列車

すっかりと散った花の形を想いながら
流れる車窓に頬杖をついていた
太陽の光に目を細める
カタコトと揺られ
行き先は終点まで

突如私を襲う衝動
大きな声で誰かを呼びたい気分だ
誰かに私を知って欲しい気分だ
恐れなど捨てて
悲しみなど放り投げて

叫びたい気分だ
泣き叫びたい
そこに見えた気がした
逆光できた輪郭に見覚えがある
それは幻覚に原風景が
重なって

まだ生きているよと伝えたい
私の中の空虚に誰よりも近くにいるはずの誰か

おーい 私はここにいるよ
置いていかないでくれ
今この列車を降りるから
この身一つでついてゆくからさ

まって
まってくれ
まってくれよと
席を立つところで目が覚めた

この世の果には
まだちょいと遠い駅
意味などあるのか
肩を揺らし冷笑った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?