用のメニューは決まっていて、それ以外を食べる場合は別料金だったのでそこから選ぶ感じでしたから、ローテーションしてもすぐひと回りしちゃうっていう、10日くらいで限界でしたから。
アジア系じゃない人にはだいぶキツかったみたいです。
元気がなくなってしまった人もいたので、いくつか場所 (店) を選べたらよかったのにと思いましたね。

カフェテリアが開いてからは、また元の通り、気軽に行ける距離になったのでラクチンになったんですけど、以前とはなんだか様子が違い、メニューがとんでもなく貧相になっていました。
朝食でも、ソーセージ、ベーコン、ナゲット、マッシュポテト、フライドポテト、サラダなんかが並んでいたのに、あるのはレタス、ナゲット、ポテトくらいで、しかも「これ、昨日のヤツだろ?」ってツッコミたくなるような超手抜き。
大学生がいなくなるとこうなるのか。
サボってんのか?
仕事しろ。
って感じですよ。
ちなみに、寮に入るプランは食事代も含まれている料金設定なので、入学時には既に支払いが済んでいます。ミールカードを見せて食事をするので、出されたものを食べるしかないこっちからすると、まともなもん用意してくれよ、って言いたくなるわけです。

ワタシは、揚げ物と肉が食べられない (腹を下したり体が痛くなる) のと 、炭水化物も多く摂取すると腹をこわすので、アメリカンな食事は基本 NG なんですね。
ハンバーガー、フライドチキン、ホットドッグなんかはひとっつも食べられません。
だからホームステイではなく、自分で食事を選べそうな寮生活を選んだんですが、食事の選び用がないのはどうなんでしょう。
焼いてあるチキンは食べられる(ポークは微妙)、ピザとパスタはギリセーフなんですけど。
食べられるものがほぼない状態でこれはホント困りまして、日本食が売ってるスーパーへ行って食べられそうなものを物色したりしてました。
たまに、豆腐を買って食べたりして。
9月の帰国まで体調を保たせないといけないし、エネルギーチャージと思って何とか食べてましたけど、腹はいつも調子がよろしくないっていうね。

でも、カフェテリアで過ごす時間は大好きでした。
とにかく、楽しくて。

南米出身の男衆が
「いただきま〜す」
「ん〜、おいしい」
「お腹いっぱいで眠い」
とか言って、日本人が一人もいないテーブルで日本語を喋ってたりするんです。
こっちがビックリして見てると、「な〜に?」とこれまた日本語で返してきて。
日本人の反応を見て楽しんでいるみたいですけど「英語をがんばれよ」って感じでしょ?

仲良くなってくると母国語を教え合う、っていうのが留学生あるある。
寮にはみんなが集まれるホールみたいなのがあって、そこでテレビを見たりゲームをしたりして過ごすんですね。
そこでそれぞれの国の話になったりして、「君の国ではなんて言うの」みたいな流れでいろんな言葉が飛び交うわけです。

そもそも南米男衆の一人は、腹にデカデカと『一番』と書いてある真っ赤な T シャツを来ていたので、元々日本語が好きだったんじゃないかと思うんですけどね。
彼らはどんどん日本語が上達して、日本人の女の子に「ちょっと太った?」とちょっかいを出し、その子が怒ると「うそ、かわいい〜」とか言って遊んでましたから。
とにかくノリが良くいつも楽しそうで、見ているこっちも自然に笑顔がこぼれました。

寮での暮らし

この南米メンバーとは、クラスも寮も違っていたのでカフェテリアで会うくらいでしたけど、同じ寮の人たちとはいろんな交流がありました。
寮は男女一緒。フロアで男女分かれていて (1階が男性、2階が女性) 、各階にバスルームがあり、地下には男女共同のコインランドリー があります。
ワタシが入った時は既にコミュニティが出来ていて、そこにお邪魔させてもらう感じだったので交流に関しての苦労はありませんでしたけど、共同で使うものは慣れるまでに時間がかかりました。
洗濯をしようと思ったら空きがないとか、トイレの扉の下の隙間が広すぎて落ち着かないとか。
人がいない時間を狙って動くようにして、なるべくストレスにならないようにするのがコツと考えて、他人の動きを見てましたね、最初は。
そう考えると、大学生がいなくて良かったと思います。
留学生数人しかいなかったので、シャワーなんかはあまり時間がかぶることなく使えましたから。
女性用バスルームにはバスタブがあったので、お湯をためて入ることもできたのは嬉しかったです。

寮は2棟あり、ワタシは教室から遠い方の建物でした。
もうひとつの寮の方に人が多く集まっていた感じだったんですけど、ワタシは出不精なので、部屋に戻ったら出たくないし、シャワーを浴びたら外には行かないので、そっちの寮に遊びに行ったことはありませんでした。
大体みんな、晩ごはんを食べた後外出したり集まってくっちゃべったりするんですけど、ワタシは部屋で落ち着きたい派。
すると、ワタシが動かないので向こうから来てくれるようになりまして、こっちが行かなくても遊べる、っていう環境が自然に出来上がりました。

部屋はプライベート空間は一切ないんですけど、ルームメイトは外で過ごして夜戻って来る人だったので、夕方から21:00くらいの間は部屋で一人で過ごせることが多く、それがとても貴重な時間になっていました。
一人になる時間がないと、ツラくて死んじゃいそうになる人なので。
はじめてのルームメイトが帰国した後は、しばらく次の人が来ずプライベートタイムを十分満喫できることになるんですが、この時はまだ知りませんからその時間をものすご〜く大事にしていました。

友の存在

日本人&ルームメイト以外で最初に仲良くなったのは、韓国人のクリス。
彼女は、英語がほとんどわからないワタシにいつも笑顔で接してくれて、わからないことがあると丁寧に根気よく教えてくれました。
発音も上手だったので、単語のフレーズを教わったりしてね。
「これってどういう意味?」「あれは何ていうの?」とチビッコが質問するようなことにも必ず答えてくれた彼女は、一時はワタシの先生みたいな存在でした。

はじめて会った時「韓国人なのに、なぜクリスなの?」と、疑問に思ったワタシは尋ねたんです。
すると「韓国語は名前が (発音も) 難しいから、アメリカンネームを持ってるのよ。日本人はないの?」と言われて、「そうなんだ」って驚いたんですよ。
彼女の韓国名はジヨンだか、ジョヨンだか、たしかに呼びづらいわ〜って感じた記憶があります。
親切な彼女にだいぶ迷惑をかけていたに違いないんですが、高校の時に仲が良かった友達に顔がそっくりだったので、勝手に親近感が湧いてしまったんだと思います。
寮生活ではないホームステイの彼女と、どういう経緯で親しくなったのかは覚えていないんですけど、彼女のおかげでいろんなことを学ぶことができました。

そんな彼女がこの先一番親しい友人になるかと思いきや、彼女のホームステイ先のルームメイトとものすご〜く仲良くなるんです。
彼女の存在は、ワタシのスクールライフをより一層楽しくしてくれて、ここからますます、じわじわと交友関係が広がっていくことになります。


つづく・・・


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