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ベッドの余白

一つのベッドに二つの呼吸

腕に伝わるもう一つの鼓動

寝返りも上手く打てないベッドの上に

心を揺らす匂いがあった

違う体温と感触を体の線に沿わせてく

肌も髪も握る手の感触もどこにもないただ一つのものだった

ただそうしているだけで時間は簡単に過ぎていく

すごく単純なことで満たされた

ただそこにいるだけで何もかもが事足りた

真っ直ぐな人生の一瞬と

二人だけの空間は狭い一室に転がって

とめどない想いを交わしながら

互いの色を忘れないように

大切に何度も確かめた

36℃の感情を身体と心に刻み込んで

時間を忘れたその部屋に

沈む夕日が別れを告げる

今ベッドの上には呼吸と鼓動がただ一つ

それは部屋を満たすには足りない音だ

シーツに残ったシワの形を優しく撫でて消していく

左に広がるベッドの余白は寂しいくらいに自由だった

思うがままに打つことの出来る寝返りが

一人の時間を虚しい音で積もらせた



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