見出し画像

発達障がい支援向上のために

前回の記事で、私の本命としていたテーマは発達障がい支援と文化財保護であったことに触れました。
今回は発達障がい支援のため、当選後新人女性町議としてどのような取り組みを行ったかを書きたいと思います。

なぜテーマとなったか


まずこのことを私のテーマとしたのは
古民家カフェ経営のときにこの問題に直面したためです。
母が15年ほど放課後児童クラブで勤務しており
状況をほんのり聞くことが多かったこともありますが
あまりにもたくさんの子育て世代の皆さんが
身近にこの問題に悩んでいること
お子さんのことだけではなく、
配偶者の方や親御さんや
働く職場でも同様に悩まれている方が多いことがありました。

カフェを経営しているとお話を聞いてほしいというお客様が一定いらっしゃっいます。多くは将来の夢や、家庭や生き方のお悩みです。
私は夢や悩みを聞くと合理的な最適解を考えてしまうし、解決のための行動を相手にも求めてしまうタイプです。
おそらく多くの方は聞いてもらうことで気分転換してまた日常に戻るのだと思います。それを分かっていて上手に聞き流せる方がカフェ経営には向いているのかもしれないなあと思います。
たくさんの方のお悩みに触れ、いつも解決できないのかなあとモヤモヤしていたことが出馬した時のバネになりました。

選挙にまで出てしまうのだから
私は本当に人の話を聞くべきではないなあと思います。


当選後の行動


当選後は即座にヒアリング・現場調査を始めたことは前回の通りです。
福井県内における支援の在り方、各市町とわが町での取り組みの状況を可能な限り調べたつもりです。

調べると福井県は発達障がい支援については先進県のひとつであることが分かっていきました。
福井大学附属病院には一流の教授の先生方が招聘されており、子どものこころ診療部があり、特に永平寺町は大学病院の所在地である関係からコホート調査の対象となってもいました。

その反面、私が議員となった当時は、町内には就労支援施設が1、放課後等デイサービスは0、心療内科小児科のクリニックも0。町内の支援対象者はそのサービスを町外で受けなければならない状況でしたが、町外の病院の診察予約がなかなか取れないという噂もよく耳にしていました。

施設のなさは当初圧倒的で
この質問の準備期間にも就労支援施設が増えるなど展開もあり、
見学にもお邪魔しました。

また私としては町外や県外で行われているような単独の子育て支援センター施設の設立や就労サポート事業などがないことも不満でしたが(町の子育て支援センターは、イコール役場の子育て支援課)、民間園新設について論じられている当時の段階でそこまでを質問するのは町の予算規模などからも拙速に思われました。
(議員任期終盤では、県の予算として各市町に1施設ずつ子育て施設をという方針が出ましたので、プライバシーの守られる子育て支援センタースペースをお願いする質問をしました)


このような状況のためか、大学病院のご配慮か、永平寺町では町予算単独事業として松岡の保健センターで療育事業を行っていました。一般質問での答弁にもある通り、医療につなぐことを目的として設置された保健事業ということでしたが、取り組みとして非常に素晴らしくありがたいものです。
この事業があることを知ったとき、感激とともに心にひとまずの安堵が広がったのを覚えています。

また子育て支援課長とお話していく中、ご配慮いただき、保育園や療育事業、子育て支援事業の見学もさせていただけました。
仁愛大学から園の支援相談に来ていただいているという先生ともお話する機会をいただきました。お忙しい現場にお邪魔させていただいて、お話させていただけたのはとても貴重な機会でした。

また、福井県の独特な取り組みとして、子育てファイルふくいっ子という県の事業があることを福井県こども療育センターの先生に教えていただきました。気がかりな子どもたちの様子を継続的に記録しておくものです。

発達障がいは成長の段階に応じて障がいとして顕在化したりしなかったりするため、大学に入って初めて発現する、就職して初めて発現することもあり、速やかな診断と治療のためには子ども時代の様子の記録が非常に重要だということ、また進学などの成長段階の切れ目が支援の切れ目にならないようにしなければならないことから、ふくいっ子ファイルは継続的支援を可能とする事業です。

なんて画期的かつ必要な事業が潜んでいるんだろうと驚きました。

本当なら関連書籍や全国のニュースでも先進事例として紹介されてよいような素晴らしい取り組みです。

特にASDのような、知能が高く学生時代は適応できてしまうタイプの方は就労してから苦労されることが多く、また診断も記録がないと難しいと聞くことがたびたびありました。

この事業はきっと10年後20年後に救われる人が出てきます。
そのときのために、この事業が現場で効果的に使ってもらえているか確認するのが議員の務めなのだろうなと思いました。

そして今ある療育事業ができるかぎりすみずみまで困りごとのある子どもたちと悩む親御さんたちに広がるようお願いすること。
不足する施設の誘致・積極的な受け入れをお願いすること。
また細やかな対策が多角的に用意されているか確認すること。
等々
一般質問にむけて確認事項のリストが揃っていきました。


その間、担当課長・教育長とはたびたびお話し、
町内の支援状況の進捗や審議や質問を行う上で
当事者の方を傷つけないような配慮の在り方などについてや
質問を行う上で適切な時期なども相談しました。


令和元年12月定例会一般質問


このときの質問項目は
①永平寺町の未来を作る少子化対策・子育て支援とは
②文化財保護事業の今後の計画は
のふたつでした。

少子化対策として、子宮の疾病を減らし出生率を上げるため
・子宮頸がん検診をHPV検査併用検診事業を行われてはということ
子育て支援として、
・生きづらい子どもたちへの支援体制はということと
・幼児園・幼稚園施設再編計画はまず命の安全を
ということで質問しました。

※発達障がいという言葉は診断されていない子を含まないニュアンスもあるなどから気がかり児童、生きづらい子どもたちという表現がされています。

子宮頸がん検診をHPV検査併用検診事業については
ある日この研究をされている先生からお手紙をいただいて
永平寺町に書面を送っているが回答がないということだったので、
私のほうから双方に連絡し、
その後質問をさせていただくことになったものです。

また改めてこの内容について詳しく投稿するかもしれませんが
併せてお読みいただけたら嬉しいです。

↓ 永平寺町議会HP 議事録

https://www.eiheiji-gikai.jp/files/admin/teirei0112/239d83396ea4d4653dd22f5eddc0ba73.pdf

一般質問への回答として、今読み返すとかなり前向きに細やかに丁寧にご回答をいただけており、また具体的に取り組んでいただけたこともありました。
詰め込みすぎてしまって自分自身がこまやかな対話ができていないのが本当に残念です・・・。

特に教育長の答弁の中で、学校に特別支援教育の免許所有者を4名入れ、また学校教育支援員の配置が重要であるので今後も継続して増員していくということがありましたが、教育長はこのお約束をしっかり守ってくださり、結果近年では県内で最も生徒に対し学校教育支援員の割合の多い自治体となりました。

教育長からは毎年毎年この経過をご報告いただいたこと、
答弁内で触れられていた学校の先生方が作った療育サークルを
その後見学させていただいたこと
(一度一緒に登山もしました😊)
また福祉保健課長からも放課後等デイサービスができるという情報が入ったとき教えてくださったこと
継続して予算審議決算審議や全員協議会、教育民生常任委員会の中でも
質疑を繰り返す中でその都度回答をいただいたこと
とても感謝しております。


議会中継の映像


マインドフルネスと発達障がい


議会とはまた別に発達障がい支援のための取組みとして
マインドフルネス講座の開催なども尽力をしました。

マインドフルネス(瞑想)が発達障がいに効果があるかどうかについては
研究論文がネット上でも少し見つけられるのですが
福井大学の先生も講演の中で推奨されたり
ペアレントトレーニングのプログラムにも組み込まれているというお話も
うかがっていました。

また私自身が永平寺中学生時代に黙想という取り組みを経験し
集中力の向上に非常に役に立った思いがあり
大人になってからも注意力が散漫になるようなときなど
お寺に坐禅に出かけるようにもなったということもあり
体験として効果があるように感じています。

永平寺のお膝元ということもあり
坐禅や、マインドフルネスの体験機会が増えることにより
メンタルコントロールがしやすい環境づくりができると考え
まちづくり会社の社員さんと、マインドフルネス学会員の先生にお願いし
開催をしていただきました。

当選したばかりで議員とはなにかも知らないまま勢い込んでお願いして
当時ご迷惑をおかけした部分も大きかったと思うのですが、
開催をしていただけたこと、たくさんの人に体験機会が提供できたこと
今も本当に心から感謝しています。

当時のチラシ
50人定員で満員の開催となりました。

2019年春は前回通りにヒリヒリだったのですが
心を整えることがこんなに求められているのだと実感を掴むことができ
頑張らねばと思えたのでした。

坐禅やマインドフルネスという取り組みが
これからも禅の里の町づくり、そして人づくりの中で広がっていっていただけるとありがたいなと思います。


取組みの結果


私が議会に入った当初
発達障がいということを取り上げる議員は
ほとんどいらっしゃいませんでした。
言葉自体も、それが社会問題化していることも
ご存知ない方も多くいらっしゃいました。
理事者側も関係ない課の方はあるいはそうであったかもしれません。

まず私が議会に入ったことで最も効果があったことは
皆さんがこの言葉を知るようになったということでした。

そしてそれが鬱などの二次障がいに発展したり、
いじめや引きこもりの原因にもなりうるものであること
担当される保育士さんや先生方にご苦労ご負担があることも認識されるようになりました。

町内に放課後等デイサービスができてからは年度ごとに利用者が急増し
その必要性の大きさに驚きの声が上がるほどでした。

理事者と議員の共有する課題として、委員会や審議の中でも質問する時間を持つことができるテーマのひとつになりました。

これまでの4年の中で議会の最大のテーマは幼児園再編と民間園設立であり
最初のうちは子育て支援、幼児園教育という話題のほとんどを占めており、発達障がいの入り込む隙間はあるだろうかというほどでしたが、
粘り強く質問を繰り返すうち
視察先の園の方や新設園の方との話し合いのなかでも、
その必要性など侃々諤々話される場であっても
発達障がい児対策の在り方については私の専門として妨げられることなく質問させてもらえたように思います。

声を届けるということは、議会の中でそのテーマについて話をする時間を保有するということです。
例えばサッカーのときに自分がボールを持ったときに、どれだけそのボールを死守し、効果的なパスが生み出されるかに似ている気がします。

また民間園の賛成派として議員間で連携していくなか、発達障がい支援に関心を深めて大切なことだと認識してくださる議員も現れました。

教育民生常任委員会でご一緒していた江守議員はそのお一人で、
地元企業さんから働くお母さんたちの子育て支援としての療育事業支援を要望されたということで、療育事業について活動を始められ、私も知己の民間の療育事業者さんに相談をお願いするなどお手伝いをさせていただきました。

またそのような活動の輪から自然、稲田朋美先生に福井の中の声として、発達障がい者支援が求められていますということもお届けする機会が増え、
稲田先生も国会の女性議員飛躍の会の定例勉強会のテーマに取り上げてくださっていました。

2022年3月8日のFacebookより


しかしその反面、任期終盤頃にこの療育事業とはなにかと質問された議員さんもいらっしゃったので、この4年間何ども審議されたことが聞こえていなかった方もいらっしゃったのだなあ💦と残念極まりないこともありました。

しかしこればっかりは特定の方にはこういった問題は世代関係なく耳に届かないものなのかもしれません。


これからの学校教育の現場ではより地域社会との交流も求められているのですが、せっかく地域活動に熱心に活発に活動されたとしても、知識不足や思い込みからもし差別的な態度や言動が子どもたちに向けられてしまったらと思うと心配です。


発達障がいは、誰にでもある脳の特性や癖で、そのときそのときの環境に特性が適応できるかどうかで障がいか否かの診断がされるものです。
少し癖が強いことでコミュニティの中で浮いてしまうこともあるかもしれませんが、逆に癖があることで素晴らしい能力を発揮することもあります。
そのことが社会の生産性をぐんと高めます。

個性を尊重し合い、多様性社会を構築すれば、みんなにとってどんなに楽しい、笑顔の多い世界になることでしょうか。

恥ずかしいことや差別されるようなことではないのです。

誰かが個性を押し殺して我慢していたり、自分を卑下して苦手なことをなんとか人並みの平均に追いつかせようとすることが社会の生産性を高めるでしょうか?みんなが幸せな世の中でしょうか?

社会を支える側の人数がどんどん減少している今の日本では
限られた人材を大切にして強みを伸ばしてもらうことが大切になります。
誰もが個性が認められ、自信をもって社会の中で活躍できる
共生社会、多様性の社会は決して理想論ではなく
実現されなければならない課題なのです。


現に私は今、身体を悪くしてできることが限られていますが
得意分野を生かして社会に役立つ仕事ができているし
お客様にも楽しんでいただけて、笑顔の毎日です。
共生社会は実現できるのです。


しかし、このような理解を今後も広めていく努力が
差別意識の撤廃と正しい理解の周知が
今の社会にはまだまだ必要のようです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?