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ホテル療養を終えた人に「まだ感染力あるかもしれないでしょ」と言い放つ、心ない医者がいる話。第2章

こんにちは。コロナにかかったニートです。

こちらは第2章の記事です。序章はこちらから。
第3章で終わりたい。

ホテル療養を終えて、コロナはもう治ったっていうのに、かかりつけの病院にいこうとしたら「まだ感染力あるでしょ」と言われ、隔離&自腹でCTを受ければ診察してあげる、と言われた話。

の続き。


病院との電話を切ったあと、道のHPで見つけた「新型コロナウイルス人権相談窓口」。ここに電話をかけてみたところから、続きの話は始まります。


北海道の、新型コロナウイルス人権相談窓口にかけてみた

電話をかけると男性が電話に出た。

一通り状況を説明すると、歯切れのよくないことをいろいろ言われたのだけど、結論として「ここは他の窓口を案内する中継地点のような役割なので、それ以上できることはない」ということだった。

なんだそりゃ。


たぶん、ひたすら相槌を打って共感すれば事が済むタイプの「相談」というのも世の中にはたくさんあるだろうから、そういう用の窓口なのだろうと思った。

それで、2つの窓口を案内してもらった。


ひとつは医療安全相談窓口
医療機関が正しくあるために、指導や改善などを行ってくれる場所だそうだ。平日の15時までしかやっていないみたいだけど。

もうひとつは、法務局
法務局って、ちょっと大ごとで怖そうな感じ。みんなの人権110番というところにかけるといいと教えてもらった。

よし、かけてみよう。


医療安全相談窓口への電話

病院と、新型コロナウイルス人権相談窓口に電話したのは12月17日(木)のこと。

日があいて12月23日(水)、医療安全相談窓口へ電話をしてみた。

優しそうな女性が電話に出た。
優しそうで物腰柔らかな女性の声って、ほんとうに安心するよね。


事情を聴き終えた女性は「うーーーん」と困ってしまった。

応召義務といって、病院は正当な理由なく診察を断ってはいけないというルールはあるんですけど……今回は診察を断っているわけではないんですよね。条件をクリアすれば診察はするんですものね」

でも、普通の美容室やスーパーに置きかえて考えてみれば「こっちのオプションや商品を買わないと、通常の物も売りませんよ」っておかしい。これは実質拒否しているのと同義ではないか。


と思って、そう話すと「気持ちはわかるし、ちょっとどうかなと私個人としては思うんです。でも医療安全相談窓口としては、できることはあまりないかも。できたとしても、こういった意見がありましたよって報告するだけ。注意や勧告、是正などはできないんです。すみません」と言われた。

そういった法律なんだろうな。仕方ない。

法務局に賭けるしかない。


法務局の「みんなの人権110番」への電話

「はい、みんなの人権110番、人権擁護相談員の○○です」

ちょっと、けだるそうな声。平泉成に似た系統の声色。電話の前で椅子にふかぶかと腰をかけ、背もたれを存分に有効活用しているおじさんの姿がイメージできた。

私が簡単に相談内容を説明すると、おじさんは「え?はい?どういうことですか?」と言った。「はい?」のトーンは「→↑」という感じ。

もう話したくない。もはや話したくない。


病院との電話で散々嫌な思いをしてきて、半ば藁にもすがる思いで電話した先で、けだるげに、少し高めのトーンで「え?」「はい?」って。話をきき返すときにその言葉を使われるのは、横柄な感じがして好きじゃない。

ここって人権相談窓口でしょう。
嫌な思いをして、メンタル削られた人が相談してくる電話でしょう。それでこんな対応をされて、安心して続きを相談しようなんて気持ちに誰がなるものですか。ならんわい。


後で法務局の人に聞いたけど、この人権擁護相談員というのは、行政が推薦したボランティアの方らしい。退職した教員や精神科医の方に、行政から依頼をしてこの職に就いてもらっているらしい。

キャリアとしては十分な人たちなはずなのに。
あたりが悪かっただけかしら。


まあ、いい。
今回はこんなところでつまづいている場合ではない。

もう一度丁寧に詳しく状況を説明すると、おじさんは「ちょ、ちょっとお待ちくださいね」と電話を保留にした。


1分ほど待つと「もしもし、お電話かわりました。法務局職員の福永です」と別の男性が電話に出た。30代くらいの男性。今度はボランティアではなく、法務局の職員。誠実で話の早そうな印象の方だ。

結局この福永さん(仮名)が担当についてくれたのだが、実際に誠実で話の早い方だった。助かった。


福永さんは「…ということで先ほどの者から伺っていたのですが」と内容を確認してくれたのだけど、どうもうまく伝わっていないようだった。もう一度、あらためて詳しく状況を説明した。

「ああ……それはつらいですよね。お医者さんでもそう言う方がいらっしゃるんですね」と共感してくれた。ほっとした。

ただここは裁判所と違って、相手に何かお金を請求したりはできません。事実調査の上、相手方に改善のお願いをしたりはできます。

調査にあたっては法務局に来ていただく必要があるので、多少お時間をいただいてしまうのですが、どういった対応を希望されますか?」ときかれた。


ホテル療養が終わって日も浅く、まだ外出は控えたかったので「電話での聴取じゃだめですか?」と聞くと「複数人で資料を確認しながらお聴きしなければならないので、すみませんが」と言われた。

それで、結局法務局にいくことにした。


12月25日、クリスマスの日に。

とんだクリスマスだ。


福永さんに「こっちのセリフだよ」って言われちゃいそうだけど。あの人はそんなこと言わないか。


法務局に行ってきた

札幌駅北口を出てすぐに、札幌市の法務局はある。初めてきたけど、大きなビルだ。

到着すると、いつもの誠実な声の主福永さんと、もう一人別の30代くらいの女性が出迎えてくれた。


法務局の方は、ファイルが型崩れするくらいたくさんの資料を用意して待っていてくれた。私の話を要約した文書と、それを落とし込んだ「調査票」というもの、それから病院のHPをプリントアウトしたものなど。

なんだか今更とても申し訳ない気持ちになったけど「私が言わなきゃ誰が言うんだ」と改めて気合をいれ、用意してくれた資料をベースに事実確認をしていった。


コロナはいつ発症して、どんな症状があったのか。
ホテル療養をいつ終えて、電話をかけたのは具体的に何時だったのか。
電話ではどんな言葉を用いて説明をされたのか。

「どんな言葉を用いて」というところはとても大事らしい。
「この条件で納得いただけないのであれば、うちでは診察できない」と言ったのか「この条件でお願いできませんか?」と言ったのかなどの微妙なニュアンスが、特に大事なようだ。

正直、一言一句覚えようと思って電話していたわけではないから、記憶をさかのぼるのは大変だった。でもやっぱり何回どう考えても、あれはお願いベースではなく「条件を飲まなければ診ない」だった。

1時間ほどかけて、状況の確認が終わった。

そして、法務局のできることを教えてくれた。


法務局のできることとは

今回の件にかぎらず、法務局のできることは大きく7つある。

援助|関係機関への紹介、法律上の助言などをおこなう
調整|当事者間の関係調整をおこなう
説示・勧告|人権侵害を行った者に対して改善を求める
要請|実効的対応ができる者に対し、必要な措置をとるよう求める
通告|関係行政機関に情報提供し、措置の発動を求める
告発|刑事訴訟法の規定により、告発を行う
啓発|事件の関係者や地域に対し、人権尊重に対する理解を深めるための働きかけを行う

今回できることは②調整か、③説示・勧告だそうだ。


全て聞き終えた福永さんは「医療関係者なのに、コロナについて知識がない方もいらっしゃるんですね。僕でも少し調べたら、このくらいのことすぐにわかるのに」とプリントアウトしてあった20枚ほどの資料を見せてくれた。

発症から10日経てば感染力がなくなる。
ホテル療養を終えた=感染力はない。
療養終了時にPCR検査はしない。

そんなことが書かれた資料だった。

そしてこう続けた。


「本当に、正しく知ってほしいですよね」


それはまさに私が今1番望んでいることだ。直接言わずともその意識が共有できていることに、私は静かに感動した。福永さんが担当でよかった。


これまでの状況まとめ

あらためてコロナ発症~法務局までの状況を整理してみる。

12月7日|コロナ発症
12月8日|PCR検査
12月9日|陽性確定
12月11~17日|ホテル療養
12月17日15:00|病院に「コロナは治ったがレントゲンを撮りたい」と相談し、診察予約
12月17日17:20|病院から「感染力がまだあるかもしれないので、隔離&自腹でCTを撮らなきゃ診察しない」と言われる
12月18日14:00|新型コロナウイルス人権相談窓口に電話
12月23日14:00|医療安全相談窓口に電話
12月23日14:30|法務局のみんなの人権110番に電話
12月25日11:30|法務局で状況確認

法務局で一通り状況を確認したが、まだ具体的に動いてもらえると決まったわけではない。

「不開始事由」というものがあり、これにあたる場合は調査ができないそうだ。(例えば「既に裁判が行われている案件だと法務局が二重に調査することはできない」など)

今回の案件もこの不開始事由と照らし合わせ、問題なければ相手方の病院にも事実確認を行い「そんなこと言っちゃだめだよ~!なおそうね!そんなことやめようね!」と連絡をしてくれるそうだ。

調査できるかどうかは年明けに連絡をくれるらしい。

です。

というわけで、コロナによる人権侵害ちっくなものに対して、声をあげてみた話なんですけれども。
また年明け、進捗がありましたら続きを更新しますね。

それでは、また。


【1月11日追記】

先日法務局より電話があって、無事正式に調査開始していただけることになりました。

調査には最低1か月はかかるらしく、2月以降にまた連絡をくださるとのこと。病院側の守秘義務もあるので、途中経過などはあまり開示できないこともあるとか。

とりあえずきちんと調査はしてくれるみたいなので、気長に待つことにします。

それでは。

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