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[UFC]スリルと完成度

UFC Fight Night パリ大会が開催された。

メイン ヘビー級
○ Ciryl Gane(1)VS ● Tai Tuivasa(3)

タイトル挑戦を見据えたヘビー級トップ同士のぶつかり合い。

ガーンは地元パリの声援を受けてオクタゴンに上がり、オッズもフェイバリット。

ヘビー級ながら軽快なフットワークと距離を制してテクニカルに打撃を与えていくファイトスタイルを持つガーン。

トゥイバサの一発は強力だが、ガーンが翻弄し危なげなく勝利するだろうと思っていた。

しかし、これまでの試合の中で劣勢を一発でひっくり返してきたトゥイバサは只者ではなかった。

彼はガッツがあり勇敢なファイターだった。そして優勢のガーンを脅かし続け、スリリングな試合を生んだ。

[ヘビー級の魅力が詰まったヒリつくメイン]

豪腕のトゥイバサは試合の割と早い段階でガーン
のミドルをもらってしまいボディにダメージを蓄積させてしまった。

当然ガーンはミドルでボディを狙い続け、爪先を尖らせながら前蹴りも打って厳しい追撃を重ねた。

露骨に効かされているのが分かるくらいダメージを負っていたトゥイバサだが、最後までその一撃を届かせようと拳を振った。

並の選手なら倒れていてもおかしくない打撃を頭部にもらいながらも彼は立ち続けていた。

そして距離が詰まった場面でその一撃は遂に届き圧倒的劣勢だったトゥイバサはガーンからダウンを奪う。

会場は沸いた。

しかしトゥイバサがそれ以上の展開へと進むことは出来なかった。

試合を通してトゥイバサは最後までガーンに脅威を与え有利のすぐそばに危険を忍ばせ続けた。

けれど崩れた形成までは立て直すことができず、体力とダメージ量に余裕のあるガーンの的確な打撃を浴びて3ラウンドの終盤でマットに沈んだ。

[MMAの進化とトップ戦線]

技術の進化と発展を続けるMMAにおいて総合力・全体の完成度はトップに立つ上で必須な要素となった。

総合格闘技なので元よりそれは当然重要なのだけれど、強力な一発があるヘビー級であってもそれが無いと最終的には通じない世界になっていると改めて感じた。

全部が出来て初めて上位を争える。それくらい前提となる条件になっている。

今回トゥイバサはガーンのスタンド技術の豊富さの前に敗れ、ガーンは前回の戦いでガヌーの強力な打撃とテイクダウンを織り混ぜた攻撃に苦しめられ敗北している。

またそのガヌーも過去にミオシッチのテイクダウンを織り混ぜた攻撃に苦しみ、星を落としている。

どの選手もそれまでは連勝を重ねていたにも関わらず上位に進んだ結果、総合力の壁にぶつかっている。

なので軽量級に限らず重量級も勝利を掴み続けるには付け入る隙を作らず何処からでも対処できるというMMAの完成度、より高いクオリティが求められてくるのだろう。

そこにUFCで生き残る厳しさの一片が垣間見えるような気がした。

[知らしめたトップコンテンダーの実力]

セミメインで行われたもう一つのトップ同士のぶつかり合い。

セミメイン ミドル級 
○Robert Whittaker(1) VS ●Marvin Vettori(2)

この試合は個人的に今大会で最もテクニカルな試合運びが展開された一戦だったのではないかと思っている。

それくらいウィテカーの攻防は安定していた。

ヴェットーリを返り討ちにしながら封じ込めたという点ではアデサニヤよりも良い試合をしていたと思う。

アデサニヤは優れた体格を生かして距離を掌握しヴェットーリを無力化したが、ダメージという点では見張るものはあまりなかった。

対してウィテカーは被弾するリスクの中で技術をもってその攻防を制しヴェットーリに強い打撃を当てて明確なダメージを与えた。

タイミング・コンビネーション・タックルの対処。正面からぶつかった上でどの局面でも上手を取り完勝という形で2位のヴェットーリから白星を奪った。

ただそのウィテカーも現ミドル級王者であるアデサニヤを崩すには一歩及ばない所にはいる。

しかしながらそれでもミドル級ランキング1位の実力を今回の一戦でしっかりと示した。

アデサニヤがペレイラとぶつかった結果、ミドル級に動きが出ればウィテカーにも新たな展望が見えてくる。

また、ガーンも同様に新たな展望が期待出来る。

再び王座に挑戦することになれば、結果を変えることが出来るのか。

いずれにせよ今回力量を改めて示した二つの階級のトップコンテンダーは最高峰のベルトに挑戦するだけの資格を今尚保持していることをUFC初上陸のフランスの地で証明した。

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