俺らはただ、めちゃんこヤバいライブをするだけ。The BONEZ・JESSEは、未来を“背中”で見せていく
RIZE、The BONEZのフロントマンとして、ラウドロックシーンを牽引するJESSEさん。
“太陽光発電のエネルギーを活用したロックフェス”『THE SOLAR BUDOKAN』にThe BONEZとして出演するほか、2015年からは地元・戸越銀座で『Bring The HOPE Project』を発足。
プロアマ問わず“希望”や“勇気”を発信するフリーイベントを開催し、地球や社会と向き合いつづけてきました。
そんなJESSEさんが、来たる“未来”に向けて、今取り組んでいることとは。
「すべての人を『ひとつ』にする気はないですね」
ーーJESSEさんは“太陽光発電のエネルギーを活用したロックフェス”『THE SOLAR BUDOKAN』に出演されていますが、いつもどのような想いでステージに立たれていますか?
JESSE:
「夢を語る」って実現していない状態じゃないですか。けど、誰かがそれに賛同して、続けることによってそれが夢じゃなくなっていく。
『THE SOLAR BUDOKAN』は「音を太陽の力で鳴らす」っていうシンプルなところから始まったけど、そこから枝分かれして、いろんな人のアイディアが積み重なって10年間続いているわけで、それに賛同できてめちゃくちゃ光栄です。
…ただ、人は十人十色だから。お客さんのなかにもマジョリティやマイノリティがいて、全員を「1」にする気はないですね。
JESSE:
たとえば、ボブ・マーリーの「One Love」のなかの「Let’s get together and feel alright」は独裁的な言葉に聞こえてしょうがないときがあったの。
「Love&Peace」だって、ラブがあればジェラシーもあるわけだから、ラブがあってもピースが生まれるとは限らないじゃない。
でも、ピースがあるとラブが生まれる可能性は高いから、俺は「Peace&Love」だと思っているんです。でも、言葉にすると叶わないこともあるから、自分だけが理解して解釈して行動することで、人が着いてきてくれることがあると思っているんだよね。
ーー必ずしも言葉にすることがいいわけではないと。
JESSE:
そう。影響力がありすぎる人こそ、露骨な言葉を使うことで、誰かを正しい方向に導くこともあれば、間違った方向に導いてしまうこともある。
だから俺は、ライブでも「好きにやれ!」って一言も言わず、みんなを好き放題させられる自信があるんですよ。俺が解釈したライブの仕方や熱の飛ばし方でお客さんは動くと思う。
JESSE:
ライブはあくまできっかけでしかなくて、最終的に変わるのはお客さん。とにかく俺らができることは、めちゃんこヤバいライブをして、その人の今までの“当たり前”を考え直させること。
こんだけいっぱいいるからさ、みんなが同じような呼びかけをしても届かないと思う。だから、JESSEなりの呼びかけをしています。
“背中を見せる”相手は、“未来の大人”たち
ーーJESSEさんは、2010年から毎年5月4日に『Bring The HOPE Project』というフリーライブを行われていますよね。
JESSE:
「Think global, Act local」というのを大事にしていて。「世界を変えるのは簡単ではないけど、自分の地元・戸越銀座からなら変えられるかも」というモットーがあるんです。
当時はハイチ地震の直後。お金じゃなくて、希望を届けるようなライブがやりたくて始めたイベントでした。会場は災害時避難区域でもある戸越公園。でも10年間ずっと許可が下りなくて…。
JESSE:
でもこの10年間で、お客さんがゴミを拾ったり、イベント前夜に「街洗い」と称して駅から公園までの道に水を撒いて掃除したりと、動いてくれるようになって、地元の人たちがそれを見て品川区に掛け合ってくれたんですよ。
10年かけて、街が動いたんです。
ーーそんなことが!
JESSE:
それも、もともと俺が自分でゴミ袋持ってきてて、普通に公園のベンチに座って、自分が飲んだものを入れていたら、みんなが勝手にやるようになっていったんですよね。
これをもし、「ゴミ袋を持ってくることがかっこいいんだ!」って言葉にしたら、「そりゃそうだ」って言う人と、「なんか冷めたね」って言う人とに分かれちゃうじゃん。
JESSE:
俺も親父からギターを教わったことは一度もないし、「ギター持て!」って言われていたらギタリストになっていなかったかもしれない。
でも、その姿を背中で見せられていたから、俺は気付いたら親父とまったく同じ道にいるんだよね。
ーー言葉にされなくても、自然と影響を受けていたんですね。
JESSE:
そういった意味で、“未来の大人”である子どもたちに背中を見せていくって大事だと思うんですよ。俺らなんてもう老いてくだけだから(笑)。
いずれ大人になる子どもたちの話を対等な立場でちゃんと聞いてあげる、ステージに立たせてあげる、発言させてあげる。それが一番食らうんじゃないですかね。
今、The BONEZのライブの最前列には(コロナ渦の立ち位置指定があるが故に)小学生が数人いるんですよ。その子たちは、小学生のときに俺らを観たことで、将来の進路に何か影響を受けることになるかもしれない。
俺らは子どもが神だと思ってるんで、その子どもたちに「JESSEやべぇ!」って言われるのが一番嬉しいです。
JESSE:
ただ、子どものレベルに合わせるんじゃなくて、対等にやらなきゃダメ。俺は大人に喋る口調で子どもと話すし、いつも通りライブをしています。
ちょっと優しくしたりとか、変に合わせようとすると、何も届かないんですよ。俺も子供扱いされるの、嫌いだったからね(笑)。
叶わないもんだと思って、蓋を閉めていた「夢」
ーー最後に、JESSEさんの「原動力」を教えてください。
JESSE:
俺の「夢」っすね。最近まで忘れてたんすよ。
もともとみんなのなかには、JESSEは常にポジティブで、太陽みたいな人で、正義で正解でっていうヒーロー像があると思っていて。いつからかそのJESSE像をキープしちゃってたんです。
ずっと背伸びしてきた人生。でも、不祥事を経てからそれが崩れて、「やっと意味のない鎧が全部取れた!」と思って。それからは、ただ人前でライブができるだけで最高に楽しかったんだけど…。
夢を思い出したんです。もう叶わないもんだと思って、蓋を閉めていた「夢」を。
JESSE:
俺は国籍がアメリカで、日本で税金をずっと20年以上も払いつづけてきたけど選挙権はないし、「この人をプッシュしたいな」という人が現れても、法律上何もできない。
それに囚われて生きてきたんだけど、あるとき、RIZEの楽曲を聴いたケンタッキー州に住んでいる俺のおじいちゃんから「JESSEが言っている言葉は一言もわかんないけど、良い曲だね」と言われて。
これまでずっと、俺の思想がまったく伝わらない歌詞を書いてたんだと気付いたから、The BONEZは全部英詞で書いてるんですよ。
それで、せっかく俺の世界観が多くの人に伝わる曲を作っているからこそ、「母国・アメリカで、一番かっけぇバンドになる」っていう夢が生まれたんです。
JESSE:
今は、バンドを始めたくなるぐらいかっけぇバンドがいないって思っていて。ヨーロッパもアメリカも、未だにでっかいフェスのヘッドライナーは、メタリカやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのような、20年前の大物たちなんですよ。
それを、今、ドカーンとこのバンドで叶えたい。めちゃくちゃ人が真似したくなるような生き方をして、めちゃくちゃ人が真似したくなるようなバンドになりたい。
それをちゃんと背中で見せていきたいなって思いますね。
今、2年後に向けて取り組んでいることがあるんですが…詳しくは内緒です(笑)。2年後のThe BONEZを楽しみにしていてください!
(取材・執筆=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=友海(@6stom__)
「The BONEZ presents LIVE TONIGHT with coldrain」開催決定!
2022年ラストとなるThe BONEZ主催ライブが決定! 対バンにはcoldrainを迎える話題のイベントです。
詳しくはThe BONEZオフィシャルWebサイトまで。
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