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横断型PM業の時代へ -多様な分野価値をデザインする-


クレイジータンクには、さまざまな分野で働くメンバーや関係者が集まっています。例えばデザイナー、建築・不動産、人材系、IT、サイエンス、ライターなど多岐にわたります。しかしメンバー同士で議論をする際「一定の分野」という枠は存在せず、それぞれの価値観や社会や常識が行き来している状態となっています。


分野の横断で起こること


常に分野の横断をしていると、同じ分野同士の人と集まった時とは全く違った感覚になることが多くあります。

例えば、言語とコミュニケーションの違い。建築系の分野にいる人だと、建築独特な言語で話したり、これは傾向の話ですが少し上から話をする傾向があったりと、分野の特性が出てきます。しかもお互いに建築系であればそれに違和感を覚えず、ディベートや議論が行われています。

しかし一歩外の世界に目を向け、別の分野の人と会話だけではなく仕事をしてみると、通用する部分としない部分、逆に共通する部分も発見し、特定分野内ではとてもマニアックな話をしていたことに気づかされたりもします。その結果、言葉の選び直し、思考の見直し、時には謙虚さを学ぶことにもつながります。

手前味噌な話で恐縮ですが、クレイジータンクは常に他分野で活躍されている方々と議論できる環境にあり、年齢層も多様で世代を超えた価値観の共有や勉強ができることをありがたく感じています。


他分野を繋ぎ、価値を最大化するPM的役割


クレイジータンクの強みはなんですか?と聞かれた時、いくつかあるのですが今回ご紹介したいのは「他分野の本質的価値を見抜く力」「異なる分野の価値を繋ぐ力」についてです。

なぜこの2つをご紹介したいのかと言いますと、ビジネスシーンや人材育成、組織構築などにおいてこれから必ず重要視されるスキルだからです。今後益々テクノロジーの進化が見込まれる昨今、ある意味分野に囚われない思考やマインドがなければ、新しい世界についていけないと考えているからです。

クレイジータンクはその未来予測をもとに、異なる分野の価値を横断的に繋ぎデザインするPM的な動きを意識し、プロジェクトを行っています。以下、その事例をご紹介できればと思います。



産地で当たり前の窯が世界的な評価を受ける


例えば「他分野の本質的価値を見抜く力」についてこんな実例があります。クレイジータンクメンバーの一人が陶芸の産地である滋賀県信楽町を訪れた時、ある驚くべき光景を目にします。それがこれ。

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マイ窯と名付けれた陶器を焼くための窯で、重さも10kgほどしかありません。現地では、「持ち運びが可能な窯」として、そこまで珍しい物ではなく当たり前のように使われていました。

しかし、陶芸の分野に精通していたわけではないクレイジータンクメンバーはこの窯の価値にいち早く気づきました。さらにこの窯で破棄される予定だった茶碗を焼き直す、という発想を組み合わせた試みに挑戦したのです。

焼き直し表面文字

この作品は[Mass production to unique items]と名付けられ、大量生産された陶器を一点物に変える、という環境問題も付加した作品としてLEXUS DESIGN AWARD 2017を受賞しました。

他の誰もが価値に気がついていない物であっても、その本質的価値を見抜き、さらに発想を加えることで世界を驚かせる作品を生み出したのです。

そして破棄される陶器を焼き直すという行為は、陶芸の世界ではあり得ないことでした。当時この試みを知ったすべての陶芸家が口を揃えてこう言いました。

「おかしなことをやっている」

しかし、世界的な評価を受けた途端に「信楽の窯が世界へ」と宣伝し始める地元の方々が現れるほど、この窯の価値を変えることに成功したのでした。


多様な分野の力の結集が常識を変える


「違う分野の価値を繋ぐ力」では、福岡県天神の大名地区にあった大名小学校跡地利用計画があります。

校舎老朽化のために廃校が決定し、その跡地は駐車場になることが決まっていました。しかし、土地のポテンシャル、卒業生の多さ、歴史的価値や、建築的価値などから、この場所は不動産的価値や無形の価値を持つ場所だと判断した数名のメンバーによって[大名小学校保存活用プロジェクト]が発足しました。最終的には多くの協力者や地元の方々や政治家、メディアなどを大きく動かし続けることによって、足掛け約2年ほどの活動によって計画の見直しが決定。今では大名小学校跡地にリッツ・カールトンホテルが建設されることになっています。

クレイジータンクメンバーは、このプロジェクトの相談役・イベントの総合統括責任者として関わっていました。このプロジェクトに対する地域の人や関わる人の思い入れはとても強く、意見や価値観は多岐にわたります。それをまさに一つにまとめ上げていく力が求められていました。

さらに、プロジェクトにはさまざまな分野のプロが集まり、知識や知見を出し合い、時にはぶつけ合いながら進めます。特定分野の知識・知見に偏らず、それらを融合させ、ひとつの最適解を出していく。まさに、違う分野の価値を繋いでいくことで成功することができたプロジェクトでした。

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大名小学校閉校最終日に行った校舎の卒業式イベント


このようにどんな分野であっても本質的価値を見抜き、分野を超えた力を結集、そして融合させながら、新しい価値を作り出していく力がこれからの時代、必要不可欠だと考えています。これを私たちは【横断型PM業】と呼んでいます。

このクレイジータンクのPM的な動きは、現在企業案件などでも発揮されています。多様な分野への知見や興味を持つメンバーをまとめあげ、社会に対して新しい価値を提案し続けています。以前書いた記事や関わっている企業のnoteもぜひ読んでみてください。


自分たちから多様な価値を融合していく姿勢


クレイジータンクでは、請負い仕事の他に、自分たちから多様な価値を組み合わせて展開している独自事業があります。

例えば「スーパーマーケット×ものづくり×デザイン×SDGs」

スーパーマーケットが大好きなメンバー数人と環境問題を課題として取り組んでいるものづくりやデザインを融合して開催されたイベント「ドレスコードがないレストラン with PETUP」


スーパーマーケットの楽しさや可能性を真剣に研究しつつ、環境問題を身近なこととして楽しみながら伝えていく作品を融合したクレイジータンクオリジナル企画です。

週に一度スーパーマーケット研究会が開催され、現在は主にスーパーマーケット信濃屋について研究が進められています。

そしてペットボトルをアップサイクリングした作品「PETUP」。

色々な分野の価値を見抜き、さらに融合し、現在は主にイベントとして展開しています。

花瓶と食事

全体像

今後はスーパーマーケットへテクノロジーがどのように入っていけるか、真にお客様にとって価値となるスーパーマーケットの未来創造を事業として提案していく予定で、現在ある企業と共に事業計画を練り上げています。


批評家ではなくプレイヤーで居続けるために


請負い仕事だけではなく、自分たちからも分野を超えた価値を発見し、さらには融合していくことで、批評家になるのではなく常にプレイヤーとして居続けることを大切にしています。

分かったつもりにならない、時代を読み解く、新しい技術を知っておく、現場を知っておく、など、事業は常に変化を受け入れ、動き続けておかなければ衰退していくと考えています。

その中で重視しているのが分野に囚われないというマインドです。他分野からの意見は時に、その分野からすれば非常識になることがあります。しかし、その非常識の中にある本当の価値を見抜くことで、特定分野だけでは生まれないような価値が未来に生まれるということが多々あります。自分たちが持つ価値以外の価値を受け入れるマインドやどんなことでも発想を持って融合できる遊び心と知見、そしてそれらを社会に還元する力が、私たちクレイジータンクの強みだと自負しています。


クレイジータンク一同

クレタンロゴ


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