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Days.25 飲み物の魂

コーヒーの魂
以前、美味しいコーヒーの淹れ方を教わった。
飲む時の半分の量の水(お湯)で抽出を止め、
半分はそのままの水として足す。
後半の抽出は、色も香りもあまりなく、分析するとエグみや渋みなどの「良くない成分」ばかりらしい。

「良い成分」だけのコーヒー。
ほの甘く、優しく、すっきりと爽やかな後味で美味しかった。

が、 何かコーヒーの「魂」のようなものが欠けているようにも思えた。

コーヒーの魂、それは良くない成分に、
エグみや渋みに宿っているのかも知れない。



ビールの魂
秩父のカエデ樹液を頂いた。薄い薄い金色をした、森の恵みの粋のような美しい樹液。

…薄く、甘い…それだけ。

軽い糖分、酵素、天然の香りの成分だけらしい。
でもおいしい水のように、何でもないんだけど飲み出すとごくごく飲んでしまう。体には、体に良いものと分かるのだろう。

気まぐれに、しかし運命的に、この樹液を
糖質だのプリン体だのいろんなものがオフになっている軽やかで当たり障りのない「ビール風飲料」に入れて飲んでみたら、

おやおや。

奥深い、
味も、アルコールも、複雑な風味を持った、
爽快で豊かで少し謎めいた香りの、
上等なクラフトビールの味になった。

ビールの魂の、周辺を歩いたような気がする。


魂 それはなくてもそれなりに大丈夫だけど、世界の奥行きや豊かさを密かに構成している何か。

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