見出し画像

ホフステード6次元モデル「達成志向(男性性)・生活の質志向(女性性)」とは<6次元モデル⑤>

ホフステードの6次元モデルの4つめとして、達成志向(男性性)・生活の質志向(女性性)についてご説明します。
国境を超えたビジネスでは、達成志向・生活の質志向の、各国のスコアに合わせてコミュニケーションを変えていく必要があります。

達成志向・生活の質志向は、目標達成を重視する程度

達成志向・生活の質志向とは、競争社会のなかで、家族や友人など大事な人と一緒にいる時間を大切にするか、それとも成功することや地位を得ることを大切にするかを表すものです。

ペンシルバニア大学の心理学者アンジェラ・リー・ダックワース氏は、成功を収める人たちが持つ共通点を「Grit」とし、物事に対する情熱と、継続的な努力を通じて目標達成する力にあるとしました。
ホフステード博士は、この傾向を男性性(達成志向)・女性性(生活の質志向)という次元で表しました。

達成志向・生活の質志向は、福祉制度に影響します。
生活の質志向の国は、すべての人に最低限の生活を保障すべきと考えられています。高水準の公教育や医療サービス実現のために、高所得者から財源を集めるのは当然のこととされています。
一方、達成志向の国は、豊な人はそれに見合う努力をしている結果として恩恵を受けるという考え方があります。

達成志向の国は成長型、生活の質志向の国は分配型の社会を目指す傾向があります。

達成志向の国の特徴

・業績主義社会が理想で、強い者や秀でた者が支持される
・欠点の修正を求める社会
・働くために生きる、仕事は人生にとって重要な要素
・女の子は泣いてもいいが、男の子は泣いてはいけない
・女性の美の理想は、メディアや有名人に影響される
・学生は「正しい答え」を求め、教師がすべての回答を示すことを期待する

達成志向の高い国では、社会的に成功されることが重視されます。目標は必ず達成すべきで、絶え間ない努力が求められます。
また、男女の社会的役割を区別しようとする傾向があります。
日本のほか、アメリカ、イギリス、中国、メキシコ、ドイツがこの傾向です。

生活の質志向の国の特徴

・福祉社会が理想で、貧しい人や弱い人を助ける
・寛容な社会
・生きるために働く
・男の子も女の子も泣いていいが、喧嘩してはいけない
・女性の美の理想は、両親に影響される

生活の質志向の国は、目標は全体の方向を示すために必要ですが、必ずしも達成しなくてよいと捉えられます。成功に執着するよりも、大切な人と一緒にいる時間を重視し、思いやりをもって生きるべきという価値観が共有されています。
男性と女性の社会的な役割が重なり合っています。
北欧やベトナム、タイがこの傾向です。


達成志向世界一の日本

日本は、最も達成志向のスコアが高い国で、自ら課した目標に向かって道を極めていく特徴があります。
目標達成のためにはハードワークを厭わず、家庭を犠牲にすることもあります。

一方、生活の質志向の国では長時間労働やハードワークを嫌う人が多い傾向があります。これらの国と働く場合には、社員とその家族が幸せになれる環境づくりを行うことが大切です。

特に、日本が進出することが多いベトナムやタイは、生活の質志向に加えて、集団主義であり、権力格差が高い傾向があります。上司は人格者であることが期待されていることも覚えておく必要があるでしょう。

ホフステードの6次元モデルについてもっと詳しく知りたい方は、『多文化世界 違いを学び未来への道を探る [原書第3版]G.ホフステード/G.J.ホフステード/M.ミンコフ 著 岩井八郎/岩井紀子 翻訳、『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』宮森千嘉子/宮林隆吉 著 をご覧ください。


一般社団法人CQラボは、ホフステードCWQの日本オフィシャルパートナーとして、カルチャーに関してトータルな学びを提供しています。CQ®(Cultural Intelligence)とは…「様々な文化的背景の中で、効果的に協働し成果を出す力」のこと。CQは21世紀を生き抜く本質的なスキルです。Googleやスターバックス、コカコーラ、米軍、ハーバード大学、英国のNHS(​​​​国民保険サービス)など、世界のトップ企業や政府/教育機関がCQ研修を取り入れ、活用されています。

こちらからCQラボ代表理事 宮森千嘉子の異文化理解についての講座を1週間無料で視聴できます。
1分でわかる「CQ異文化理解」動画はこちら

いいなと思ったら応援しよう!