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会社のハラスメント問題を円満解決するパワハラ対策のカギはコミュニーケーションと相談窓口


人間関係トラブルを円満解決に導くことは管理職の役割

こちらの記事は深刻なハラスメント問題が続く自衛隊の話です。

消防署や自衛隊など肉体の酷使を必要とする職場では、とりわけハラスメントトラブルが発生しやすいようです。

しかし、「ハラスメントをやめろ」とやかましく言っても、なかなか改善できません。
一方で、職場でパワハラトラブルに対応することは管理職の役割です。

この記事では、<ハラスメント担当者が受けつける社内のハラスメントトラブルの相談>ではなく、ハラスメントトラブルを念頭において管理職が人間関係について日常的に相談にのる場合の対応方法について語ります。
関連リンクも参考にしてください。

ハラスメントをしたい人はいない

ハラスメントだとわかっていてわざとハラスメントをしている人は、ほぼいません。
この程度はOK。これは普通。理解しあえているから大丈夫。
と思い込んでいるときに発生しやすくなります。

人と人の間の認識の違いや誤解などがあるなかで、人間同士の相互作用でハラスメントトラブルが発生します。
そして、トラブルはゼロにはできません。

人間同士のコミュニケーションは不完全だからです。誤解思い込みなし理解を深めていくことなんて、できるはずがありません。

そうであれば、ハラスメントトラブルをゼロにするのはあきらめて、こまめに本音を言い合い許し合える環境を目指す方が現実的です。

そのためには、対話を通じていくつかの思考訓練を実践するとよいです。

ハラスメントトラブルはゼロを目指さない方がよい

ハラスメント加害者の多くは、「どうしたらいいかわからない。」という思いで悩んでいる人か、または自分は正しいと思い込んでいる人がほとんどです。

ハラスメントは悪気がなく行われるので、人権教育をしてもあまり意味がないでしょう。人権を踏みにじっているつもりはないですから。

自分の方こそ被害者だ、と思っている人の方が多いのです。

冒頭のニュース記事の中では、こんな意見もありました。

外部の専門家の相談員を部隊において、相談できるようにすべき。ハラスメントをしてしまう幹部も相談できるかもしれない。自分だってハラスメントしてもされても部内には相談できない。相談と解決の繰り返しが上手く循環することで、ハラスメントも減っていくと思う

確かにそうです。相談と解決の繰り返しこそ現実的なのです。
しかし、どうしたらよいかを相談したいとしても、職場関係者には相談しにくいものですし、そもそもそういった習慣仕組みも存在しないのが多くの職場の実情です。

しかも、職場の管理職に適切に指導できる能力があるとは限りません。

仕事にどう向き合っているか

上司に相談したら解決できるということではありません。
相談相手になる人がハラスメントトラブルへの対処法を身に着けている人でないと、かえってトラブルを助長することにもなりかねません。

冒頭のニュース記事でも、ハラスメントの背景についていろいろな分析や意見が出ています。
なるほど、とは思いますが、私は「仕事への向き合い方」への考察が薄いかなと思いました。

職場は仕事をする場所であって、原則として個人的な感情を持ち出してはいけないのです。
この考えを土台にしないと、ただの人生相談になってしまいます。

私たちは、いまある現実のなかで精いっぱい<いい仕事>をしなければならないのです。

あいつがおかしい」「あいつとは仕事ができない

でも、たまたまいろいろいろな人と出会い、そのメンバーで最高の成果を目指すのが大人です。
自衛隊はまさによい例です。

部隊内の人間関係で心理ストレスを抱えた状態だとしたら、戦争で勝てますか?部隊として最適の力を発揮できなければ全滅する確率が高まるのです。それでいいわけがないですよね。

他人に文句を言う余裕があるのなら、まずは自分が最適行動を取ることを考えるべきです。
手持ちの戦力(人材)で上手に戦うのが優れた指揮官です。
他人を変えるよりも自分を変える方が、結果を変えられる可能性が高いからです。
そして、有事に備えて部下を育成し信頼関係を築くことも指揮官の役割です。

仕事人として自分はどうあるべきか

という課題に本人が向き合い、時間をかけてその人なりの<職場における自分>を見出すことを対話を通じて支援しましょう。

各人の特徴を見極めて最も効果の高い成果を出すのも管理職の役割です。その方法の一つとして、部下との対話を繰り返す方法について考えてみましょう。

なお、コミュニケーションの取り方で悩む人は多いです。
以下の記事もご参考になさってください。

質の高い対話は心の余裕をつくり成長につなげます

質の高い対話を通じて、思い込みに気がづき適切なコミュニケーションを身に着けることは、相互に信頼関係を高めることになり、円満解決にもつながります。


仕事上の必要性を越えた付き合いも大切な一面がありますが、それは充分な信頼関係を気づいてから開始するものです。

人の感じ方や価値観はいろいろだから、よほど強い信頼関係を築けるまでは深入りしないで仕事上の関係にとどめよう。当面は対話を通じて信頼関係を高めよう。

そんな考え方になるためには、ある程度の思考の蓄積が必要であり、日ごろからたくさん思考を続ける習慣を身に着けることが重要です。

この思考の習慣は、対等関係の集団での経験が少なかった人には最初は難しいようです。
ですが、経験の量の問題なのであれば、適切な対話で徐々に新たな思考を蓄積してゆくことで改善できる見込みがあります。

だとすると、仕事への向き合い方と対人関係について思考を深める方向に誘導できる人が対話に適していると思います。

感情を捨てろと言うのではなく、自分の感情に気がついてもらい他者の感情にも配慮しつつ、仕事とプライベートを分けて考える方法を具体的に示すのもよいでしょう。

対話では傾聴と問いかけに徹する

「どんな怒りが込み上げてきましたか?」

「彼はどんなつもりでそう言ったと、あなたは思いました?」

「部下にどなってしまったことには業務上どのようなメリットとデメリットがありましたか?」

「ああしろ」「こうしろ」と結論を押しつけるのは、思考の蓄積の邪魔になるのでよろしくないです。
自分に向き合うための思考の時間を作ってあげましょう。

対話では、最初に感情を充分に吐き出してもらったうえで適切な問いかけをし、思考の時間を充分に提供することが重要です。

その際は、正しい答えを求めるのではなく、思いついたことをそのまま話してもらい、対話の相手はそれを受け止め続けます。

答えはコロコロ変わっていけばよいのです。やがて、
自分はこうあるべきであったが、それをできない自分がいる。
というところまでたどり着けたら、たいしたものです。
ただし、どう考えてもわからない、たどり着けないという人もいます。
それもその人の個性であり、ともに前向きに考えてゆきましょう。
管理職がどんな自分を目指すべきかを考えるときには、こちらの記事も参考にしてみてください。

綱渡りのようなバランス感覚で

自分の思考や感じ方のクセに気がつくことが重要なのです。
自分に完璧を求めてしまうと逆効果です。それでは他人を許せなくなるからです。

最終的に被害者も加害者も、自分の思い込みに気がつくこと、そして<お互い様の精神>にたどり着くことを目指してほしいです。

ハラスメントはいつでも発生しますが、互いの心理的ストレスに気がついて常に自分を修正してゆく、又は誤解を解いていく、又は自分の事情を説明して理解を求める、又は謝る、と言ったことを続けてゆくのです。

それは、サーカスの綱渡りのような毎日ではありますが、これがイヤだと感じて「マニュアルをつくれ」と言いだす人も出てきます。
職場環境を改善する方法としてマニュアル主義が相応しいかどうかは、その権限のある人が冷静に考えてください。

マニュアル主義を選べば、当然そういう組織に変化してゆきますが、そういうタイプの組織が相応しいケースもあるので、状況に応じて選択すればよいのです。

日々考え、成長し、許す

日々考え、成長し、許す。このあたりのことなら、多くの管理職の目標設定としては無難であろうと思います。
こうして管理職が<考え、成長し、許す>に近づいていけば、部下もそれなりに影響を受け、成長するでしょう。

社内でハラスメント相談にのる担当部署があるといいですね。対立をあおるのでなく、円満解決を目指す相談窓口です。

しかし、それなりに大規模な組織でないと、社内の利害関係が気になって相談窓口を利用してもらえなくなるため、機能しにくいかと思います。

外部カウンセラーの活用もよいことです。相談において感情を引き出し、自分自身の心に向き合ってもらうには、利害関係を持たない人、つまり部外者の方が効果を引き出しやすいでしょう。

電話有料相談もあります

以下の<ココナラ>の案内ページから電話有料相談がご利用になれます。
さらに詳しく、コンプライアンスやハラスメント、人間関係トラブル等に関連してお聞きになりたい方のための電話相談サービスでもあります。
相談時間をあらかじめ取り決めて実施できます。
1分ごとに課金されます。10分程度でも充分でしょうが、おおよそ数千円で済みます。気が向かなくなったら一方的に電話を切っていただいて大丈夫ですよ。

ハラスメント対策のセミナー・講演

ハラスメント対策は自社の経営理念と実情に応じて基本方針を決定してから行いましょう。
不利益人事は危険です。メリットとデメリットを意識して、トラブルをチャンスに変える円満解決を目指し、人材の成長を促して組織を活性化しましょう。
詳しくは以下のご覧ください。

ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 <(_ _)>