ホテル療養を終えた人に「まだ感染力あるかもしれないでしょ」と言い放つ、心ない医者がいる話。序章
こんにちは。コロナにかかったニートです。
コロナは基礎疾患持ちの人は重症化しやすいと聞いていたけど、私は喘息持ちなので、罹患した時には「急変」「呼吸困難」が起こらないか、少し不安でした。
ちょうど私がホテル療養しているとき、神奈川でホテル療養中だった方が酸素飽和度の低下で亡くなってしまったというニュースも流れていたし、なおさら。
結局、私は最後まで急変やなんかはなかったけど、ホテル療養に行く前日には若干の肺の痛みに悩まされていました。ちょっとだけ痛い。息はできるし喘鳴(ぜいめい・呼吸時にぜーぜーする感じ)もないけど、ちょっとだけ痛い。
それで保健所の人に「心配だからレントゲンを撮れないか」と相談したのですが、「コロナの方が行ける外来はないし、ホテルにもレントゲンの機械はない。レントゲンを撮るなら入院するしかないけど、満床だから数週間待ち」と言われまして。
結局、ホテル療養を終えて1週間たった今もレントゲンは撮れていません。
ホテル療養後、もちろんレントゲンを撮りに行こうとしました。かかりつけ病院に電話して「コロナは治ったけど心配なので、一応レントゲンを撮ってほしい」と相談しました。
それで、タイトルのような状況に至るわけです。
「ホテル療養を終えた人に『まだ感染力あるかもしれないでしょ』と言い放つ、心ない医者がいる話。」
私の疾患と、病院に「レントゲン撮りたい」と相談するまでの話
最初にもお話した通り、私は喘息持ちです。
他にもホコリや花粉などのもろもろのアレルギーがあったり慢性胃炎だし肺炎や気管支炎も経験しているし未診断だけど肋間神経痛や低血糖症があったり…なんやかんや色々あって。一応毎日数種類の薬を飲んだり、通院したりはしてます。
あと我が家には「母親は心配をするのが仕事」と言う世話焼きな母親がいます。
コロナになった時も、仕事やらで忙しい上に実家は遠いのに、いろいろ買い出しをしてくれました。
「悪寒がするしそもそも部屋が寒い」という私のわがままをきいて毛布を買ってきてくれたりして、とても助かりました。ありがとう母。
で、その母親が言うわけですよ。
「一応肺の写真とってもらいなさい」と。
「いやコロナ治ったし、ええやん」と私は言うけど「一応とってもらいなさい!なんもなきゃそれでいいんだから」と、母は言うのです。
疾患だらけの私。
離れて暮らす母親はそりゃ心配するよね。
まあ心配してくれてるんだし、かたくなに拒否する理由もないなと思って、ホテル療養を終えた12月17日の午後、かかりつけの病院に電話をしました。
かかりつけの病院に電話をしてみた
「…というわけで、ホテル療養を終えたけど肺のことが心配なので、一応レントゲンを撮ってほしいんです。明日は予約取れますか?」と、電話をかけてみた。
すると電話口の女性は「ホテルを出る際に、PCR検査をして陰性だったということですよね?じゃあ今は症状はないんですか?」と言った。
「あーーーーーーーーーーーー…えっと、あの、PCRはしてなくて、嗅覚障害は残っているんですけど、その」
ホテル療養を終えて久々に帰ってきた自宅で、私は頭をかかえて言葉を探した。
「コロナが治った」の判断基準はPCRではない
コロナが治ったと判断する基準はざっくり2つ。
①発症から10日経過
②10日間のうちの最後の72時間、息苦しさなどの重い症状がない
これをクリアすると国や自治体が「あなたはもうコロナの感染力はありませんよ。治りましたよ」と認めたことになります。
(ずっと前は発症から14日という基準だったけど、研究が進んで2020年12月現在はこういった基準になっています。研究が進むとまた変わるんだろうな)
ホテル療養終了時にPCR検査はしません。療養終了時にPCRを受けると、感染力の有無にかかわらずウイルスの死骸的なものが反応して高確率で陽性反応が出てしまうそうです。
とにかく。
ホテル療養を終える時にPCR検査はしないけど、ホテル療養を終えた=完治したということです。
もう一度いいます。
ホテル療養を終える時にPCR検査はしないけど、ホテル療養を終えた=完治したということです。
もう一回いいますけど、
ホテル療養終わった=治った!!!だからいちいちPCR検査はしない!!でも治ってる!!!!!一緒にいてもうつらない!!!
現在の基準ではこのように定められています。これに従って、みんなで協力して動いていくしかない。
それなのに、看護師さんでも正しい知識を持っていなかったのです。
愕然としたけど「…ということで、コロナは治ってるんです。嗅覚異常はありますけど」と説明すると、電話口の女性は「わかりました。それでは明日ご予約をお取りいたしますね」と言ってくれた。良かった。
病院からの電話
予約を取れて安堵した数時間後、病院から電話が来た。
嫌な予感がしながら電話にでると「ホテル療養、今日終わったばかりですよね」と、先ほどの女性の声がした。
そうですけど、と答えると「その場合は他の方と同じ対応はできないと、院長が」と女性は言った。
提示された受診の条件は、以下の通り
①他の方とは違う入り口・お手洗い・待合室を使うこと
②CTスキャンを自腹(6000円程度)で受けること
……気持ちはわかる。
未知のウイルスだし、自分の病院でクラスターを発生させるわけにはいかないから、用心しておきたいというのはわかる。100歩譲って、隔離まではわかる。
でもCT自腹ってなんだ。
必要のないオプションを押し売りして「これを買わなきゃ通常のサービスも提供しません」って。美容室やスーパーにでも置きかえて考えてみてよ。おかしいでしょ。ひと昔前の「このオプションつけなきゃ携帯買えません」っていう携帯ショップか。そんなわけあるか。
大体コロナ感染拡大のリスク回避と、CTってなんの関係があるんだ。CT受けたって、その場の感染拡大防止にはなんの効果もないでしょう。
まあいいよ、10000歩譲ってCT受けるのはいいよ。
あくまで「病院都合」での「お願い」なのに、なぜ私が6000円も自腹を切らなきゃいけないんだ。
コロナに対する正しい知識もない、不当な扱いをしちゃいけないっていう倫理観もない、押し売りするし、提示する条件に合理性もない。
なにもかもおかしいじゃないか。
しかし電話口の女性は「うちではそういう対応をお願いしておりまして」の一点張り。
まあこの女性が決めたことじゃないし、これ以上物申しても状況は変わらないので話を次に進めた。
「ではこの条件について詳しく知りたいのですが、詳細は病院のホームページなどに記載されているのでしょうか」
あらかじめどこかに記載されているならまだいい。少なくとも電話してから傷つけられることはないわけだ。
しかし、女性は答えた。
「いえ、記載はありません」
その後はこちらが何を言おうと、何がどんなにおかしかろうと「院長がそう言ってたんで」の一点張り。自分で考えて「これは曖昧だしおかしいので、確認してきます」という気概はこの女性にはないようだった。看護師としての寄り添いの精神はどこにいった。
憤りが言葉に出ないよう、細心の注意を払いながら終話に向けて質問した。
「それでは、療養終了から何日後から通常の受診が可能なのでしょうか」
女性の回答は、こうだった。
「いやあ、その時の状況や症状にもよるので、なんとも」
私「え……あの、えっと、病院でそういうルールが定まっているわけではないんですか?」
看護師「ルールというか、その時の症状などを伺いながらになるので」
私「では現在嗅覚異常のみ残っている状態なのですが、その場合だと何日後からOKなんですか?
看護師「ちょっと、それも場合によるので」
私「じゃあ、ということは、明確なルールはないんですか?」
看護師「そう…ですね」
いやはや。どういうことだ。どうなってるんだ。
病院の言い分をまとめてみる
整理しよう。病院から言われたことはこうだ。
・別の入り口、お手洗い、待合室を使う&自腹でCTスキャンを受けなければ受診はできない
・通常の受診ができるようになる基準(症状・日数)はない
・受診の条件についてHPなどに記載はない
そもそも考えてみれば、ルールがもとから定まっているのであれば、一旦でも予約をとれてしまったことがおかしい。
その時点で気づくべきだった。
「この病院は、なんとなくコロナ明けの人が怖いから、なんとなく隔離して、なんとなく自腹でCTを撮らせようとしてるだけだ」って。
この病院には、喘息などで5年くらいお世話になっていた。
新聞などにも載っているらしいし、権威ある先生なんだと思って安心して通っていた。
でももう用はない。
ありえない。信じられない。
最後にこう質問した。
「療養明けた翌日はだめなんですよね?じゃあ来週の月曜はいいですか?だめですか。じゃあ火曜日は?そうですか。じゃあ10日後ならどうですか?」
そうすると電話口の女性は間延びした声で「とおー…かごなら、まあ……ええ」と言った。
そして散々聞き飽きた、このセリフを付け加えた。
「その時の症状によりますが」
さいごに
………と、ここまでが序章です。
第3章までで終わりたいと思っています。
医療関係者、というか一病院の院長ともあろう方がこんなことしてたら、職場や学校での差別なんてなくなるわけないじゃないか。
ていうか、ひとつこんな病院があるということは、もしかして全国にまだまだ山ほどあるんじゃないか。
「このままじゃいけない。せめてもっと事実をよく知ろう。行政にも事実を知ってもらおう」と思い立ち、翌日「新型コロナウイルス人権相談窓口」というところに電話をかけました。転んでもタダじゃおきあがらないぞ。
ツイッターには少し書いたけれど、このあとさらに色々なところに電話して、最終的に法務局にもいってきました。
その話はまた第二章で。
それでは。
私に、コーヒーを一杯ごちそうしてくれませんか。