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2023年春 ウズベキスタン・タジキスタン 旅の言語・その1

今回のゴールデンウイーク連休を利用したウズベキスタン・タジキスタン旅について、「言語」に関する面をいくつか書き残しておこうと思います。まずこの記事は、「この言語を押さえておけば旅行に十分!」とか「これを覚えておかないと厳しい!」みたいな話ではありません

どちらかといえば「ゆるく楽しく、いろんな国の言葉に興味がある勢」つまり、何か外国語に惹かれるけどがっつり勉強するほどでもない、中途半端な性分の私みたいな方には刺さるものかと思います。ゆるく楽しく言語の話をする記事です。厳密な考証は行っていません。(本家はこちら

フジャンド🇹🇯発、タシケント🇺🇿行き国際バス。
行き先はキリル文字表記。Тошкент = Toshkent

まず、この記事を書いている本人(Yamal)は、言語学者でもなければ外国語にいくつも堪能というものではない点に留意して下さい。母語は日本語、第二言語の英語は、まぁ生活できるレベルには使えますが、その他の言語はカタコトもいいところ。中央アジア初訪問時の2017年時点ではキリル文字(後述)も怪しく、ウズベク語も「ラフマト(ありがとう)」ぐらいしか言えないレベルでした。要は、日本の高校までで習った言語しかロクに使えない奴が、どのように付け焼刃で学び、結果どうなったという体験談のみを共有したくてこの記事を公開してる点、ご理解いただけますと幸いです。(専門家の先生方からの誤り指摘等、もしありましたら幸甚です。)

全般的な旅情報はこちら↓


まずは舞台設定

では本番に行く前に、まずはこの記事の主要登場人物をご紹介しましょう。

  1. 英語:世界的な共通語(リンガ・フランカ)。欧州や他地域ではブイブイ言わしているものの、この地域ではやや影が薄め。でもさすがに観光地では「英語でおk」かといえば、実はそうでもない。

  2. ロシア語:この地域での圧倒的なリンガ・フランカ。そりゃ、三十数年前まではこの地域はソ連の一部だったわけで。外国人を見たらまずはロシア語で話しかけてみるかといえば、実はそうだったりする。

  3. ウズベク語:ウズベキスタンの公用語。実はトルコ語などと近い。ウズベキスタン全域でバリバリ活躍中かといえば、実はそうでもない。

  4. タジク語:タジキスタンの公用語。実はペルシャ語とほぼ同じらしい。タジキスタンだけで見かけるかと思えば、実はそうでもない。タジキスタン国内をほぼ席巻しているかといえば、実はそうでもない。

結構たくさん出てきます。そして「実はそうでもない。」のラッシュ。
また、ことばを書き表すのに使う文字ですが、

  • キリル文字(кириллица):顔文字でおなじみの"Д" (=D)をはじめ、アルファベットに似て非なるもの。ギリシャ文字を知ってると実は読めるのも多い。(参考:ローマ字キリル文字変換

  • ローマ字(roman alphabet):説明不要の有名人。

の二種類があります。じゃぁ、「4かける2で8通りあるのか」言えばもちろんそんなことはなありません。(キリル文字表記の英語って何?)あるのは以下の5通りで

  1. 英語ーローマ字表記

  2. ロシア語ーキリル文字表記

  3. ウズベク語ーローマ字表記(公式)

  4. ウズベク語ーキリル文字表記(非公式ながら街中では見る)

  5. タジク語ーキリル文字表記

でウズベク語が2パターンあります。これはソ連崩壊後に「従来はキリル文字表記だったウズベク語をローマ字化する!」とお上が決めたはいいものの、結局昔の表記がなじんでいる方が多くって今もキリル文字が残ってる、みたいな感じです。こういった事情からか、道路標識や公共施設の看板などはほぼローマ字表記でした。


学ぼうとしてから中途半端になるまで

1. ロシア語

はい、ではいきなり躓いた話から。
2017年春のウズベキスタン訪問時に「キリル文字すら読めないのはなんか悔しいので勉強しよう」と思い立って、超スローペースで勉強を始めました。使った教材は、外国語学習の定番シリーズから『ニューエクスプレス・ロシア語』、言語の仕組みをサラッと雑学チックに掴めるシリーズから『ロシア語のしくみ』、そして当時はNHK Eテレで放送してたロシア語講座です。

筆記体の習得は最初から諦めてるので、
手書きでブロック体を書くという体たらく。

これはあるあるなのでしょうが、教材を揃えたらLesson 1 だけ手を付けて飽きる、というパターンに見事にはまってしまいました。その後、気合で教科書をLesson 3ぐらいまで進めるうちにブロック体文字の読み方は一通り習得でき、ちょっと時間はかかりますがフリガナなしで白文朗読はできるようになりました。一方で文法ベースの学習はその辺で限界を感じて(特に格変化が多すぎて厳しかった…)フレーズ丸暗記のテレビ講座に切り替え。

テレビ講座はさすが。旅行で使えるものを耳から聴けるので、何回か見てると意外と覚えるものでした。今も現役第一線で酷使してるフレーズの

  • "У вас есть вода?"(ウ ヴァース イェースチ ヴァダー?)
    ー水はありますか?

  • "Можно сфотографировать?"(モージナ スフォトグラフィーラバチ)
    ー写真を撮ってもよいですか?

はこの時丸暗記したうち、今でも生き残ってる連中です。そうして白紙が多く残ったノートと、覚えかけの単語カードが部屋の片隅に残っています。

(別の記事で書こうと思っていますが、この学習はまったく無駄ではなく、2018年夏のキルギス訪問の際にはめちゃくちゃ役立ちましたが、これは別のお話。)

2. ウズベク語

そんなこんなでパンデミック。しばらく海外もいけないなぁーとしてるうちにウズベキスタン再訪とタジキスタン初訪問を構想しました。そんな中、従来から気にはなってたけど、教材がなかったウズベク語に朗報が! なんと、教科書が出たらしいことに気づく。

教科書『大学のウズベク語』、今回ゲットしたスザニに乗せて。

大学のウズベク語』は東京外大出版会から出てる、真面目な教科書で文法中心型。そういう意味では「旅行会話」だけをやりたい人向けではありませんが、下記の邪念を踏まえて「いっちょやってみるか!」となりました。

  • ウズベク語が分かったら旅がもっと楽しくなりそう!(もちろんこれが最大の理由。ただ「ほんまにそうかな?」という話は別記事で。)

  • ウズベク語やその他中央アジアの言語がトルコ語の親戚であることを、昔一緒に働いてたトルコの同僚から聞いていました。そして、トルコ語は日本語と語順が似ていて、英語 "go to Turkey" みたいに名詞の前に何かを置く(前置詞型)ではなく、日本語「トルコに行く」みたいに名詞の後に何かを付ける「後置詞型」の言語だとも。そういう後置詞型の言語って知らないので「どんなもんなんやろ」と思った。

  • 上記を踏まえて、ウズベク語がある程度身についたら、中央アジア地域のほかの言語(キルギス語、カザフ語、アゼルバイジャン語)やトルコ語もわかるようになって楽しいかもしれない!

というわけで思い立ったのは出発の1か月半前。遅えよ! とは言っても始まらないので付け焼き刃作戦で挑みました。

まず単語について。
ちいさい子でも使いそうな動詞(行く、見る、食べる)と形容詞(良い、美味い、大きい)にとにかく絞って覚えました。
その次は後置詞。過去(した)・否定(しない)・疑問(したか?)・願望未来(したい)といった動詞関連のモノ(こういうの「法」「時制」っていうのかな、教えて偉い人)。そして、場所(へ、から)や目的語(を)を表す名詞関連のモノ(これは「格」⁇)などを、フレーズごと覚えました。「サマルカンドに行った」「サマルカンドに行かない」「サマルカンドに行きたい」…みたいに。
なかやまきんに君か。パワー!

そんな、子ども目線なのか文法ゴリゴリ野郎目線なのか、何だか訳の分からんアプローチを取りました。

<<次回「その2」につづく>>

 


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