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会社の1丁目1番地に注力する。それがCOOの仕事。

「COOの仕事って、具体的に何?」と思われる方は多いのではないでしょうか。会社員を辞め、ベンチャーのCOOとして働くことになった佐藤さんに直撃インタビューをしました。
コネクテッドロボティクス(以下CR)で仕事をすることの面白さやCRの魅力についてもたくさん語ってもらいましたので、どうぞご一読ください!

原点は「人はそれぞれの価値観を持っている」という気づき

— まずはじめにご経歴をお聞かせいただけますか
新潟県の胎内市というところの出身です。とにかくのどかな環境で、一言で言うと“ド田舎”。「ここから出たい!東京へ行きたい!」の一心で東京の大学へ進学しました。大学卒業後はリンクアンドモチベーションという組織系のコンサルティング会社に入社して、人事制度設計や社員満足度調査の分析、若手社員や中堅社員のキャリア研修などに携わりました。

— もともとそういったお仕事に関心があったのですか?
はい、人に関する仕事がしたいなという思いがありました。その想いの根底には、大学で所属していたバドミントン部での体験があって……。僕がキャプテンをやっていた代に、メンバーがごっそり辞めたんですよ。あまりにビシバシと厳しくやりすぎたのが原因でした。
やるんだったら全国1位になりたい、そのためには限界まで頑張るのが当たり前だと思っていました。でも、関東学生リーグの下位だったうちの大学では、僕以外に誰も1位になることを目標になんてしていなかったんです。当時は自分と同じ価値観の人しか世の中にいないと思っていて、人それぞれ違うんだということが理解できていなかったんですよね。
そんな出来事もあって、価値観の違う人に対してどうアプローチすればいいのか、どうやって全員のモチベーションを上げて組織を活性化させるかといったことを学びたいと考えるようになりました。

— リンクアンドモチベーションにいた期間はどのくらいですか?
1年半ほどです。その後ITベンチャーに、続いて人材ベンチャーへと転職して、どちらも社長室室長というポジションで、新規事業立ち上げと人事をしていました。

— ITベンチャーに人材ベンチャー。
ベンチャー系に興味があったのでしょうか?
30歳には起業しようと思っていたので、僕にとっては「成長できるかどうか」がすごく大事な指標でした。だから、いわゆる大企業に入るという選択肢はなかったんですよね。実際、そのベンチャー2社で仕事をしたことは貴重な経験となりました。当時、Web広告とかの勢いがすごくて、要するに時流に乗って伸びに伸びていた業界でした。そんな環境で、人がどんどん増えて、 制度や仕組みもガンガン変わっていくのを目の当たりにしていた経験があるので、今、CRも色々変わりつつありますが、こういうのが普通だと感じています。

CRとの出会いは偶然の重なり

— ベンチャーでバリバリやっている中で、CRにジョインしようと考えるようになった理由を教えてください。
正確に言うと、ベンチャーで働いていたときではなく、ベンチャーをやめて浪人生活をしていた頃ですね、CRとの縁が生まれたのは。

ベンチャーにいた頃は、土日だろうが深夜だろうが関係なく無限に働くという働き方をしていました。起業するつもりだった30歳を超えて、確か32歳か33歳の頃、「こんな働き方をしていたら起業できない!」と。それでとりあえず会社員を辞めたんです。

— 起業の道筋をつける前に辞めたということですか?
はい、そうです。まず辞めた。辞めることがスタートでした。自分ならできるという思いがあったので。個人事業主で年収2,000〜3,000万円くらいは稼げると自負していたし、最悪失敗しても借金返すくらいはなんとかなるだろうと。とはいえ、独立して何をやるか考えつかなかったので、澤田経営道場(株式会社エイチ・アイ・エス創業者である澤田氏が設立した人材育成プログラム)に通うことにしました。何をやるかをそこでの2年間で考えて、その上で起業しようというプランです。
道場が休みとなる土・日に受講できる経産省の「始動」(グローバル起業家等育成プログラム)に応募してみたら受かって、そこの同期だったのがTezさん(CRの代表取締役)です。

— なんだかドラマチックな出会いですね!
本当に、偶然が重なっての出会いでした。道場でイレギュラーにあった土曜の授業とかぶってしまい、これは行けないなと諦めていた「始動」の大阪開催ワークショップがありました。でも、ワークショップは土・日の2日間のプログラムだったので、日曜日だけなら参加できる。そう考えた末に、たった1日だけのためにわざわざ大阪まで行くことにしたんです。無職でお金がないのに自腹で!(笑)その大阪のワークショップで同じテーブルにいたのがTezさんだったんです……!

— そのときTezさんにどういった印象を持ちましたか?
なにしろ1日しか会わなかったし、ほとんど喋らなかったので、印象と言われても……という感じでした。ただ、たこ焼きのロボットを作っているということだけは聞いていたので、2〜3週間後に東京でのイベントで再会したときに「そういえばたこ焼きロボット作ってるって言ってたよね?今度見せてよ」「うん、いいよ」と。そこから関係が始まりました。
それから武蔵小金井のオフィス(当時)に遊びに行って、「これスゴいじゃん!一緒に売ろうよ!!」みたいになって、CRにジョインすることになったという経緯です。ワークショップで初めて会ったのが2017年8月なので、つき合いもそろそろ丸6年になりますね。

会社の1丁目1番地に注力するのがCOOの仕事

— COOの立場として、現在はどういったお仕事をされているのでしょうか?長期的なビジョンは代表のTezさんが考えるし、それをどうやって実現していくかという戦略はRyosuke(CSO)が考えます。でも、それだけでは会社は前に進みません。大号令をかけて、会社としてこっちに行くんだぞ!これを絶対に成功させるぞ!と言って前面に出ていって戦う人が必要で、それが僕です。ちょっと抽象的になってしまうのですが、会社にとって1丁目1番地であろうことをやるというのが僕の仕事だと言ってもよいかもしれません。
CRが会社として急成長している今だったら、優秀なマネージャーを採用して仕事を任せていくことが僕の1番大事な仕事ですね。

CRには“ベンチャーあるある”がない!

— 仕事をする中で、強く心に残っている出来事があれば教えてください。
そうですね……出来事ではなくてCRという会社に日々感じていることなのですが、たとえ相手とは真逆だとしても自分の価値観を披露して議論できるというところが僕は好きです。

さっきお話しした学生時代の気づきの話ともつながってくるのですが。
ベンチャーって何でも自由に意見できるようなイメージがあるかもしれないですけど、実際のところ意見が言えないことが多いんですよ。
僕が以前いた会社もそうでしたが、社長が言ったから、社長が決めたからっていう理由で全部決まるんです。 意見なんか言えないし、よく考えてみると……と言って後出しじゃんけんすることもできない。
これは一般的に伸びているベンチャーによくある話です。

だけどCRは、多様性を受け入れるとか、いろんな価値観をフラットでとか言っているのが口先だけでなく本当に実現されている。最初からそうなんですよ。2017年にTezさんに出会ってCRにジョインしたときから、そのスタンスは何も変わっていない。そういうのがすごく好きです。
一つずつ話し合って、考えて、会社としてどう対応していくかを決めるという回りくどくて面倒臭いことをしているんですけど、 それがいろんな人がここで働いてくれる理由になってるのかなって思います。

— 長くCRに関わってきたからこそ、そういったCRのベースとなっている価値観の貴重さがよくわかるのですね。

日々感じていることでいえばもう一つ、自分より優秀な人に席を譲っていくというのがスムーズにできているというのもCRのすごく印象的なところですね、僕にとっては。体制の変更とか、責任の所在を移していくとか、多くのベンチャーやスタートアップでは「やってます」って言っていても実態としてそうなってないことが多いと思うんですよ。でも、CRは本当にそうなっている。

事実、きわめて優秀な営業マンであるTom(CRO)が営業を仕切ってくれるようになり、僕は営業の仕事を手放しました。代わりに今は何をしているかといえば、経営陣が介入して手をつけなければいけない空き地みたいなところを手がけている感じです。

普通、自分の仕事がなくなるということを恐怖に感じる人は少なくないでしょうし、そこのところの心の機微は大切にしなくてはいけないですが。
僕は人を異動させたり、違う役回りを振ったりしなくてはいけないときもある立場だけに、なおさらです。

自由でいられるからこそ高いパフォーマンスを発揮できる

— 自分より優秀な人に譲るというお話が出ましたが、自分が秀でている部分に磨きをかけ、高いパフォーマンスを発揮できるようにするために意識していることはありますか?

全力ダッシュを継続する、そして休む時は大胆に休む! 
僕、2週間くらい休んで音信不通になることがあるんですが、それは自分なりのスイッチの切り替えです。 

それから、自分で選択できるということを重要視することでしょうか。
僕はもう全力で走ることを決めているし、取締役の立場だから夜働こうが土日働こうが関係ありません。でも、重要なのはその状況を自分で選べることだと思っています。誰かにやれと言われてやらされていたら、やっぱり嫌な気持ちになる。

働くことも選べるし、休むことも選べる。働く場所も、時間も、もしかしたら取引先だって選べるかもしれない。そういう風に自由を獲得していくこと自体が、働くことの大事な目的の1つだと思うんですよね。
だから、モヤモヤとは無縁で最高のパフォーマンスを発揮していくためには、とても自由に働けているという感覚を自分が持てていることが僕にとっては大切です。

— 自分が働く環境を自分で作って選ぶ。そういうことを大切にされているのですね。
いわゆる成長中のベンチャーだと、「成長できるだけ成長したいから、もっと働け」みたいな空気が流れがちだと思うんですが、CRにはそういう空気はなくて、働きたい人は働くし、そうじゃない人は定時で帰る。
基本的には成果をどのくらい出せたかで見るんですから、それでいいんです。

やりたいことはない。
やるべきことを何でもやるのが自分の役目

——— 今後チャレンジしていきたいことはありますか?

 僕が挑戦したいことは、ないです。
さっきお伝えしたように、会社にとっての1丁目1番地をやるというのが、僕の1番大事な仕事なので、その1丁目1番地とは何か?を判断基準にしてやるべきことを決めています。だから「やりたいこと」というのがないです。
選ばない、食わず嫌いしない、何でもやります。
それがCOOの役目ですから。

— 何でもやるというのは、何でもないできないといけないので大変ですよね?
ある程度までは僕がスキルセットを持っているというのもあるかもしれないですけれど、どの能力値も高めることができるというのはCOOの期待役割だと勝手に思っています。ただ、その代わりに、これは誰にも負けないというような抜群に秀でた特定の能力はないと自覚しています。
営業スキルがトップレベルに高いわけでもなく、面接官としてめちゃくちゃ魅力的なわけでもない。でも、全体のバランスを見るとか、どこが重要かについてのメッセージを発信するとか、そういうことは自分にしかできない仕事だと思っています。

「自分より優秀な人か?」という大事な判断基準

— 最後の質問となりますが、どんな人と一緒に働きたいですか?

コミュニケーションを取りやすい人です。
コミュニケーションを取りやすいというか、何か仕事を依頼するときなども含め全てにおいてギクシャクしないスムーズな人といえばいいでしょうか。最近では僕は最終面接で採用するかどうかの判断をすることが増えてきましたが、ウッと引っかかるようなところが少しもない応募者の方が一定数いらっしゃるんですよね。この人が入ってきてくれたら会社は間違いなく伸びるだろうなと確信できるようなポジティブな方が。

そういう方を採用するようにしていて、実際それはうまくいっていると思うので、一緒に働きたい人はと問われれば、そういうスムーズにコミュニケーションを取れる人と働きたいというのが答えです。

これは採用者目線の話とはなってしまうんですが、その前提として「自分より優秀な人」というのはあります。自分より優秀なのかというのは、すごく大事な判断基準だと思います。そうしなければ社員レベルが横ばいになってしまい、ひいては会社全体の底上げがされていかず成長が望めませんから。

CRというある意味特異な会社で、CRのカルチャーの価値をぜひ感じていただきたいです。私のポジション、あるいは他の誰かのポジションを奪っていきかねない方を心よりお待ちしています……!

—— 今日はたくさんのお話をありがとうございました。