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ハーフのアイデンティティ問題ー国籍選択について

縁あって国際結婚をして、自分の国でも、相手の国でもない第三国で暮らすことになった。引越しを繰り返し、いわば根無草生活。どこに行っても外国人。

息子は顔立ちや日本語能力から「日本人」と認識されることが多い。思考のパターンは教育を受けている外国人学校の影響が絶大で、習慣や文化としては、在住国であるイギリスに最も親しみを感じているはずだ。家系を辿ると縁のある国はもっと出てきて、パスポートをとろうと思えばあと2つくらいは可能らしい。まさにカオス。

正直いって彼が何人であるか、私にもわからない。だから、こどもが思春期になって、自分のアイデンティティに悩むのではないかと、ずっと心配してきた。自分自身を所在なく感じるのではと気にしていた。

けれど、子どもの発想はもっと自由で、そんな悩みなんて軽々と超えていく。

「5つのルーツがあって、選ぶなんてできないよ。
何も選ばないし、何も捨てない。全部が僕で、僕は僕。
僕は地球人として生きていく。
僕みたいな人が増えたら、戦争も減るかな笑?」

あまりにも頼もしくて、眩しくて、泣きそうになってしまった。

***

大人になった時に国籍を選択しなければいけないという話をするといつも不思議な顔をされる。

「どうして選ばないといけないの?」
「日本国籍がなくなったからって、僕が日本人である事実は変わらない」

彼の持っている3つの国籍のうち、2重国籍をみとめていないのは日本だけ。選択を迫られたら、合理的に考えて、日本国籍を放棄すると思う。けれど、彼は「自分は(半分)日本人」であることをやめないだろう。

ごちゃごちゃのカオス状態が、彼のアイデンティティだ。
「これが僕」と自信をもって口にできる息子を、とても尊敬している。


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