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大人だから、安っぽいデートしたい

大学生の頃、時間はたくさんあったけど
とにかく常にお金がなかった。
社会人になってやっと、
安っぽいのデートの
本当の価値が分かるようになった。


学生時代の生活は、
昼間授業を受けて夜は飲食のバイトして
クタクタになるまで働いても
せいぜい月の収入は10万程度。
親に仕送りもしてもらっていたが
お酒の飲み方や賢い暮らし方も
よく分かっていない大学生の私は
なぜかいつもお金がなかった。

大学時代に憧れていたデートといえば
ちょっと背伸びしたドレスを着て
夜景の見えるレストランでシャンパンを飲んだり
彼の運転で遠くまでドライブして
露天風呂付きの温泉旅館で蟹を食べたり。
とにかく大人のデートに憧れていた。

いざ大人になると、まあ相手はともかく
憧れていたデートをしようと思えば
できるような環境になった。
経済的にはゆとりができた。

ただ、いやだからこそ、
お金をかけないデートを楽しめる相手って
心底相性が良い相手なんだと
初めて知った。

友達とは、よくこんなデートのことを
"クロノスタシスごっこ"と呼んでいる。
きのこ帝国の名曲。

コンビニエンスストアで
350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩
時計の針は0時を指してる
"クロノスタシス"って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ

お金をかければ、
いくらでも楽しい演出はできる。
だけど、夜の公園、缶ビール一本で
楽しい空間にできるかどうかは
二人の波長と相性次第。

安っぽいデートをすることで
結果的に相性の良い相手が分かる
っていう文脈ではあるけど、
なんにせよ24歳の私は
けっこうそういう地味なデートがしたいな。

波長が合わない二人にとって
夜の公園なんて話すネタが無さすぎる
気まずい沈黙の闇夜でしかない。


だけど、最高の二人なら
暗闇のキャンパスには話したいことが
どんどん溢れて沸いてきて
きっとクロノスタシスが起こるんだろうな。

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