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「夕焼け小焼」

何も無かった1日が過ぎていく

コンビニの明かりが灯る下で、山の向こうへ沈む夕陽を眺めながら

垂れ流した寿命は虚しさの中に溶けていた

目の前を肩寄せる男女が過ぎていく

ケチをつけるのに疲れた心は

どうせならばと思って、その幸せが末長くと祈ってみる

そんな想いを映すように淡く染まった空は

歩く二人の影を伸ばしながら鮮やかな彩りを見せていた

そんな綺麗な一枚絵を見ていたら

何だか悪くない気分になって

空が綺麗だから、それだけで十分な気がした

そんな簡単なことで不思議と胸の奥は優しい形に収まって

自然と生まれた心の隙間には柔らかさと心地良さが

真綿のように広がって、寂しい場所を温めた

些細なことでどうしようもなくつまらない日が

ほんの少しだけマシになったりする

 たまには上を向いてみよう

景色を撫でる風の匂いとカラスの声

転がる少年少女の足音とアスファルトを駆けるタイヤの音

明日へと帰る気配の中で空を仰いだ

夕暮れに広がる壮大なパステルは

散らばる雲に伝わって

町の上空に愛らしい表情を作っていた

もうじき薄暮がやってきて空に涼しい色を引く

世界は人々を乗せて

夜の香りをなびかせながら

明日を迎えに駆けていく

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