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「箔押し加工の『 ムラ取り 』」

こんにちは、現場の前田です。

今回は箔押し加工に取り掛かる前の 「 ムラ取り 」 と呼ばれる作業について、ご紹介します。まずは動画をご覧ください。


日頃箔押し加工する際、動画内の銀色の土台の上に加工する紙を置いて、箔材を熱と圧力で紙に圧着させています。 動画内で、銀色の土台の上に薄い紙が幾重にも敷かれているのが動画から見ても分かるかと思います。

この時は、20層くらいでしょうか、薄紙を積み重ねています。
これが 「 ムラ取り 」 という作業です。

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お客様が求めるかたちへ寄り添うこと

箔を均等にきれいにのせるためには、温度や圧力、スピードなどいろいろ調整する要素はあるのですが、きれいな箔押しをする上では丁寧な 「 ムラ取り 」 が欠かせません。

銀色の土台や版を固定する熱板には、何度も箔押しを繰り返して、熱と圧力にさらされることで、目視では分からない程度の歪みが生じてしまいます。

加工ごとに新品に取り替えられれば良いのですが、それは現実的ではないため、この 「 ムラ取り 」 の作業が必要になってきます。

写真 2021-03-23 10 36 11

型押し・浮き出し加工でも 「 ムラ取り 」 の作業を行う
お客様が求めるかたちに合わせて、
「 ムラ取り 」 のアプローチの仕方( ※ )も全て異なる
※ 薄紙の紙の厚さや、さらには紙の切り方・貼り付け方にも気を配ります。

この経年による土台や熱板の些細な歪みが、均一で美しい箔押しを損なう要因の一つです。そのため、この歪みによって箔がうまくのらない部分の土台に、適寸にカットした薄紙をセロハンテープで止めたり、糊で接着させたりしながら薄紙を積み上げて歪みの無い状態に近づけていきます。

「 ムラ取り 」 作業で薄紙1枚かませることで、箔ののり具合いがグッと変わってきます。

イメージを積み上げていく

ひととおり 「 ムラ取り 」 が出来たら、加工する印刷物・紙を機械に通して箔の定着を確認。まだ箔の定着が悪い部分があれば、またさらに薄紙を重ねていきます。

これを何度も繰り返し行い、平らな地場をつくっていくのです。


地味な上、なかなか根気のいる作業で、複雑な図案や加工面積の大きいもの、紙の種類などによっては、 「 ムラ取り 」 に数時間を要することもあります。また、職人の経験や勘も必要です。それだけに、 「 ムラ取り 」 後に箔がビシッと美しくのると 「よしっ!」と嬉しくなります。

箔押ししたて2

写真はキングジム スケルトンモデル 『 ポメラ 』 DM200X 
パッケージの箔押し加工
回路図の繊細な箔押し表現とさらに箔押し面積が広いため
難易度の高い 「 ムラ取り 」 が求められる 

大切な下ごしらえ

そして、 「 ムラ取り 」 が完了した後、いよいよ本番の加工に入ります。
加工する案件の中には3時間も下ごしらえの 「 ムラ取り 」 をして、本番の箔押し加工が30分で終わってしまう お仕事もあります。スムーズな作業のためには 「 ムラ取り 」 は欠かせない作業なのです。

箔押し加工は、版を取り付けてすぐ加工できるというものではなく、裏側にはこのような根気のいる細かな作業があるのです。

きれいな箔押しをお客様にお届けできるよう、現場では日々、しっかり 「 ムラ取り 」 し、加工に励んでおります!

【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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