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短い物語

15
作成したショートストーリーをまとめています。
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#創作

星を追う人

「あの星はどこへ行くのかな?」 永い眠りにつく前に、薄氷の少女は青い瞳を湿らせながらそう…

MASA
1年前
7

言の葉に咲く③

目覚めたのは夜の8時過ぎだった。 窓の外は黒く塗られて眠りに落ちる前とは別の世界が敷かれ…

MASA
3年前
1

桜の木の下のバス停

桜の木の下のバス停でバスを待つ人がいる 長い髪を靡かせて、陽の光は艶ややかに髪の上を滑り…

MASA
3年前
2

「夕焼け小焼」

何も無かった1日が過ぎていく コンビニの明かりが灯る下で、山の向こうへ沈む夕陽を眺めなが…

MASA
3年前
3

言の葉に咲く②

家に帰って荷物を置くと昨日の殻を脱ぎ捨てて部屋着に着替える。疲れに潰されたスーツはフロー…

MASA
3年前
1

言の葉に咲く①

健康体でいることの大切さを実感する機会が何年か前から増えてきたような気がする。 「健康で…

MASA
3年前
2

小さなドラマ

風を切る音と車体が揺れる音を聞きながら蛍光灯の明かりが満ちた車両の窓から夜の街を見下ろしていた。 最近ハマっていたバンドが解散することを知って、告知されていた解散ライブに参加するために渋谷へと足を運んだ帰りだった。 知名度が高いわけでもなかったそのバンドのファンが自分の周りに存在するはずもなくて、そのライブには最初から一人で参加することにしていた。 同じアーティストのファンであっても以前からライブに参加していたような既存のファンの群れの中では自然と余所者のような気分にな

僕らの魔法

「用法用量をお守りください」 「使用の際は十分に注意してご利用ください」 そんな注意書き…

MASA
3年前
2

見えない花

綺麗だねって思いながら水をあげると 立派に育って素敵な花を咲かせるんだよ いつか聞いたそ…

MASA
3年前
3

空想コスモトラベル

地球の青さを本当に知っている? 宇宙への旅に出たことがあるわけでもないし、そんなの知らな…

MASA
4年前
5

「見えない穴から落ちたもの」

もし感情を一つ失くせるとしたらあなたは何にしますか? テレビから聞こえてくるドラマか映画…

MASA
3年前
3

駅の出口にて

一年を締めくくる最後の一月も終わりが近づいた24日の夜。変わらない日常を過ごした男は終電間…

MASA
3年前

深夜のメール

勉強は苦手ではなかったけれど、あまり好きではなかった。 それでも眠気と戦いながら机にかじ…

MASA
3年前
1

街と面影

窓から望む景色は街を縁取るような山並みで、視界を阻む物の少ないこの場所からは遠く離れた緑もよく見える。 広い敷地の中に建てられた巨大なデパートにこぞって人が集中するこの街には洒落たものなど何一つなかった。それでもこの街の開放的な空が好きだった僕は、空を圧迫するビルの森なんか無くてよかったなと思っている。 のどかな景色はいつもと変わることなく窓の向こうに広がっている。変わったのは荷物の整理を終えてがらんと生活の音を失った部屋の中だけだった。 荷物が詰まったダンボールはここ