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【統合失調症 (旧名:分裂病)】を知ってほしい。

こんにちは。
公認心理師・臨床心理士の塩むすびです。

以前、精神病院の記事で統合失調症のことをたくさん書いたのですが、文量が多くて読みにくかったので記事を分けました。

統合失調症。
この言葉にどんなイメージがあるでしょうか?

昔は人格崩壊とも言われていた病気ですが、
今や薬もすすみ、早く治療をすれば社会復帰が可能な病気となってきました。


今日は詳しく解説させていただきます。

統合失調症はどんな病気なのか?


統合失調症は、脳の神経伝達物質がうまく働かなくなっていることが原因で起こるのではないか、と言われています。

ただ、はっきりとした原因がまだわかっていないのです。

だからこそ理解が進んでおらず、完全に治るような薬も開発されていないんですよね・・・。

小さい子でなることはほとんどなく、中・高生以降に発症する方が多いです。
 

初期症状

体が重たい、疲れやすい、集中力が落ちる、忘れっぽい、やる気がでない、緊張しやすくなる、人目が気になる、仕事の質や学力が落ちる・・・等、

なんとなく調子が悪い
といった前兆のある方が多いです。

この時期に統合失調症と分かる方は非常に稀です。


症状が進んだ時


幻聴(実際にはない声が聞こえる)
幻覚(実際には見えないものがみえる)
感情の起伏がなくなる
感情のコントロールができなくなる
考えや言葉にまとまりがなくなる

・・・等の症状がみられるようになります。

全部ではなく、どの症状が出るかは人によって異なります。

同じコロナでも、熱が出る人もいれば、喉が痛くなる人もいれば、味覚に障害が出る人がいるのと同じです。


早く薬を飲む大切さ


統合失調症の場合、早い段階で薬を飲み、
治療ができると悪化しにくいです。

反対に症状が進んでから薬を飲んでも
十分に効かない場合があります。

初期症状のうちに治療ができると回復が良い
というのはどの病気も同じなんですね。

抗精神薬に抵抗がある方も多いかと思いますが、

病気を進行させないためには大切なことなので、
統合失調症の診断を受けたら医師にしっかりと説明してもらうことをお勧めします。


あまり知られていないのですが、
統合失調症も早い段階で薬を飲み、
治療を続ければ社会復帰される方も多くいます

周りに病気だと思ってもらえず、本当は疲れているけど仕事がたくさん回ってくる、という相談を受けることもあるほど、「普通」に見えるのです。

ひと昔前と比べると医療が進んでいるので、精神病がまったく治らない病気ではなくなってきているのですね。


ポジティブな情報に偏りすぎるのもよくないのでお話させていただくと、調子がなかなかよくならず、長い間治療やリハビリを続けている方もやはりいらっしゃいます。


統合失調症は「完全に治る」というのは難しく、「薬を飲むことで症状を出さない」という治療の仕方になります。

薬によって異常を起こしてしまった体のなかの仕組みを整えているので、薬をやめると数年以内にかなり高い確率で再発してしまうのです。

症状が良くなったからといって薬を手放すことは難しく、これが統合失調症の方の悩みの種になりやすいのです・・・。

薬を飲むと喉が渇きやすくなったり、頭痛や眠気が起こったり、手が震えたり、体がそわそわしたりと、副作用を感じられる方も多いんですね。

また薬を飲んでいても、強いストレスがあったり疲れが溜まると症状が出やすくなるので、自己管理がとても大切になってきます。


独り言について


統合失調症というと、
独り言を話すイメージを持つ方もいると思います。

こちらも統合失調症の方がみんなする訳ではなく、

「幻聴」という、声が聞こえてくる症状
(ストレスがかかると生じやすい)のある方の、

さらに一部の方にみられるものです。

怒っているように見えても、
それはその方のなかに自分を責める声が聞こえており、
その声に抵抗しようとしてる方が多いです。


実際に精神病の方が周囲に危害を加えている現場を見た、という方はほとんどいないと思いますが、

幻聴によって周りに危害を及ぼす方というのは本当に限られています。

(周囲に危害を及ぼす恐れがあると判断されると入院になります)



当事者の方々の気持ち


統合失調症について一番知っていただきたいのが、ご本人たちはすごく苦しい!ということです。

症状は人によって全然違うのですが、

自分の意思に関係なく、急に怖い気持ちが沸き起こってきたり、
自分を責める声が聞こえてきたり、
頭が思うように働かずスムーズに話せなくなったり、
体が疲れやすくなったり・・・

不安になることもどかしい思いをされることがすごく多いのです。


本当はもっと元気にスムーズに物ごとを進めたいのに、病気によってそれが阻まれているのです。

それは精神科以外の病気や障害と同じことです。それに加え、周囲からの理解を十分に得られないことが多いとなると、その不安は計り知れません…。

私はあくまでも当事者の方々とお話をさせていただいている立場なので、本当の当事者の方の声も、こうした背景を知ったうえで聴いていただけたらと思います。

(もちろん私のこれまでの話も絶対的なものではなく、1つの見解としてご理解ください)


おわりに

まだまだ誤解の多い精神疾患について、すこしでも知っていただけたら嬉しいです。

読んでくださり、ありがとうございました!

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