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電池の残り

ふわふわな毛で覆われた柔らかな体を抱き上げる

トクトクトクと素早く脈打つ鼓動のリズムが

温もりと共に染み渡る

あぁそんなに急がないで。

喉を鳴らして埋める身体を撫でながら

どうしようもない速度を時折嘆く

30億回。

私たちの燃料にもそれなりに決まった回数があるように

脈拍は命を消費する

小さいものほど駆け足で、大きいものほどのんびりと

同じ今を生きながら、違う時間を生きている

だから待ってと時折心の中で嘆いてる

止まらないカウントを嘆いてる

けれどそうやって鼓動は未来へと

命を灯す愛しい音にもなっていく

残り20%以下。

スマホの画面がバッテリーの残量を報せてる

2つの鼓動は変わらず脈打つ

残りの電池はどれくらい?

時を刻む針をよそに、私は愛しい鼓動を確かめた



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