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「JAXA 『 MMX 』 ステッカー 制作」

文 : 青木(コスモテック)

今回、前田瑠璃がJAXAのステッカーのデザインを担当させて頂きました。
JAXA 広報部と共に作り上げたオリジナルのステッカーです。

前田はデザインするにあたって、デジタル技術とアナログ作業を見事に融合させ、唯一無二のステッカーを作り上げました。 前田が手仕事で作り上げたオリジナルのテクスチャーで、火星や宇宙に瞬く星々を表現しているのです。

そして、素材の重厚感や立体感にもこだわり、私たちが広大な宇宙へと抱くロマンを感じさせるディテールに仕上がっております。

このステッカーを通して、JAXAの今回のプロジェクトをより身近に感じて頂けることを願って。

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こんにちは、現場の前田です。

今回は、JAXA( 宇宙航空研究開発機構 )の 『 MMX 』 ステッカーのデザインを私 前田、製作をコスモテックでお手伝いさせていただきました。
なお、ステッカーの印刷加工の設計は青木( コスモテック )が担当させていただいております。


◎ 『 MMX 』とは?

2020年代前半の打上げを目指している火星衛星探査計画です。


火星そのものではなく、火星をまわる衛星 「 フォボス 」 に着陸して火星衛星観測・サンプル採取を行い、地球へ持って帰るミッション を担っています。

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火星の衛星である 「 フォボス 」 に向かう 『 MMX 』


現状は2024年打上げ、2025年火星周回軌道投入、 2029年地球帰還を想定しているそうです。

◎ ステッカーデザインについて

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ステッカーは MMXウェブサイトhttp://mmx.isas.jaxa.jp/index.htmlのビジュアルと連動したイメージで、火星と、火星の衛星である 「 フォボス 」 に向かう 『 MMX 』 を、そして、火星の色味からイメージカラーとして銅色をメインにご提案させていただきました。

◎ こだわりのポイント

火星の衛星である 「 フォボス 」 には 「 スティックニー・クレーター 」( Stickney crater )という大きなクレーターがあります( フォボスの直径は22キロですが、このスティックニー・クレーターは直径9キロ。フォボスの大部分を占めるクレーターなのです )

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写真は校正( テスト )時のもの
よりリアリティある盛り上がり方を求めて
本番加工時では版を新たに作成し直して、製作に挑んでいる


特徴となるクレーターが見えると 「 フォボス 」 らしさがより引き立つと、JAXA 広報部 ご担当者さまからのアドバイスを参考にしてデザインしました。

また、火星と宇宙の星々はスポンジや筆などを用いた手書きによるテクスチャーで表現しています。

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デジタルとアナログを融合させたデザイン
細かいグラフィックの中には手仕事感が詰まっている

◎ ステッカーの印刷加工

ステッカーは重厚感を演出するため、複数の材質を組み合わせて素材を作り出しています。

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印刷は白・うすオレンジ・スミの3色を贅沢に使用


例えば、表面にはグロスPPを貼ってツヤ感を出すことで、パーツに立体感が感じられるようにしています。使用している箔は銀ツヤ箔とイメージカラーから銅色の箔の2色を使用しています。

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色彩のみならず、触感も感じられる火星の表現
触るとゴツゴツとしていて、立体感を感じることができる


JAXAのロゴマークや 『 MMX 』、「 フォボス 」を銀ツヤ箔で表現し、火星は銀ツヤのシール材に特色の印刷を加えたメタリック表現と銅色の箔の組み合わせで、見る角度によって2色の色彩が混じり合い火星のイメージを感じさせるものとしました。

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銀ツヤのシール材の上に特色うすオレンジ色を印刷して、
オレンジのメタリック光彩を作り出している

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積み上げられた、印刷を終えた特大のロール
この後、箔押し・エンボス加工の工程をむかえる


加工ポイントとして、エンボス( 浮き出し )表現はよりモリモリとした立体感を演出するために特殊なエンボス版を使用しています。エンボス箇所は5箇所あるのですが、特殊な版を用いて、5箇所の中でもエンボスの高さを2段階に分けて加工しています。

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写真は本番時のもの
エンボスの版を調整し、『 MMX 』(右) と 「 フォボス 」(左)が
滑らかに、よりリアルに盛り上がるようにしている


素材や箔押しなど印刷加工の表現を盛り盛りにしつつも、シンプルで伝わり易いイメージになるよう心掛けました。

JAXA 広報部の皆さま、MMXプロジェクトチームの皆さま、この度は貴重なステッカー制作のお手伝いをさせていただきまして、ありがとうございました!

- Credit -
Client : JAXA( 宇宙航空研究開発機構 )
Design : 前田瑠璃
Print : Cosmotech Inc.

- 仕様 -
素材 : カスタマイズ
印刷 : 3c ( White, Light orange, Black )
表面 : グロスPP
箔押 : 銀箔・銅箔 
加工 : エンボス( 浮き出し )


今回制作でお手伝いさせて頂いた『 MMX 』ステッカーは、JAXAが企画するイベントやシンポジウム、国内外の展示会などで参加者に配布、または国内外の宇宙業界の関係者に配られる予定だそうです。

直近では今年( 2021年 )10月にUAEドバイで開催予定の宇宙業界の年次会合( 約6000人規模の大きなイベント )にて、まずは大々的に配布する予定とのこと。  https://iac2021.org/

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『 MMX 』ステッカーは、現状は2024年打上げ、2025年に火星軌道に到着する予定に向けて、今後のイベント( 衛星の打上げや火星到着時など含む )で更に配布される予定とのことです。楽しみですね!


【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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