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距離と愛、それも本物の

『明日、キミに会えたら(原題:Like Crazy)』を観た。遠距離恋愛のカップルの話。切ない話だった。
(予告→https://youtu.be/RSemWtNXYT8)

遠距離のしんどさ、めっちゃわかる。
私はそれを越えられなかった人間だから、世界中の遠距離恋愛中の方に拍手を送りたい。ましてや、国際恋愛をしている方にはもう花束贈呈しちゃう。

日本人だから、国を越えた恋愛って聞くと自ずと『母国語が違う人と遠距離恋愛中』って解釈になる。でも、例えばイギリス人とアメリカ人みたいに、言葉はほぼ同じだけど国際恋愛って例もある。この映画の二人がそうだった。

相手によって満たされた時間を知ってしまっているからこそ、いなくなったとき、離れ離れになったときにどーんと弱ってしまう。私は、彼にはずっと側にいてほしいタイプの人間みたい。

「愛があれば距離なんて越えられる」なんて言葉も沢山聞いたけど、私にとって愛は心理で距離は物理。同じ天秤にかけるのおかしくない?って思っていた。心理で物理は越えられんよ、次元が違う。

でも、日本を含めて世界中には、心理で物理を悠々と越えるカップルが存在する。ほんとすごい。

ふと、「もしかして遠距離以前に、彼の事そこまで好きじゃなかったのでは?」と思うこともある。そうかもね、それもあるかもしれない。でも、遠距離が平気な人間なら、例の後輩の事もしっかり捕まえていたはずだ。(私の就職で遠距離が確定していたんやけど、この話はまた今度)

この映画では、ヒロインが「今すぐ来て」と彼にせがむシーンがいくつかある。会えなくて寂しい、もっと一緒にいたいと、かわいいわがままを言って自身の弱い部分を見せることができている。ずっと一緒にいたいという気持ちが勝って、不法滞在してしまったぐらいだ。愛が本物すぎる。

この映画の中で、どれほど二人が愛し合っているか。彼は、他の女の人と一緒になることがあっても、戻る先はヒロインの元なのだ。二人の気持ちが、あまりにも本物で、なんだか涙が出た。そして気づかされた。私は、心のどこかで本物の愛なんてものを諦めている。

私は、本当に好きになった人と、もう連絡が取れなくなってしまった。正確には、取れないようにした。自分の気持ちばかり本物でも、相手もそうでなければこの気持ちは葬らざるを得ないと知った。私のあの気持ちは、すっかり死んでしまったのだ。

この映画の中で二人は、別れてしまってからも何かあると連絡を取り合っていた。私はそれを「不毛だからやめたい」と言ってやめた。もし、もしも、彼とこうして連絡を取り合っていたら?自分の不甲斐なくて情けない気持ちと向き合って、「会いたい」と言うことができていたら?そんなことを考えているけれど、これこそ「不毛」。

こういう、シンプルだけど訴えかけるような、物悲しい映画は好き。バッドエンドは苦手だけど、「いいことばかりが恋じゃない」と教えてくれる。まさにリアル、本物の恋愛。だからこそ、いたたまれなくなって、二人がぶつかるシーンなんかを見ると涙が出る。

胸が締め付けられるようなことばかりが恋じゃないとわかっている。けれど今は、悲しい恋しかできない気がしてならない。正直、誰かに一途に愛してもらう自信なんてないし自分もそう。相手を信頼できずに「私はこの人の何人目なんだろう」「過去一番好きな相手になれているのだろうか」って疑心暗鬼になるばかりなのは目に見えている。

愛されたい、一番になりたいばかりの受動的な態度じゃダメなのはわかってるけれど、もうあんな思いはしたくないという気持ちが強くて、つい保身的になってしまう。

ただ、どこへもいかないでほしい。

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