「十和田八幡平国立公園 - 守ろう国立公園 - ポスター箔押し加工」
こんにちは、現場の前田です。
今回、加工のお手伝いをさせていただいたのは、字と図 さまからご依頼いただいたポスターへの箔押し加工です。
◉ お任せ箔?
字と図 さまから今回の製作にあたって、一番はじめにお問い合わせをいただいたのが2020年11月でした。
なんと、今回のアイデアは 「 デザインのひきだし40 」 にコスモテックの記事として掲載していただいた 『 紙と箔完全お任せ名刺作成 』 がきっかけとなっているそうです!
私は、字と図 さまの中にはすでに仕上がりのイメージが見えているような印象を受けました。 また、『 お任せ箔 』 をポスターに落とし込むことができないだろうか? という挑戦的なデザインプランに、とてもワクワクしました。
ポスターの大きさは2種類。
A1ポスター( 841×594mm ) と A2ポスター( 594×420mm ) です。
この大きなポスターの一部に 『 精霊( のようなもの ) 』 を部分的にポン!と箔押しするという加工内容です。
テスト加工時、箔押し表現した 『 精霊( のようなもの ) 』
◉ さて、何の箔が合うのだろうか?
『 お任せ箔 』 ですが、字と図 さまからは 「 コスモテックの現場にある( ちょっぴり )お蔵入りしている箔を使ってほしい! 」 というご要望をいただきました。
新たに箔をご注文するのではなく、現場に眠っている箔の中から、セレクトして欲しい… そうでなければ、『 もったいない 』 という字と図 さまからの粋なご提案なのです。
字と図 さまのご意向にそって、 『 精霊( のようなもの ) 』 に合う箔をコスモテックでセレクトし、事前に字と図 さまと情報共有した上でテスト加工を行いました。まずは、下の動画をご覧ください。
A2サイズのポスターに押した3種の箔押しテスト
今回、テスト加工の結果『 お任せ箔 』 として使用した箔は3種類です。
すべて、コスモテックの現場に偶然あった箔材を使用しております。
① どろどろ感
レインボー NO.170( 村田金箔 )
お客様から「 アスファルトの道路に浮いた油みたい 」 と言われる箔がこちらです。箔のベタ面が多いとかなり強烈なインパクトを放ちます。おどろおどろしくミステリアス、良い意味での禍々しい雰囲気を持ち合わせています。広い面積と細い線画では使用した時の印象ががらりと変わるおもしろい箔でもあります。
一枚一枚、箔押しするごとに独特なマーブル模様の配置が変わるのも特徴といえます。
② しゅわわっ感
SB DOTS SELECT / 385-XL( KURZ )
細かいつぶつぶつの光の粒子のような柄がかわいらしいホログラム箔です。この柄の色展開はシルバーとゴールドの2種類あるのですが、コスモテックの現場にあったものはゴールドです。
『 精霊( のようなもの ) 』 のグラフィックと合わさることで、しゅわわっとした、どこか黄金の砂を彷彿させるような仕上がりになりました。見る角度によって、チラチラと箔が色鮮やかに偏光します。
③ うねうね感
SB ONDA SELECT / AL-XL( KURZ )
うねうねとした、独特なウェーブの柄が個性的なホログラム箔。
上の動画をご覧いただいても分かりますが、見る角度によってもホログラム箔がうねうねと動いて見えます。
グラフィックと合わさることで、まるで電気やオーラを帯びた『 精霊( のようなもの ) 』 のような摩訶不思議なイメージを彷彿させてくれます。
一見すると選定した箔すべてがキワモノ揃いの箔ばかりのようですが、デザインやテーマと相まって、『 精霊( のようなもの ) 』 の存在感をより強く感じさせるものになりました。
柄付きの箔はデザインによっては合わせづらいと敬遠されがちな傾向がありますが、このように使い方次第・見せ方次第でまだまだ大きな可能性があるのです。
◉ 見当合わせ と しゅわしゅわ箔
印刷された大きなポスター内に箔押し表現する『 精霊( のようなもの ) 』 の部分のみが白抜きになっており、ぽっかりと大きな穴が空いているようになっています。
その白抜きになっている箇所に合わせて、コスモテックで 『 精霊( のようなもの ) 』 を箔押しするのですが、印刷位置と箔押し位置の合わせが非常にシビアな見当合わせになっています。
印刷部分に箔がかぶらないように押す必要がある
上の写真をご覧ください!
印刷位置の上に箔押しがかぶってしまうと印刷で表現された植物が箔で隠れてしまい、表現が成り立たなくってしまうのです。
また、『 精霊( のようなもの ) 』 の 「 のようなもの 」 を表現するために、箔押し加工で使用している金属版の図案の左側の境界部分が周りに溶け込むようにしゅわしゅわとぼかしてあります。いざ箔を押すと、 『 精霊( のようなもの ) 』 がぼわっと浮かんでいるような表現ができるようになっているのです。
このように 「 十和田八幡平国立公園 - 守ろう国立公園 - ポスター箔押し加工 」 は大胆かつ、繊細な箔押し表現で製作しております。
◉ 部分的に箔を使うことでの表現
大きな紙面上へ部分的に箔押しすることで製品や作品が引き締まる印象がします。まさしく今回のポスターはそのような仕上がりでありデザインです。
箔押し表現した 『 精霊( のようなもの ) 』 がより際立っているのは、周囲の印刷で使用されている黒インキの影響でもあり、暗闇の中で輝く、見てはいけないものを感じさせてくれます。
暗闇の中にじっと佇み、睨みをきかせている、見てはいけないもの。
広い紙面だからこそ映える、ワンポイント箔のならでは感
広い面積での箔押しも、ワンポイントの箔押しも、それぞれに良さがありますが、今回のようにワンポイントで箔押しするとアイキャッチの役割を果たし、全体の印象を引き締めたり、箔押し部分の意味を強調する効果が期待できます。
◉ 大きな紙に手作業で箔押しすること
今回お手伝いさせていただいたポスターのサイズは、前述したA2ポスター( 594×420mm ) と大きめのA1サイズ( 841×594mm )です。
動画はA1サイズのポスターを箔押し加工しているところ
大きいサイズで紙の厚みが薄いものへの箔押し加工の際に、特に注意しなければならないポイントは、紙が折れやすいという点です。
ほんのちょっとした衝撃や紙を持って運ぶ際に持ち方を間違えてしまうと紙が簡単に折れてしまうのです( 紙の流れ目である、縦目・横目も意識する必要があります )
大きなポスターを1枚1枚、手作業で箔押し機に通していく
そのため、加工時のポスターの流し方や運び方は特に慎重に、注意をはらいながら1枚1枚手作業で加工していきます。
今回は1人で作業をしておりますが、サイズが大きいものへの加工の時には、箔を押す人と押されたものを引っ張る人と2人がかりで作業することもあります。
ポスターのように紙のサイズが大きく、薄いものへ加工する場合、紙の取り扱い方法が格段に難しくなるため、加工にかかる時間もより多く必要となります。
キワモノ揃いの 『 お任せ箔 』 で加工された目を引くポスターは、そのデザインと相まってグッと目を引く存在感たっぷりの仕上がりになりました。
字と図 さま、この度は 『 お任せ箔 』 をポスターの加工に採用いただき、また大きいポスターへ加工する貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました!
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?