『くつくつあるけ』林明子【絵本】#14

もうすぐ2歳になる子どもが(ようやっと)靴を履いて歩けるようになった。

ちょこちょこと狭い歩幅で、ゆっくりとだがしっかりと、一歩いっぽ(文字どおりに)足を運んで行きたいほうへどこへでも行く。
いまは歩くことそのものが愉しいみたいだ。

車が好きで、駐車場を見つけるとふらふらと勝手に入っていってしまい、連れ戻すと泣いて怒る。

独り歩きはまだ不安なのか、伸ばしてくる手を、僕はそっと握ってあげる。

同性の親子で手を繋ぐことなんて、今しかないだろうな。

あと数十年後、こんどは歩けなくなった僕が、不安で手を伸ばすかもしれない。

そのとき君は握りかえしてくれるかな。

林明子『くつくつあるけ』は、ふたりして手を繋ぎ、はじめて自分の足で歩いて行った図書館で見つけた絵本だ。
僕は何やら運命的なものをかんじ、借りてきて読んだ。

上の文章は、本の感想に託けて以前「はてなブログ」に書いたものだが、(自分としては)なかなか巧く書けたとおもい、気に入っているのもあって、こちらへ引っ越して置くことにした。絵本の内容とはちょっとかけ離れてしまっているけれど。

その後二月程が過ぎ、いまの子どものようすも少し追記しておく。

手を繋ぎたがったのはさいしょのうちだけで、さいきんは繋ごうすると嫌がって座りこんでしまい、ストライキを起こす。

自由に歩きたいらしいのだが、ひとしきり歩き回って満足し、疲れると僕の脚に抱きついてき、
だっこ。
と甘えたりする。仕方ないから抱え上げ、数歩進んで下すと、また歩きだす。

鋪道に落ちているものもよく拾う。
落ち葉や小石はもとより、塵や烟草の吸殻なんかも、目敏く見つけ手を伸ばす。

それで気づかされたのだが、東京の道端にはほんとうにたくさんのゴミが落ちている。
子どもの好きなEテレの番組『マチスコープ』に、ゴミ拾いの達人と云うのが出てきて、街のゴミを見つけるポイント、というのを教えてくれたことがあったが、子はそれを熱心に観ていて、だから本人は奉仕活動のつもりでやっているのかもしれない。

そういうわけで子と街を歩くときは、僕らがポリ袋を携帯し、拾ってくれたゴミは持ち帰って捨てることにしている。ちょっとした善行をはたらいた気分になる。

反面、落ち葉は色のキレイなものを、石はカタチの良いものを拾うことにしているらしい。
基準はわからないが、明らかに選んでいるようすで、彼なりの美学があるのかもしれない。

元気なうちはフンフン歩くのだが、疲れてくると気が散って、地面のものを拾いはじめる。疲労を紛らすためなのかもしれない。

疲労と拾う、である。

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