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嫌いな夏の好きな思い出

こんにちは。Coyoriスタッフの永田です。

梅雨が明け、暦では立秋を迎えましたが、本格的に暑いですね。小さい頃からバスケットボール(室内競技)ばかりしていたので、日差しを浴びると、肌が赤くなり、熱を出してしまう暑い夏はすごく苦手です。笑

早く涼しくなってほしいなぁと思いながら、Coyoriで投稿する夏に関する記事を今考えています。


夏が苦手な僕にはあまりにも少ない夏の思い出。「書くことがない。。」
と思った矢先、たった1つだけ嫌いなはずの夏に毎年参加している行事(夏の思い出)がありました。

夏の思い出「精霊流し」

唯一ある夏の思い出・・・それは「精霊流し」です。精霊流しはお盆に行われる行事で、初盆を迎えた故人の家族が、盆提灯や造花などで飾られた精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれる船に故人の霊を乗せて、「流し場」と呼ばれる終着点まで運ぶ文化です。僕が育った長崎県佐世保市でも、長崎市内ほど盛大ではないですが、精霊流しの文化がありました。

県外の方に精霊流しのイメージを聞くとすごくおしとやかなイメージがあるそうで、下の写真のような灯篭流しみたいな文化だと思ってもらえています。

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しかし実際の精霊流しは大きな船を引いて、爆竹を鳴らしながら町を練り歩く下の写真のような文化です。

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提灯をはじめとした装飾品で華やかな船が爆竹を鳴らしながら街を移動します。華やかで騒々しく、少し煙ったい。

静かに、厳かに故人を大事に思う行事ではなく、故人を盛大に向かい入れたり送り出すこの行事。夏が苦手なのに僕は小学校4年生から中学3年生までこの行事に毎年参加していました。

大人になった今、クーラーが大好きだったあの少年がなぜこの精霊流しが好きだったのか振り返ってみました。

繋がりを感じた町内会の「精霊流し」

本来は初盆を迎える家庭それぞれが、精霊船を用意し流し場まで運ぶことが一般的な文化なのですが、僕が住む町内会では各家庭の負担を考え、町内会が大きな精霊船を準備し、当日各家庭を練り歩き、挨拶をして代表して精霊船を流し場まで運んでいました。

僕が初めて町内会の精霊流しに参加したのは小学校4年生のころ。参加のきっかけは公民館で友達と夜ご飯が食べられる、お小遣いが1,000円もらえるという安易な理由。当時は精霊流しの意味もよく理解していませんでした。

町内会で大きな船と大量の爆竹を準備し、爆竹を好きなだけ鳴らしながら、初盆を迎えるご家庭へ。

「ここからはもっと爆竹鳴らして良かけんね」

初盆のご家庭が近くなると、船が来たことをご家族にも、故人にも伝えるために、爆竹をより盛大鳴らすよう町内会のおじちゃんからよく言われていました。

「町内会の精霊船でーす!」と叫ぶと、ご家族から
「宜しくお願いします。」と深々とお辞儀され、また次のご家庭へ。

それまでは「爆竹鳴らせて楽しい!いぇーい!」という子どもの気持ちから、「ここではお父さんが亡くなったんだ。」各家庭を回りきったころには、子どもながらに「ちゃんと船を流そう。」という気持ちになっていました。

船を流し場まで流し切ったあとは、当日の参加者と任意で初盆を迎えたご家族をお招きし公民会で懇親会。大人の思い出話やよくわからない難しい話を一緒に友だちと聴きながら地域の人と人のつながりを感じていました。

年に1回感じる「ご先祖様との繋がり」と「地域の人と人の繋がり」。

僕が子どものころは地域の繋がりが薄れていると言われ始めていた世代で、実際繋がりを感じることが少なかった僕にとっては、すごく新鮮で、誰かとの繋がりを感じれることがうれしく感じたことを覚えています。

この”繋がり”が好きになり夏嫌いな少年が結果的には部活と勉強で忙しくなる中学校3年生まで毎年参加することになりました。

今年もやってきたお盆

今となっては東京で働いているため、精霊流しに触れる機会は少ないですが、お盆が近づくとこの精霊流しを思い出します。

「一緒に船を押したあのおじちゃんは今も元気かな。」

ご先祖様との繋がりを大切にするお盆ですが、僕はあの頃繋がりを感じた地域の人たちのこと(生きている人たちのこと)も思い出します。

今年もお盆がやってきました。例年の長崎では提灯の明かりがオレンジ色の道を作るように繋がり、火薬の香りが町中に溢れます。

今年は流せるのかな。。。

東京ではもちろん精霊船を流すなんてことはできませんが、少し時間をとってご先祖様との繋がりを大切にしつつ、お盆を一緒に過ごしてきた大切な人のことも思い出してみようと思います。コロナ禍で帰省が難しい方も多いと思いますが、お盆の時期に少しゆっくりとご先祖様のことと地元の人、家族の人のことを思い出す時間を作ってみてはどうでしょうか。

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