[生成テクニック]動画生成AIに適した画像生成のための実践メモを公開 -[12] 動画生成AIで自主映画制作は可能か? - Blog 2024/01/30
昨年の12月28日から作り始めた「Another Tokyo - GenAI Parallel universe」シリーズ、本日15本目のビデオを投稿しました。
以下、色彩をモチーフにした連作のvol.13 ~ 15 を掲載します。
Another Tokyo - GenAI Parallel universe
画像生成:Midjourney V6(alpha)
ビデオ生成:Runway Gen-2
音楽生成:Suno AI
ビデオ編集:After Effects / 画像処理:Photoshop
colors - Red
vol.13 再生時間:42秒
colors - Black
vol.14 再生時間:34秒
colors - Yellow
vol.15 再生時間:40秒
動画生成AIも徐々に高度化していますので、初心者の方にとっては敷居が高くなってきましたが、少しずつ人間側のコントロールが効くようになってきました。
今回は「Another Tokyo」シリーズの「画像生成」に関する実践メモを掲載したいと思います。動画生成の実践メモは次回。
First step
まず最初に、Midjourney V6 (alpha) のAesthetic systemを確認しておきます。
今回は、カラーコンセプトのショートムービーなので「色」で生成されるイメージの内容を把握します。
左側は、Aesthetic systemが効いている状態で Midjourney V6 (alpha) のデフォルトです。V5.2とはまったく異なるので注意が必要です。
右側は、「--style raw」が付加されていますので、Aesthetic systemが軽減されています。つまり、プロンプトに忠実です(と言っても、プロンプトが単語ひとつしかないのでランダム生成されますが)。
Midjourney V6 (alpha) のAesthetic systemでは、Sadな女性モデルがクリエイティブに表現されています。
左のプロンプト:
右のプロンプト:
Black の場合は、ダークナイトテイストなモデルをクリエイティブに生成します。
左のプロンプト:
右のプロンプト:
Yellow も同様に生成イメージはとてもクリエイティブです。
Midjourney V6 (alpha) のプロンプトを設計するには、デフォルトのAesthetic systemの影響をどの程度残すか見積もる必要があります。stylize パラメータの値が肝になります(例:--style raw --s 50)。
※V6 (alpha) とV5.2 ではAesthetic systemが異なるため、プロンプトの内容も変わります。
左のプロンプト:
右のプロンプト:
Midjourneyは「誰がプロンプトを書いても美しいイメージを生成してしまう」Aesthetic systemによって、高い品質を保持していますが、オリジナリティを出すにはこの仕組みが邪魔になります。
プロンプトを設計するポイントは、「--style raw」とstylize パラメータの操作です。特に、Model V6 (alpha) では顕著だと言えるでしょう。
The Making of 'colors - Red'
「colors - Red」は、検証用のプロンプトで生成しています。
検証用プロンプトには、(Midjourney v6 にとって)不要なワード、フレーズを含みますので、主に実験目的で使用されます。以下は、カスタマイズしにくい文章のようなプロンプトになっているため、通常使用しません。
※「colors - Red」では生成用プロンプトは使用していません(検証用のみ)。
参考:Minimum 検証用プロンプト
通常は、調整しやすい以下のような生成用プロンプトを使用しますが、「colors - Red」では、掻き乱す効果を狙ったテストを兼ねて、あえてコントロールしにくい検証用のプロンプトで試しています。
参考:生成用プロンプト:
参考:生成用カオス・プロンプト:
high-fashion portrait of a Japanese model inspired by traditional aesthetics, should, innocence, background, golden decorations and red flowers --ar 16:9 --s 50 --style raw --chaos 5 --v 6.0
アクセントイメージの生成
The Making of 'colors - Black'
「colors - Black」は、インパクトのあるビジュアルのバリエーションを生成するため、Chaos パラメーターを使用しています。値を「25」にしていますので、想像を超えた意外な結果を期待できます。
カオス・プロンプトによるアートワークは、イメージを選択する人間の審美眼に依存しますが、このプロセスを長期継続すると(結果的に)審美眼を鍛えるトレーニングにもなります。
生成用カオス・プロンプト:
自分の想像力の限界が見えてきたら、Chaos パラメーターが役立ちます。大きな書店や図書館に行って、アーティストの作品集をパラパラめくりながら刺激を受ける行為と同じです。
The Making of 'colors - Yellow'
「colors - Yellow」は、ファッションと未来の融合を表現したアートイメージの集合体を生成用プロンプトで構築しています。
以下のプロンプトを使用すると、完成されたビジュアルが生成されてしまうため、Photoshopによる画像処理は必須です。
生成用プロンプト:
右上のようなマガジンページのエッセンスが出現した場合は、除外するか、Photoshopでモチーフ以外の要素を除去します。
モデルのイメージだけで繋ぐと単調な映像になるため、アクセントのビジュアルを生成しています。
縦横比 3:4 で期待した結果を得られた生成画像は、Photoshopで拡張します。
生成AIによる「完成品」をそのまま使用していくと、作品化を阻むインスタントな創作スタイルに陥ってしまうため、可能なかぎり自分の創造性を反映させる作業に慣れておくことが重要です。
このプロセスがないと、ルーチンワークになってしまい、生成AIによるアートワークに魅力を感じなくなる(飽きてしまう)ことになりますので注意が必要です。
Photoshopの活用方法については、今月の報告会の収録動画(ダイジェスト版)をご覧ください。
ショートムービーの映像制作工程は、Runway Gen-2 でビデオ生成し、After Effectsによる修正・効果の適用・編集を経て、作品として仕上げます。
ビデオ生成のプロセスは以下の記事で解説しています。
画像生成・動画生成も「できること」が増えてきて、複雑高度化が進みつつあり、初心者の方に教授するのがかなり難しくなってきました。
インターネット黎明期に例えるなら、HTMLだけで作成していたWeb制作から、CSSやJavaScriptの知識やスキルが必要になったように、生成AIもプロンプトに依存しないリミックスやリファレンステクニック、ハイブリッドワークの構築および既存技術の習得、著作権、AI倫理の理解など、やることが倍々ゲームで増えていきます。
Adobe ExpressやCanvaなどのコンシューマー向けデザインツールでは、何でもお任せの「カンタン生成AI」が普及しますが、プロフェッショナル領域では、教育コストがかなり高くなっていくでしょう。
2月29日(木)のAdobe公式 CC道場で初心者向けに詳しく解説します。
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更新日:2024年1月30日(火)/公開日:2024年1月30日(火)
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