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SS『制服は鎧』

私は夜の繁華街に立っていた。セーラー服のスカートにシワが付いてるのが気になって、叩いたり伸ばしたりしてるけどいっこうに取れなくて諦めたところだった。もう半袖でいい時期が来たけれど、大きめの薄いカーディガンを羽織ってた。そうしてるのが落ち着く。

走って駅に向かうOLが転けるのを見た。笑いが込み上げてしまった自分が嫌だった。そもそも笑ってしまったのは、あの人に自分を重ねたから。だって、あんなところで転けたら恥ずかしくて仕方がなくて、笑うしかないと思ったから。

こんな時間に電車に乗り込むランドセルがいる。きっといいところの私立に通わされてる子だろう。ほぼ二頭身じゃないか。体のほとんどをランドセルがしめているから、ランドセルが歩いているようなものだ。二十時半に一人で当たり前のように歩く小学生、きっと私よりも頭がいい。

私は見るものもないのにスマートフォンを弄る。友達の自慢ストーリーを眺めながら、お金稼がないとなと思った。あのブランドの香水が欲しかった。だって、みんなつけてるんだもん。明日は三限からだ。スマホをしまって、私は紙をかざした。丁度、スーツ姿の男性が多く電車から降りてきた。

「マッサージどうですかー?」

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