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「桐箱(材)への箔押し加工」

こんにちは、現場の前田です。
コスモテックで加工するものの大半は紙ですが、時に紙以外の素材にも加工することがあります。

今回箔押し加工した素材は、なんと「 桐材 」です!

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コスモテックの現場に搬入された「 桐材 」


HOSOO FABRIC BOX の箔押し 

こちらは京都にある、300年以上の歴史を持つ西陣織の老舗 株式会社細尾 が手がける、伝統的な職人技と追求された「 美 」による美しい西陣織を入れる桐箱( HOSOO FABRIC BOX )です。コスモテックでは天板と底板への箔押し加工をお手伝いさせていただきました。

デザインはアートディレクター・デザイナーの森田明宏さまによるもので、細尾さまの桐箱への加工は、とても光栄なことに今回で3回目となります。

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1・2回目で製作のお手伝いをさせていただいた 
株式会社細尾の 『 HOSOO FABRIC BOX 』( デザインは森田さま )


今回は森田さま、株式会社細尾のご担当者さまがコスモテックまで足を運んでくださり、箔色の組み合わせや圧の加減を確認していただきました。

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箔押し加工で使用する金属版
デザイナーの森田さまが細尾さまのファブリックより抽出した
テキスタイルから箔押し用の図版をデザインされている

仕様 未確定! 加工立ち会いで決める!

細尾さまの西陣織から抽出したテクスチャーを版に起こし、まずは加工立ち会いに入る前に、事前にコスモテックで準備していたモノトーン系の箔色を中心に製作した約30パターン程の箔の組み合わせサンプルを見ていただきました。

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『 HOSOO FABRIC BOX 』 の箔押し加工は1・2回目同様
さまざまな箔色を織り交ぜて製作


そこからデザイナーの森田さま、株式会社細尾のご担当者さまが8パターンの組み合わせを厳選してくださり、今回は8種類の桐箱を製作することに決まりました。

箔押しに使用する金属版は天板では3版を重ね合わせ、底板では2版を合わせて、計5版を用いて箔押し加工を行いました。

箱の天板・底板の箔色の組み合わせ
① 白ツヤ箔 [1層] → シルキースモーク [2層] → 黒銀箔(文字) [3層] 
② 白ツヤ箔 [1層] → シルキーシャンパン [2層] → 金ツヤ箔(文字) [3層]
③ 白ツヤ箔 [1層] → ポーラライト [2層] → ポーラライト(文字) [3層]
④ 白ツヤ箔 [1層] → 黒銀箔 [2層] → 黒銀箔(文字) [3層]
⑤ 黒銀箔 [1層] → 白マット箔 [2層] → 黄色顔料箔(文字) [3層]
⑥ 黒銀箔 [1層] → 白マット箔 [2層] → 黒マット箔(文字) [3層]
⑦ 黒銀箔 [1層] → 白マット箔 [2層] → 白マット箔(文字) [3層]
⑧ LUMAFIN799 [1層] → パール箔 [2層] → 白マット箔(文字) [3層]

※ ポーラライトはすでにメーカー廃盤の希少な箔材。今回は特別にコスモテックに保管しているものを使用しました。

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写真は8パターン箔押しを終えた桐箱の天面板


白を中心としたパターン( ①~④ )は上品な仕上がり。
そして、黒銀箔( LUXOR-377 )をメインにしたものは重厚感があり、LUMAFIN799( 透明箔 )とパール箔の組み合わせはどちらも繊細な透過特性の箔の掛け合わせ表現と光沢感が相まって幻想的な美しい仕上がりになっております。

「 そもそも桐材に透過特性を持つ箔を箔押しすること自体、驚きですよね! 」 このように( 写真上 )箔同士の組み合わせによって印象がガラッと変わります。

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天面板の3層目には More than Textile の文字
そして、板の左下には株式会社細尾のロゴを箔押し加工

加工立ち会いのライブ感で生まれること

加工は箔色や各工程によって圧の加減を変えたり、白箔も艶のある白箔やマット調の白箔の2種類の白箔をミックスしたり、さらには国内の箔メーカー・海外の箔メーカーの箔材を混ぜ合わせて使用したりするなどしました。

加工立ち会いではデザイナーの森田さま、株式会社細尾のご担当者さまのこだわりがひしひしと感じられ、その思いに応えねば!と、より一層気が引き締まりました。

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3層の文字の色を何色の箔にするのかも加工立ち会い時に熟考( 写真上 )。
真ん中の黄色の箔は、なんと白箔を押した後に蛍光イエローの箔を見当合わせで上から重ね合わせての箔押し実験。

このように、加工立ち会いを通して、即興で、その場で仕様を変化させたり、決めたりを繰り返して形づくっていきました。まるで、ジャズのセッションような、実験のような感覚でワクワクします。

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すべてが一点ものであること

先にも書きましたが、金属版は天板で3版、底板で2版の計5版を使用しています。 「 桐材 」のような木材への箔押し加工では、金属版そのものに強度がないと木目の凹凸によって金属版に簡単にキズや凹みができてしまうため、今回は耐久性のある銅版を使用し加工しています。

そして、デザイナーの森田さまがデザインした天板と底板のテクスチャーは実はどちらも見当合わせ( 位置合わせ )の図案になっているため、箔押し位置に特に注意をはらいながら、一点一点手作業で加工にあたっております。

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木の素材は一枚一枚表面の凹凸がすべて異なるため、必ず箔がかすれる部分が出てしまいます。しかし、そのかすれ具合も一枚一枚表情が異なり、木の素材ならではの味わいのある表情を出し、『 HOSOO FABRIC BOX 』 のすべてが一点ものの仕上がりとなります。

いったいこの箔押しの桐箱に、細尾さまのどんな美しい西陣織が納められるのか… その姿を想像するだけでワクワクします。

デザイナーの森田さま、株式会社細尾のご担当者さま、この度は加工立ち会いに足を運んでくださり、また加工のお手伝いをさせていただきまして、ありがとうございました!! 

【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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