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クリスマスにはキャロリングを

やばい!!今年全然本読めてない!!

焦りながら図書館へ駆け込んだ11月、1冊の本が私を呼んでいた。

『キャロリング』

私の大好きな本『塩の街』の著者、有川浩先生のホンダ。
本だ。

有川先生の本はほとんど読んでいたけれど、これはまだ読んでいなかった。

よし!!今月はこれを!!と、手を……
伸ばしかけたところで、思案。

(キャロリングなんてめちゃめちゃ聖夜なタイトルに表紙の本、クリスマスの時期に読んだらめちゃめちゃオシャレ女子を演出できるのでは???)

と、下心丸出しの魂胆が浮かび、伊坂幸太郎の『バイバイ、ブラックバード』を借りて帰った。
(面白かった)

❄🎄❄

そして来たる12月中旬、「クリスマスにはキャロリングを」と心でつぶやきながら図書館へ向かうと、そこにキャロリングはいなかった。
考えることはみんな同じなのだと笑った。

そこでキャロリングは諦め、いつもの如くクリスマススペシャルなテレビやラジオに囲まれて過ごそうと決めて1週間。

私はオシャレ女子を諦めきれなかった。

というのは冗談で、久しぶりに『塩の街』を読み返してみて、やはり有川浩の言葉を諦められなくなった。

という訳で、12/23に購入した。

クリスマスまで残り2日、果たして私は今年のクリスマス中に読み切れるのか。
一抹の不安を感じながら、読む。

こちらを向いた銃口にはまるで現実感がなかった。

……。

………。

お?

これ、本当にキャロリング?
私キングスマンライトノベルズ読んじゃった?
私が想像していたキャロリングは

聖なる夜に綿飴みたいな雪が降る。

的な一文から始まる、ピュアで透明感ある物語だった。

よくよく背表紙のあらすじを確認してみると、

クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに──。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。

なるほど。

キャッキャウフフ、じゃなかった。

結論から言うと、昨晩から読み始めて今読み終わった。

まさに寝食を忘れるほどに読んだ。

キャッキャウフフじゃなくて、リアルな子どもの視点と、弱いままでしかいられなかった大人の視点、どちらも真っ直ぐに描かれていた。
有川先生の物語は私の日常からは離れたものが多いけれど、あくまで登場人物は「ああ、そこにいるな」ってナチュラルに受け止められる。
それでいて、みんな、本当にみんなチャーミングだ。

折々でやっぱ有川浩だな!って思わせられるピュアで美しい表現(めっちゃ上からですみません)に心にたんぽぽを植えて貰った気分になる。
いや、クリスマスだからポインセチアにしよう。

❄🎄❄

篭もりきった家の中で、様々な温度を感じたり、色を見たり、花の薫りを感じられるのは、物語に世界を案内してもらえたからだ。

こういうクリスマスも悪くない。
いや、毎年特に何もしてないんだけどさ。

オシャレ女子にはなれないけれど、クリスマスには『キャロリング』を

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