ミャンマーはとても教育熱心な国で、学生服は白と緑である話
話す人:(T)チョウチョウソーさん
ミャンマーのヤンゴン出身 日本に難民として来日、現在は高田馬場でミャンマーレストラン「ルビー」を経営。NHK海外放送キャスター、在日ミャンマー人支援、大学教授と一緒に学生の社会活動協力、など多方面で活動
聞き手:(Y)山下 crafts of myanmar noteの管理人
Y:今日はミャンマーの学生服について教えてください。
Y:この写真はボージョーアウンサンマーケット(ヤンゴン最大のマーケット)の洋服屋です。ロンジ―(スカートのような民族衣装)の生地屋や縫製屋が沢山ある中でちょっと西洋風というか、そして柄などもおしゃれな感じで目につきました。僕も小学校から制服だったので、なんか親近感さえ覚えたのですがミャンマーで制服は一般的なものなんでしょうか。
T:この写真で一番注目してほしいのは色が白と緑という事ですね。ミャンマーでは学生はみんな白と緑の服を着ます。
Y:エッ、みんなですか。
T:ミャンマーでは小学校から高校まで学生の着る服は白と緑と決まっているんです。全国どこでもそうなっています。先生も白と緑の服を着ます。大学になったら好きなものを着ます。
Y:では高校を卒業したら一気にはじけた洋服になるのでしょうか(笑)。それとも私服でお洒落を楽しむのでしょうか。そのあたりは改めてその世代の方達に聞くことにしましょう、
Y:さて、全国の子供が白と緑の服を着るというのは何か特別な理由がありそうです。白と緑にミャンマー独特の文化的な意味とか伝統とかがあるんですか。
T:イギリスの影響です。ミャンマーはイギリスの植民地でした。だからイギリス統治時代の制度がいまでも多く残っているんです。この制服もその名残です。
Y:それは思ってもいなかった話の展開です。
T:ミャンマーの親は教育熱心です(注:ミャンマー国民の識字率は高い)。可能な限りきちんと勉強させます。それはイギリスがミャンマーの統治に、イギリス式の教育を受けたミャンマー人を登用したことが大きく関わっています。
ミャンマー人が社会的な地位を得るためにはイギリス式の教育を受けることが必要でした。だから親は子供にイギリス式の教育を学ばせました、その時代の学生が着ていたのが白と緑の制服で、いまでもそれが残っています。
Y:そして独立運動の中核を担ったのも、その白と緑の制服を着てイギリス式の高等教育を受けた人たち。皮肉にもイギリスは教育の質を高めることでミャンマー人の自立と独立を後押ししたわけですね。
T:そういうことです。
T:この写真はヤンゴンの街中で見かけた親子です。子供が白と緑色の服を着ていますね。今、気が付きました。
T:この写真はどこで撮ったんですか。
Y:ヤンゴンの旧市街の近く、国立病院の前です。社会のいろいろな状況が読み取れそうな気がして撮りました。
T:やっぱり国立病院の前ですね。この近くに進学校があるんです。僕も白と緑の制服を着てその学校に通っていました。この子は僕の後輩です。
Y:へえ、そうなんですか。またまた思わぬ展開(笑)チョーチョーソーさんはいい学校の出なんですね。
T:まあね(笑)
Y:これは民主政権の平和な時の写真です。クーデターが起きてしまった今、この親子はどうしているのでしょう。
T:ほんとうに、どうしているのでしょうね。
(注:写真は2019年11月に撮影されたものです)