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値付けのためのちょっとした哲学

 ビジネスをやるにあたって、値付けというのはかなり大切なものである。決め方について様々なサイトを検索すると、大まかなポイントとして次の3点を挙げていることが多い。
 ・需要を分析して、市場価値の有無や将来性を考慮する
 ・サービスを提供するのに要している原価などの経費を考慮する
 ・競合するサービスやお店の提供価格を考慮する
コワーキングスペースもりおかをやるにあたって、私もこのポイントをかなり参考にしてサービスに対する価格を設定し、お客様の要望に応じて少しずつ変化させていったのだが、その根底にどのような姿勢で値付けをしてきたのか、皆様にAかBかお聞きしたい。

A.仕入れやデザインなども含めて、私達はこの商品・サービスに価格を設定
 した。その価値に対してお客様が支払うことは、至極当然の話だ。
  (サービス提供側の都合を優先した価格設定)

B.仕入れやデザインなども含めて、私達はこの商品・サービスを安く提供し
 たかったのだが、どうしてもこの位支払わないと同業者などの生活も含め
 て提供し続けられない。このためにお金を出してもらうことを、申し訳な
 く思う。
  (消費者側の目線に立った価格設定)

 資格を取得して先生やコーチングを生業としている方やデザイン性が強い産業に就いている方だと、Aと答える方は多いと思う。一方、Bと答える方は、前述の通り消費する側に近い営業系とか販売系に多いと思う。私自身はBではあり、実家が電気店だったのと因果関係があるのかないのか不明ではあるが、ヤマダ電機やコジマといった家電量販店やジャパネットたかたのようなテレショップの売り方は、Bっぽいアプローチを感じる。

 さて、この2通りの考え方のうち、どちらが利益を出せるだろうか?
それをひとまず考えたときに、しっかり利益を出せる考え方はAだと思う。対価をいただく側の事情や意向が強く働きやすいからである。それゆえに支払う側が苦労しやすいため、一時的に利益は出せても持続性はないように感じる。実際にAのような視点で展開しているビジネスは、10年近く同じ商売をしている印象はない。その反面、Bを意識した値決めは、即時的な売り上げにはつながらないものの事業やサービスの持続性はあり、長く続くことで社会全体に信頼性のある商売となっていることが多い印象がある。最終的にはAよりも利益が出ているケースもあるだろう。

 最後に、これを考察していくことで、どっちの発想がいいかどうかという判断は、皆様にお任せしたい。私もそこまで哲学者というわけではないので。もちろん考え方に対しての好き嫌いもある。どちらを意識してサービスを提供し対価を求めるかを考えたときに、どのやり方がよいのか一本化していくこともよいが、戦略的にどちらかを使い分けながらやっていくこともいいかもしれない。ともあれ、その根底にサービスを受ける人やこれから始めたいという人を意識して、サービスに対する値付けはしっかり考えてやってほしいと願う。

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