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マーケティングニュースまとめ Vol.33:「インフルエンサー向け、放送禁止用語を冠するサービス」など

日本

Tiktok Resumeの1ヶ月

米TikTokは7月7日(米国時間)、求人企業と求職ユーザーのためのパイロットプログラム「TikTok Resumes」を米国で立ち上げたと発表した。履歴書の代わりに、自己PRとして動画を投稿しそのまま企業採用にエントリーできるというシステムである。そのプログラムを、1ヶ月運転してみての賛否意見が記載されている。

否定意見
①年齢、人種、ジェンダー、セクシャル/ジェンダーアイデンティティ、国籍といった領域が、意図的にせよ無意識にせよ、安易に差別の対象にされてしまう恐れがある。
②インフルエンサータイプにばかり採用が偏ってしまう。(表面的に演じられるタイプが多い?)
賛成意見
③ソーシャルコンテンツの制作という、今後いっそう重要視される能力を明確に評価できる
④アクセシビリティの良さ(採用ハードルの低さ)

おそらく一番効果的なのは、③だと思う。企業PRで今後自社SNSコンテンツを発信し、広告に頼らないモデルを構築するのは必須のスキルとなる。そんな状況下において、インフルエンサーの制作力は企業にとって喉から手が出る欲しい人材となっていくであろう。
k.t

日本柔道躍進の裏にあるパーパス戦略

東京オリンピック2020で、例年以上にメダルラッシュに沸く日本柔道界だが、その躍進の裏にはパーパス戦略があるらしい。「自他共栄」=「自分だけでなく他人も、そして社会全体が栄えていくこと」を意味する言葉をパーパスとして設定し、そのパーパスにそってさまざまな施策を実行したという。(練習にカヌーを取り入れチームビルドを学んだり、柔道以外の「道」である茶道や自衛隊の訓練も導入したそう。)
しかし、柔道の道を極めることで社会全体を繁栄させるだなんて極めてダイナミック。ここの理解を促すのに、おそらく井上監督はさまざまな工夫をしたのだと思う。この記事には触れられていないが、そんなカリスマ性もパーパスの裏にはありそう。
k.t

ハーゲンダッツ、平手友梨奈と佐藤健で「脱・ハレ消費」を喚起

みんな大好きハーゲンダッツが出した、ハレ消費訴求とは異なる広告を解説する記事です。広告の内容は、平手友梨奈と佐藤健が、自宅の何気ないひととき(であろう瞬間)にハーゲンダッツを美味しそうに食べているシーンです。
ハーゲンダッツといえば他のアイスとしても「高級」なイメージがあり、どちらかといえば特別なタイミングに食べたいアイスと思われているのではないかと思います。そうしたハレ消費から、日常消費にシフトすることを狙ったのが今回の広告だそうです。自宅に引きこもりがちな昨今の醸成にマッチした広告戦略と言えそうですね。
s.a

TikTok の新トレンド、「暗号を使った会話」にブランドは注目している

日常的に利用している人なら肌感覚でわかりますが、かつてのインスタグラムのようにTIKTOKも利用年代層が拡大し、流通するコンテンツも変化を続けています。
海外を中心に、最近では「詳しく説明せずに」物事を説明するコンテンツがトレンドになっているそうです。SNSに親しみ深いZ世代においても、あからさまに情報を押し付けてくる広告は嫌われがちです。そこで、広告をコンテンツ化しやすいTIKTOKの特性を生かそうとした結果が今回のトレンドにもつながってるのかもしれません。
s.a

海外

インクルージョンを体現する老舗マッチングアプリの新しいキャンペーン

日本では馴染みが薄いですが、欧米圏ではTinderとは別に人気を獲得しているマッチングアプリ"OKCupid"というアプリの新しいキャンペーンについての記事です。ちなみに、親会社のMatch GroupはTinderとこのアプリどちらも子会社として保有しています。このアプリではマッチングアプリの中でも初期から包括性の観点で進んでいるアプリの一つで、20以上の性的アイデンティティやパートナー対象を洗濯出来るそうです。
記事によると最近でもノンバイナリーやパンセクシャルなどのユーザーのさらなる増加も確認しているらしいのですが、そうしたアプリの特徴をある意味アピールするかのようなキャンペーンを展開しました。サイトでも掲げられている「すべての独身者に」というコピーにかけた「すべての○○のために」キャンペーンです。(キャンペーン名は筆者が勝手に名付けました)
〇〇には「ワクチン推進者」や「樹木保護主義者」、体型カテゴリとしてゲイの間で知られている「ベア系」など、様々なタグをはめ込みます。はめ込んだタグを、それを表す写真やイラストとともにOOHとしてニューヨークを始めとする都市に掲載していくキャンペーンになります。
コロナ含め、世間的にはマッチングアプリにとって追い風となりそうですが、人によっては挑戦的な内容を掲載していることに一部では反発の声が上がっているそうです。
s.a

放送禁止用語を冠する、インフルエンサーのためのインフルエンサーによるサービス

バズワードというよりは一般的な概念になりつつあるインフルエンサーですが、ブランドとインフルエンサーの力関係は度々問題視されています。有り体にいえば、ブランドや代理店がインフルエンサーを搾取しているということです。個人と組織ではやはり組織の力が大きくなるということでしょうが、その個人をつなげることで対等な関係で取引を結ぼうと生まれたのが今回紹介されているサービスです。
その名も"F *** You PayMe"で、「カネ払えク○野郎」ぐらい強いニュアンスが込められたサービス名となっています。インフルエンサーがこのサービスを利用すると、彼らは仲間が投稿したブランドの口コミ評判や契約料金、取引の際に重要になるであろう情報を取得することができます。
このサービスの開発者の中にもインフルエンサーがいるそうです。強い言葉と使用したサービス名は、その人物自身がなんども体験したブランドに対する不満を代弁することを意図していたようです。企業が個人クリエイターを搾取する構造はインフルエンサーだけに限らない話だと思います。フェアな取引をするためにインターネットの力を借りる時代が来ているのかもしれません。
s.a

Tiktokが非公式オリンピックチャンネル化する

イスラエルの水球選手が9人段ボールベッドに乗って壊したという事件は、そういえばTiktokからであった。選手村食堂で味の素が提供する餃子が海外選手に爆発的に人気という記事もこの3週間で何度も見たが、あれもTiktok。この記事では、もはやYoutubeやNHKなどといった公式チャンネルよりも、Tiktokの方が公式チャンネルとして機能しているということを言及している。
Hutchinson博士によるとアスリートたちは、TikTokを使って自分の知名度を高めるために、(単純に楽しんでいるだけではなく、)賢く「戦略的」に行動しているとのこと。
「メダルは取れないかもしれませんが、彼らがやっていることは、今、自分の周りで起こっている誇大広告を利用しているのです。つまり、彼らのキャリアの次の段階への個人的な投資のようなものなのです」と彼は言う。
つまり、オリンピックは彼らにとってのコンテンツ素材の一つにすぎず、自己PRコンテンツを作ることが主目的であり、そのために東京にきたと。それは、公式チャンネルも付け入る隙がない。2021はメディアのあり方を大きく変える分岐点となるかもしれない。
k.t

オリンピック公式チャンネルの最悪なUX

一方で公式チャンネルは、「悪夢」などと酷評されている。
Adaptive Pathの共同設立者であるJesse James Garrett氏は、NBCがインターネットでオリンピックのライブストリーミングを行うのは、今回で7回目であるというのに、いまだに「わかっていない」と言い切っている。

・CMのせいで早送りできない機能性
・おすすめ機能がなく、競技が見終わったあとはいちいち選択が必要。
・ニュース速報により結果のネタバレ。(ストリーミング放送は多少タイムラグが発生してしまう)
等々。

そこまで言わなくても?ってぐらいに、散々に叩いている。
裏にあるのは既得権益だ。別に、UXを改善しなくてもそのままであっても、約束された広告収入が一気に公式チャンネル運営元には入ってくる。そのような状況がUX改善に目を向けなくさせてしまうのは容易に想像できる。こうやって、権力は崩壊・分解されるのかも。
k.t