『 箔押しの 「 版 」 について 』
こんにちは、現場の前田です。
今回は、箔押し加工には欠かすことのできない 「 版 」 についてご紹介したいと思います。
箔押し加工では金属で出来た凸状の 「 版 」 を使用して、ロール状の箔材を熱圧着させて加工しています。版は箔押し加工において必要不可欠な存在であり、とても重要な役割を担っているのです。
箔押し加工に使用する 「 版 」 には、主に亜鉛・マグネシウム・銅などの金属素材が使用されています。
左から
C社製 亜鉛版・D社製 マグネシウム版・A社製 銅版
また、それぞれの金属版の腐食具合や厚みにも様々な種類があり、版の彫りも浅いものから深いものまであります。
左から
B社製 亜鉛版1.5mm・A社製 マグネシウム版1.6mm・A社製 銅版3mm
( 写真下の段は版は横から撮影したもの )
更には、金属版を製作する業者(製版会社)さまによっても腐食具合などに特徴があります。それは、どれが優れているとか劣っている… というものではなく、コスモテックでは加工する素材(紙)やデザインによって最適な版の種類を選定し、お客さまの思い描く製作物を実現するために一番適していると判断した製版会社さまに製版をお願いしています。
金属版の裏面
左から A社製・B社製・C社製・D社製
版の種類や製版会社さまによっていったいどのような違いがあるのか…
「改めて検証してみよう!」 ということで今回製作したものが、その名も 『 Foil Checker(フォイルチェッカー) 』。
デザインは、コスモテックサンプル直売所の大人気製品 「 造形者のための箔標本 FOIL SELECTOR(フォイルセレクター) 」 のデザインを手掛けてくださっている Kamimura & Co. の神村誠さまです。
D社製 銅版1.5mm
「 FOIL SELECTOR 」 のミニバージョン(名刺サイズ)のような形式で、版の素材や厚みをメモ書きできるスペースがあり、版の検証や紙と箔材の相性の記録にはもってこいの設計になっています。
今回、『 Foil Checker 』 での実験・検証は名刺サイズにカットした数種類の紙に箔押し、さらには型押し加工をおこない、押し具合などを比較しています。この際、紙も箔も使用頻度の高い素材を選定しています。
版と紙と箔の組み合わせから約100パターン以上の押しの比較を実現しました。
版の材質や紙の種類によって微妙に変化する、紙面に押した図案の様子を見比べながら加工することはとても勉強になり、多くの発見と気づきがありました。
今まで経験則に従って行っていた版選びに、法則性や根拠があったことも改めて確認できました。また、同じ材質や厚みの金属版であっても、製版会社さまによって微細な違いが生じることも感じ取ることができ、今後の版選びの手掛かりになると感じています。
左の銅版1.5mm・マグネシウム版1.6mmはA社の版。
右の銅版1.5mm・マグネシウム版1.6mmはD社の版。
( 同じ版であっても、腐食具合などが各社異なる )
今回、実験結果(実際に箔押ししてみた成果物)は掲載しませんが、実験・検証を通して、加工する内容(図案と紙質などの組み合わせ)によって 『 版の種類を使い分けることで精度が高まり、表現の幅が広がる 』 ということを改めて確信しました。
自分の選ぶ目線にも自信がつき、また、意外な発見があったりもして、この結果をどうやって活用しようか、思案しているところです。
ある1社で製作した銅版。
左から銅版1.5mm・銅版3mm・銅版3mm深堀。
( 銅版1つとってもバリエーションが豊富 )
お客さまがどのような箔押し加工をご希望なのか、厚めの紙に加工したい、圧を強めに押したい、文字をシャープに表現したい… など、お問い合わせの内容から 『 どうすればよりご希望の箔押し表現ができるのか 』 を考え、最適な版を選択することの重要さを 『 Foil Checker 』 での加工実験を通して目に見える形で確認できました。
今後ともお客さまに喜んでいただけるよう、広い視野を持って挑戦していきたいと思います!
【 アーカイブ 】
製版会社数社が作り出す、多種多様な版を表側・裏側・真横からなど
さまざまな角度から撮影・分析した
神村誠さま(Kamimura & Co.)、この度は 『 Foil Checker 』 を設計していただきまして、ありがとうございました! 今後の加工・版選びに大いに活用していきます。
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
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