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不安な時代に農業に興味を持った方へ(2) 農への10の関わり方

(1)では日本の食料自給率について書きました。

では次に、生産との距離を縮める方法の紹介になります。このご時世外出が自粛されておりますが、食料の生産の手は止められません。

また、自給率に不安がある中、食を生み出す活動に乗り出すことは必要ではないでしょうか。それに生産の現場は、三密から真逆のような場所です。
(もちろん感染対策が必要なことは言うまでもないのですが。)

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 1、オンラインショップ

まず一番手っ取り早く始められるのは、農家さんから直送食料品を買うオンラインショップだと思います。

普段から定期的に買い支えてくれているお客様の名前は覚えていると当園のオンラインショップの農家さんもおっしゃっています。

生産者と直接お互いを認識しあっていると何だか安心感がありますよね。

もちろん一朝一夕で関係性は作れないので、普段からの交流が大事だと思います。

あとは今有名なところだと、「食べチョク」さんでしょうか。

新型コロナ感染症対策で自炊が増えた家庭に対して送料を負担するプログラムなどを行っているそうです。

 2、食べる通信

次により生産の現場を知り、現場と交わるサービスとして、食べる通信があります。

食べる通信とは、食べ物つきの情報誌です。農業だけじゃなく水産物なども取り扱っており、生産者とのSNSでの交流や現地体験ツアーなども行っているようです。

 3、マルシェ

さらに近くの農家さんから直接買うことで、それこそ顔が見える関係に近づきます。

藤沢市だと、「ふじさわやさいを作る仲間たち」などが定期的に野菜を販売しております。

 4、援農

1〜3は生産者と買ったり、知り合ったりがメインでしたが、ここからは自分の身も畑に乗り出していきます。

まずは、援農。援農とは農家さんのお手伝いをすることになります。直接農家さんが募集していることもありますが、藤沢市などは市が援農ボランティアの養成講座を開いています。

 5、農業体験

食料生産に関わる上で一番メジャーなものは、単発の農業体験だと思います。ジャガイモ掘りや田植え体験など、一回限りのものから、植え付けと収穫をするなど連続するものもあります。

例えば当園の近くで、コトモファーム卒業生である春日さんが定期的に農業体験を開催しています。

 6、市民農園・貸し農園
 7、体験農園

図に、家庭菜園・半農半X・自給自足と書き込んでありますが、それら自分で食料生産を行うことに興味がある方は、一歩目として6の市民農園・貸し農園、7の体験農園がオススメです。

簡単にそれぞれの違いを言うと、市民農園・貸し農園はほぼ同じ意味で農地を使えるだけ、体験農園は農地を使うことができ、道具も借りられたり指導も付いたりするものとなります。

我々もやっているサービスとなり、ここのところ説明し始めると長くなるので、別の記事に譲ります。藤沢市の農園を例に選ぶときの観点も載せていますので、参考にしてください。↓

半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方である「半農半X」を提唱されている塩見直紀先生は、ちょっとでも生活の中に自給する部分を取り入れることを勧められています。

日頃食べているものがどのくらいの時間でできて、どのくらいの量を育てるのにどの程度の時間やエネルギーをかけるのかを体感として感じられるので、体験農園などは本当オススメです。

また、より自給的な生活を考える方には、コトモファーム利用後長野県へ移住し自給自足的な生活をしている佐野さんのブログも参考になるかと思います。

 8、独立

さらに、食料の生産を仕事にしてしまおうと考える人もいるかもしれません。農業を仕事にするには大きく2つの道があり、1つは自分が独立して農家になる道です。そしてもう一つが、農業組織に就職する道です。

私自身、独立しようかとも考え研修を受けさせてもらったりした話をまとめてありますので、よかったらご覧ください。

独立就農する上での制度の話も入っていますので、参考になるかと思います。

 9、就職

農業組織に就職することは、基本的に一般的な会社に就職する上での考えと変わらないと考えていただいても良いかと思います。

違うところとして、就農する前に、農業インターンシップがいくつも用意されていることがあります。就農する前に幾つかの農家さんの元で実際に働いてみることができるのは、とても助かります。

当団体と連携しているNPO農スクールの卒業生も有機農家さんの元に昨年就職し、そのお話も載っているので、こちらも参考にどうぞ。

 10、農福連携

他にも、障害を持った方や働きづらさを抱えている方にも生産に関わる機会があります。

農福連携にもたくさんの形があり、分類が難しかったので図の中では外して書いてあります。

幾つかの形をまとめている記事もありますので、農福連携に興味がある方は、そちらをご参考ください。

終わりに

今回新型コロナ感染症の拡大が報道される中、「大変なことだけど、まあ定期的にこういうことあるよな」と感じました。歴史を見ても、スペイン風邪やペスト、最近だとSARS、MARSがあり、地域によってはマラリアなどに常に苦しめられています。

感染症以外にも、自動車を利用すれば交通事故があり、世界各地で天候による災害も多く起きています。

大変だけど、そういうこととうまく付き合っていかないといけないよなぁと諦めています。(もちろん出来る限りの対策はしますが)

少し私の話をすると、学生時代、就職活動をしている時に3.11の震災が起こりました。将来のことを考えている時に非常事態が起こり、進路を選ぶ際「非常事態が起こった時でも生き延びるには?」ということを考えていました。

そんな不安だった時、農家さんのたくましさに触れ、なんでこの人たちは「何があっても大丈夫」という感じがするんだろうと思いました。

まだまだその謎は解けていませんが、その一つの答えは、天候など思い通りにならないものと付き合いながら、自分たちで食べるものを生産してきた経験にあるのだろうと思っています。

不安な時代にその農家さんたちが持つ「大丈夫感」はとても重要だと確信しています。

この記事が少しでも生産の現場に興味を持つきっかけとなり、関わる人が増えることに寄与したら幸いです。

盛りだくさんになりました。最後まで読まれた方、気になるところだけ目を通した方、この記事を開いていただきありがとうございました。


書いた人 山田直明
北海道大学卒業後、在学中に農家さんのインタビューを行い、感銘を受ける。その後一般就職したが、あれこれあって現在、株式会社えと菜園、NPO法人農スクールのスタッフをしている。この記事を書いた後、代表に見てもらうと、似たようなこと昔に話したなと、以下の記事を紹介される。確かに近いこと言ってらっしゃる・・


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