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"Liar (It Takes One to Know One)" - Taking Back Sunday; 嘘つき【和訳】

昨日、とある現場で「好きな男性のタイプは?」って訊かれて、咄嗟に「嘘つかない人」と答えてしまったけど、厳密に言うとちょっと違う。

嘘はついてもいい。ただ、嘘だとわからないようにしてほしい。相手に嘘だとわからなければその嘘は存在しないのだから。
嘘をつくなら、絶対にバレないようにする義務がある。それが嘘をつく者の最低限の誠実さだ。
間違っても、自ら嘘を告白して懺悔することが誠実さだと思わないでほしい。それは自分が赦しの言葉を得て救われるためだけの自己満足だ。

とは言え、わたしだって嘘をつくことがないわけではないので、これは自分も戒めとして心に留めていることである。
嘘をつくならつき通す。つき通せないなら嘘はつかない。
もちろん正直であることが一番の理想だけども。

若しくは、最初から嘘だってわかる嘘ならいい。人を傷つけない嘘もいい。
「サンタさんはいるんだよ」とか。(まぁ、サンタさんはいるけど。うちにプレゼントを運んでくれるのはサンタさんじゃないとしても)


いちばん悲しいのが、口にした約束を守らないことだ。
嘘をついているわけじゃない。だけど、守られない約束は結局嘘になる。
その約束が楽しみであればあるほど、それを実現させる気がないと知った時のこちらの心のダメージは大きい。もともと低い自尊心と自己肯定感がべこべこに凹む瞬間だ。自分との約束は守る価値がないと思われているのか、と受け取ってしまう。

つまり、社交辞令で「今度ごはん食べに行こう」「いつか一緒に○○しよう」これを言われるのが一番辛い。わたしは社交辞令だと思わずそのまま受け取ってしまうから。そしてこれをやる人は男女問わず本当に多い。

その約束を本気にして楽しみに待っていても、いつまで経っても誘いが来ない。
こちらから声をかけても「その日は都合が悪い」「また今度」と言われる。そして「今度」は来ない。

そうしてようやく気づく。あぁ、ただの社交辞令だったんだと。

実現させる気がないなら社交辞令だとしても言わないでほしいし、言ったなら実現させてほしい。本当に傷つく。
(だからこそ、自分も言いっぱなしにならないように気をつけている。自分発信で約束したことは守りたい。)


そうだな。だから、好きな男性のタイプは「自分の言ったことをちゃんと守ってくれる人」だ。



というわけで、前置きがだいぶ長くなったが、本日の和訳を。

アメリカのエモ系ロックバンド・Taking Back Sundayの「Liar」。
2006年発売のアルバム『Louder Now』に収録されている。
前置きが長くなったので、TBSについてのあれこれは次回の歌詞で書きたいと思う。

サブタイトルの「It takes one to know one」は慣用句。

It takes one to know one.”という表現を直訳すると、
「その種の人だと分かるためにはその種の人である必要がある」
というような意味になりますが、
そこから、「私とあなたは同類だ」というような意味合いになり、
例えば、相手に批判されたときに、
「そう言えるのは自分もそうだからでしょう」
という切り返しの表現として用いられ、
「自分もそうだから人のこともそう思うんだよ」「そう言うあなたこそ」
「あんたに言われたくないよ」「その言葉お返しします」
などという意味になります。
また、そのような相手の批判に対する切り返しの表現ではなく、
自分も相手と同じ立場や状況にあるということを表して、
「それはお互い様」「私も同じだから分かるよ」
などという意味になることもあります。

英会話;1日1フレーズ」より

自分も嘘をついているから、相手が自分を欺いていることもわかる。
なんとなくわかる気がする。

自分も隠し事があるから、相手も何か隠してるんじゃないかと感じる。
自分も言葉の裏に本心を隠しているから、相手の言葉の裏を深読みしてしまう。

嘘に限らず、自分がしているから相手もそうしているのではないか、と疑う(というか気づく)ことってあると思う。

……だけど、それでも離れられない。
「結局僕らは同類なのだ」


それから、サビで突然「choir boys」(聖歌隊の少年たち)と出てくるのがよくわからなかったのだが、この歌詞の下地にあるのが、ウィリアム・ゴールディングの小説『蝿の王』だということを知ると奥行きが見えてくる。

『蝿の王』は、聖歌隊の少年たちの乗っていた飛行機が墜落し、南太平洋の島に流れ着くということから始まる物語。救助を待つ間、少年たちだけで共同生活をしていくことになるが、理性に従い行動しようとする主人公と、彼を敵視する少年の対立から、悲劇の連鎖が起こっていく。
大学時代に講義の一環で映画を観たが、本当に後味が悪くてわたしはもう観たくないw

この歌詞の「聖歌隊の少年たち」は主人公と対立して暴力的になってく少年たちをあらわしているとのこと。
仲間を殺害するまでに暴力的になっていく少年たちも、もともとは聖歌を歌っていた。小さな不信感が重なり、疑心暗鬼を増幅させる。そうやって心の中に怪物が生まれ、暴走していく。

そんな背景を知ると、本能と綺麗事が同居する人間の本質を表現した曲のようにも思える。


MVはこちら。かっこいいし構造が面白くて好き。

いやぁ、エモい。
めちゃめちゃかっこいいロックサウンド。
サビに入る前の「ギュイーン!!」がかっこいいので必聴。


Liar (It Takes One to Know One)

All our secrets they are tailored trouble
Draped loose now around your hips
Your spotless instincts are valid
We coexist
Got 26 days to work with (Got 26 days)
We've got 26 days to work with
(It moves, it moves, it moves)
We'll see what all gets done

僕らの秘密はすべて仕立てられた問題
君の腰の周りをゆったりと覆っている
君の汚れのない本能は有効で
僕らは共存している
26日間に及んだ
僕らには26日間あった
いったいどうなるかわかるだろう

I'm an addict for dramatics
I confuse the two for love
You can't tell me that you don't beg

僕はドラマの中毒者で
それを愛だと混同してしまう
僕を求めないなんて言わせない

Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)
Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)

嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)
嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)

Got 26 days to work with (Got 26 days)
Then back on that island that you swear by
Still barely can afford
It's still a question of "How long will this hold?"
"Well is it any different now that we are" (I said we are patient)
"Oh, don't you go there, not here, not now"
(It moves, it moves, it moves)
"Not here, not now"

26日間過ごした
それから君が信頼しているあの島に戻る
僕にはまだ辛うじて余裕がある
まだ疑問がある
「いつまで続くのか?」
「今の僕らと何が違うのか?」(僕らは耐えている)
「ああ、そこに行かないで、ここじゃない、今じゃない」
「ここではない、今ではない」

I'm an addict for dramatics
I confuse the two for love
You can't tell me that you don't beg

僕はドラマの中毒者で
それを愛だと混同してしまう
僕を求めないなんて言わせない

Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)
Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)
Yeah, we're all choir boys at best

嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)
嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)

Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)
Liar (Liar)
If we're keeping score
Then we're all choir boys at best
(Intrusive and arrogant)

嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)
嘘つき(嘘つき)
もし点数をつけるなら
僕らはせいぜい聖歌隊の少年たち
(押し付けがましくて傲慢だ)

Liar (Liar)
Liar (Liar)
It takes one to know one

嘘つき 嘘つき
お互い様だけどね

©️Taking Back Sunday 2006

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