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OEDO[3-2] お花畑の逆襲

もうひとつSNSなどで繰り返される言説があります。「プーチンに言ってこい」「正恩に言ってこい」「近平に言ってこい」というアレです。護憲派の平和主義者が「戦争反対」や「軍縮」などを訴えるたびに繰り返される馬鹿の一つ覚えです。

彼らも直接言えるなら、声を大にして訴えるところでしょう。そんな無理を言う輩には、「よろしい、ならばその独裁者をここに連れて来なさい」と、一休さんよろしく返しても良いところです。独裁者に謁見することも、屏風の虎を引き出すことも、不可能なのは子どもだって知っています。

もし可能だと言うなら、軍国主義者のあなた自身が直接会えば良いのです。戦争賛成派は決まって「我々だって戦争をしたいんじゃない。平和を望んでいる。戦争を起こさないために仕方なく軍備を増強するのだ」なんて抑止論や均衡論を振りかざしますが、もっと冴えたひとつのやり方があるではないですか。

ブツはなんでも良いです。敵の指導者の直近まで行って「ブスリ」と一刺ししてやれば良いのです。定言命法的には殺人は絶対にいけないとされますが、戦場で両国の兵士が何千、何万と命を落とすよりはずっとましです。リーダーを失った戦線が崩壊するのは戦況の常。ずっと早くあなたの望む平和が訪れます。

すみません。冒頭からずいぶんと荒んだ物言いをしてしまいました。しかし、独裁者に近付けないどころか、敵国なんて、渡航するだけでもアブナイでしょう。中国や韓国はともかく、今のロシアや北朝鮮に行く勇気なんて僕にはありません。あなたも同じなのではないですか。

そして本当は気付いているはずです。独裁者に停戦を交渉したり、或いは暗殺したりするよりも、平和で安全な方法があることを。重税に苦しみながら軍備を増強するよりも、安価に済む方法があることを。何も敵国を武力で攻撃せずとも、彼らが大切にしているものをソフトに攻撃すれば良いのです。

中国も韓国も、日本の文化流入を長らく規制してきたことは、お詳しい皆さんならご存知ですよね。いや、両国ともにまだ全面的解禁には至っていません。そしてその理由も想像に難くありません。彼らが何を恐れているかは明白です。ならばそこが狙い目、相手の急所。攻め込まない手はありません。

彼らが恐れているのは自由で民主的な日本そのものです。何の規制もなく言いたいことを発言し、好きなコンテンツを制作し、世界に向けて発信できる文化そのものが脅威なのです。自国民がそんな文化に毒されるのが嫌なわけです。「敵の嫌がることをしろ」とは兵法の基本です。ウソです。

幸い我が国は「自由で民主的な党」が長いこと政権与党を務めていますから、放送法の解釈が変更されるなんてこともありませんし、ジェンダーギャップなど全く無縁。世界に先んじて同性婚も夫婦別姓も認められるようになり、多様性と調和の担保された理想の国家を実現しています。ウソです。

現状、こんな冗談も言ってられないほど日本の暮らしと先行きは細く、暗くなっています。増税、格差、物価高──ここに書き立てるまでもなく皆さん実感していますよね。この現状から軍国主義に大振れしたらますます暗くなるのは必然。敵国に文化的侵略を仕掛ける底力さえ削がれてしまいます。

敵が憎ければ、取るべき政策は逆です。カタチは何であれ日本国民の幸福を追求、実現することそのものが、隣国への嫌がらせ、即ち効果的な攻撃につながるのです。しかも遠隔から安全に仕掛けられ、人道的でありながら国内にも利がある一石二鳥な攻撃に。これこそがお花畑の刺胞毒です。

憲法を改正し防衛費を増額したい軍国主義の皆さんも、砲弾が飛び交う荒廃した国土を心から望んでいるはずありません。本当は美しいお花畑で暮らしたいはずです。自由、民主の一番恐ろしい効用はこれ、人々が幸せになってしまうことです。40年続いた東西の冷戦を終わらせた原動力もここにあります。

ゴルバチョフ1人の力ではありません。民衆が望むから国体は変化するのです。ソ連崩壊直前、モスクワにマクドナルド1号店がオープンした際には3万8千人の列ができました。マクドナルド1店舗に3万人ですよ。どれだけ飢えてたんだよって話ですが、その渇望がペレストロイカを呼んだのです。

同様に、北朝鮮を平和裡に解体する術も僕は知っています。単純に我々の生活と文化を見せつけてやれば良いのです。国土全体にスマホをばら撒いて、スターリンクの人工衛星か何かでパケ放題にしてやれば良いのです。正確には分かりませんが、おそらくかなりの短期間に内側からの瓦解が始まるはずです。

もちろんサブスクもつけてあげましょう。ミサイル発射実験しか見せてもらえないジュエちゃんも、アニメの方が見たいでしょう。とにかく攻撃は外側ではなく内側から。やや内角を狙い、えぐりこむように打つべし、打つべし。ついでに彼の国の明日のためにビラも「その1」「その2」と撒いてあげましょう。


※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。

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