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「豪華!箔押し4回押し 見当合わせ」

こんにちは。現場の前田です。

今回は小説家 和泉桂さまよりご依頼いただいた、同人誌「 協奏曲 」 ブックカバーの全面箔押し加工を、コスモテックにてお手伝いさせていただきました。デザインは日村克美さまによるものです。

コスモテックでは、同人関係の箔押し案件も沢山お手伝いをさせていただく機会がございます。ただし、今回のブックカバーのように、ここまで特大の箔面積を誇る お仕事はなかなかございません。


箔面積 超特大のブックカバー

表紙全てを箔押しで覆い尽くす、特別感溢れるブックカバー。
箔押しの面積は横寸約480mm、縦寸約210mmという超特大サイズの箔押しです。

しかも、このサイズを贅沢に2色の箔で表現するデザインなのです。

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合計4回箔押しのブックカバー デザインは日村克美さまによるもの

箔押しは、用紙 NTラシャの漆黒にベルベットPP加工が施されたものの上に、2色の箔が織りなす図案がブックカバーの全面に、ところせましと配置されています。

今回のデザインデータをはじめて見た時、図案の繊細な美しさに惹かれつつも、いざこの美しい図案の箔押しをどのように実現するのか考えると 『 迫ってくるような 』 強烈なインパクトが今でも印象深く残っています。

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加工で使用した金属版 繊細な図案が美しい
この大きな金属版を4つ使用して、1枚の大きな図案になります


今回は、2色の箔を全面に2工程で箔押しするのではなく、より正確な箔押しの位置合わせの精度を求めて、表1で2色(2工程)・表4で2色(2工程)の合計4工程での箔押しという設計で加工に挑ませていただきました。

和泉さま・日村さまは、最初にご相談くださった段階から明確に 「 表現したい図案 」 をコスモテックに共有して下さいました。そのため、私たちが 「 どうやって押して、お客様が求める理想の形へ落とし込もうか 」 をじっくり考える時間を作り出すことができました。それによって仕上がりイメージを膨らませ、万全の体制で箔押しすることが出来たのです。

まずは、校正押し

いかに私が箔押しのシミュレーションをしても、実際の紙面に箔押ししてみると、「 うーん、思い通り行かないな 」 ということも稀にあります。また、特に 『 箔の見え方・見せ方 』は、押してみて初めて分かることも多いのです。

そのため、 コスモテックでは校正押し(テスト加工)を大切にしています。
今回も、本番の加工にとりかかる前に、校正を通して実際の紙面上に押した箔の仕上がりイメージを和泉さま・日村さまと確認・共有しました。
こうして、お客様が本当に求めている形を、お客様と一緒になって、悩んだり、確認したり、答え探しのお手伝いをしています。

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校正は
第一候補 : ホログラムゴールド+銀つやの2色の組み合わせ(上の写真)
第二候補 : 6号金+銀消し2Bの2色の組み合わせ
以上、2パターンで校正出しを実施


校正では和泉さま・日村さまがご希望されていた2パターンの箔の組み合わせを作成しました。校正後、1色はホロゴールドでほぼ決まり。しかし、「 組み合わせるもう1色の箔が、ちょっとイメージと異なる… 」 ということで、急遽、本番加工時に、和泉さま・日村さまにお時間を作っていただき、箔押し加工に立ち会っていただくことになりました。

本番の加工時、 さまざまなパターンの箔の組み合わせを、その場でお客様と会話をしながら色々試し、その場で答えを見出すことができるようなアプローチが今回の制作の裏側で成されているのです。

直接お客様から率直なお言葉や反応をいただけるこの時間は、私たちコスモテックにとっても貴重な時間でもあります。

いざ、本番の箔押し加工へ

小説家 和泉桂さまの箔押し立ち会いレポート 必読です!


加工立ち会い当日は、2台の箔押し機を稼働し、一つはホロゴールドの箔押し、もう一方の箔押し機ではホロゴールドに組み合わせる、迷われている箔色を選ぶためにと準備をしました。

ブックカバーは2色の箔で構成されているので、「 もしかしたらホロゴールドの箔も、もう1色の箔色次第では変更が在り得るかもしれない 」 と想像し、箔押し機2台同時見せのご用意をさせて頂きました。

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箔と箔のパターンを作り出し、付箋に箔の組み合わせを記載

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本番箔押し立ち会い時、さまざまな箔色を検証


ホロゴールド箔に照準をおいて、組み合わせでサワ―ゴールド、金消しNo.108、ALUFIN MATT など さまざまな箔の組み合わせを、和泉さま・日村さまと共に会話をしながら、その場の空気に合わせて加工しました。

その日は10種類ちかくの箔押しパターンを製作したかと思います。

1枚1枚手作業で加工 1つのカバーを仕上げるのに合計4回箔押しします

ぎりぎりまで一緒に悩むこと

小説家 和泉桂さま ツイッターより
事前にご提案をいただいた組み合わせで、「箔見本を考えると2色とも似ちゃう気がする……」とお話ししていたのが、実際押していただくと全然そんなことなかったり。
箔は押してみないとわからないんだな、と痛感しました。

和泉さまがツイッターで書いてくださっているように、 『 箔は押してみないとわからない 』 。加工に携わる自分でも、実感を伴ってよく理解できます。 校正出しで箔表現の方向性はぼんやり見えつつも、今回のように 「 うーん、もう1色どうしようか 」 と迷われた時は、やはり箔押し加工の立ち会いをおすすめさせていただきます。実際に目の前で試して、その目で見るのが一番です!

毎日加工に携わる私たちでも 「 箔は押してみないと分からない 」 ことばかりです。

私が 「 この箔はきっと組み合わせに合う 」 と思っていても、お客様の目線から見た時 「 ちょっと違うなぁ 」 ということも、ままあります。箔押しの現場として 「 こうだ なのだ 」 と決めつけず、「 いかがでしょうか? 」 「 こんなことも出来ますよ 」 と、お客様と相談しながら、一緒になって考えていく姿勢が大切であると考えています。

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最終的にホロゴールドとホロシルバーの組み合わせに決定

2種類のホログラム箔の掛け合わせ表現

さまざまな箔色の組み合わせパターンを試した結果、箔色はホロゴールドとホロシルバー箔に決定!

2色ともホログラム箔ということで、ギラギラとした主張の強いものになるかと思いきや、実際はホログラム特有のインパクトある輝きはあるものの、箔同士がよく馴染み、また、NTラシャ(漆黒)とベルベットPPの独特な質感とが相まって、気品や高級感・豪華さを兼ね備えた非常に美しい表紙になりました。

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4つの箔押しの金属版を合わせて、繊細で、広い面積の箔押しが完成
横寸約480mm×縦寸約210mmという超特大サイズの箔押しです


全面に広がる非常に細やかで繊細な図案は、それぞれのパーツが綺麗に見えるよう、シャープさを重視しして。そして4版分のかなりシビアな2色の箔( ホロゴールドとホロシルバー )の見当合わせ(位置合わせ)にも注意しながら加工にあたりました。

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ホロゴールド・ホロシルバーの2色箔の光彩がもの凄いインパクト


小説家 和泉桂さま、デザイナーの日村さま、この度は大切な作品製作のお手伝いをさせていただきまして、本当にありがとうございました!

- Credit -
Client : 小説家 和泉桂 [ HP https://www.k-izumi.jp/ | Twi : @izumi_k ]
Design : 日村克美 [ HP https://hymmra-k.tumblr.com/ | Twi : @hymmra_k
Hot stamping : 有限会社コスモテック


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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