絶望と現実

「今までありがとう、幸せだったよ」
それが精一杯の言葉だった。
私は彼の胸から離れて玄関へと向かった。
温もりなど少しも感じなかった。
抱きしめても触れている心地がしなかった。遠かった。

あの瞬間、私は一度死んだ。内臓が全てなくなった感覚がした。
自分の足が地についているのかもわからなかった。
苦しくて、息ができなくて、私は彼を愛していたのかすらも忘れていた。

終わりにしよう。これでいいんだ。
今の私に心などない。
そうさせたのはあの人だ。
もうどうだっていい。
これから二度目を死を感じるのか。そう思いながらも私は戦うと決めた。

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