ショートショート23 「残業、のち…」
オフィスで一人。もう慣れっこのつもりだったが、こう連日続くと嫌気が差してくる。
32歳で独身。中堅どころに位置する俺は、付きっきりで面倒を見る必要もないし、帰宅が遅くなろうと迷惑を被る家族もいない。
つまり、残業を押し付けるのにうってつけというわけだ。
さっさと帰宅してしまった先輩・上司の顔を思い出し、ほんの少しだがイライラがこみ上げてくる。それを飲み下すかのように3分の1ほど残っていた缶コーヒーを喉に流し込んだ。
プルルルルッ
オフィスの静寂を切り裂いて、けたたま