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宇宙ベンチャーの総務は、日常業務から取材対応まで、なんでも対応します!

テラスペース 総務経理広報 
今村誠子さん

(プロフィール)
テラスペース株式会社での、総務経理広報を担当。テラスペース株式会社は、2020年2月設立の宇宙ベンチャーで、人工衛星の企画開発を行っている。2021年2月1日には、世界遺産 京都醍醐寺と人工衛星による宇宙寺院の開発と打ち上げに向け業務技術提携を行ったというニュースが発表となり、まさに今話題の宇宙ベンチャーです。


【現在の仕事内容】宇宙ベンチャーの中で、文字通りの「総務」

――今のお仕事の内容から、まずは教えてください。

総務と経理、あと少し広報をやらせていただいてます。人数が少ないので、わたしのできる範囲で、何でもします。


――総務というと、まさに「総」という字のごとく、仕事の範囲は広いですよね。

はい、社内で事務の人間がわたしだけなので、社会保険の加入手続きから物資調達まで、技術系以外のことはなんでも、ということになりますね。


――特殊な機器の購入など、専門知識が必要なことはありますか?

特殊なことは、そんなにありません。たとえば専門的な知識が必要とされるものを買う場合は、技術者が選定してくださって、わたしは発注の手配だけする、ということになります。
先日、「こういうクリーンブース探してるんだけど」と言われて、サイズを聞いて見積もりとってということはしましたね。それも具体的な指示があるし、迷うことが出てきたら、声をかけやすいので。
特別なことはないですね。


――今の会社に入る前も、総務のお仕事をされていたんですか?

はい、そうです。
テラスペースの前職はIT系の会社で、13~4年勤めましたが、最後は総務にいました。そこでも、総務ってほんとに動ける人はひとりぐらいだったので、何でもするのが当たり前と言いますか。
今もわたしがほぼ一人で切り盛りしていますが、特に困っていることはないです。


――総務のお仕事って、働く人の後方部隊として応援するというか、そういう部分がありますね。
1日の流れはどのようなスケジュールですか?

一応9時が出社時刻ですが、少し早めに来て必要があれば社内の掃除をして、みんなで飲むコーヒーを淹れています。
9時からは、急ぎのものから片づけていくって感じですね。会社に届くメールは自分のスマホに転送もしているので、ふだんから自宅でもチェックしたりしています。かなりやることが細かくて多いので、タスク管理しないとすぐに忘れてしまうんです。
だから、朝来たら今日の日付に入っているタスクを順にやっていく、という感じです。

それと、2月1日に新しくプレスリリースを出してからは、お問い合わせが増えていて、最近はメールも含めてその対応をします。急ぎのものは午前中に片付けるようにしています。


――お問い合わせってどんなことが多いですか?

プレスリリースに関することが多いですね。取材対応などもあります。
今は、新しく浄天院劫蘊寺のサイトを立ち上げたので、たくさんお問い合わせをいただいています。ボランティアの方を募集しているので、応募対応もあります。

それから、経理関連の業務も出来るだけ午前中にしています。振り込みや、経理ソフトの整理などですね。
ランチ休憩はだいたい12時ぐらいからとっています。買ってきて、席で食べることが多いです。今は人が社内に少ないので、いつもいるのはわたしとエンジニアの方1人くらいだから。

午後も引き続き、タスクに入っていることをこなしつつ、お問い合わせ対応をしていると、あっという間に終業時刻の5時になる、という感じです。


――残業はありますか?

そんなにないですね。土日は基本的に休みですが、土曜日に会議がある場合もあります。今、社外にもご協力くださってる方もいらっしゃるので、会議はZoomを使います。平日も週に1回くらいはZoomでの会議があります。


――忙しい日と余裕のある日、そういう波はありますか?

最近は忙しくなりました。宇宙法要があった時は、 YouTube のライブ配信もしました。規模が小さい会社だから、何でも自分たちでやるんですよね。YouTube のライブ配信も、チャンネル設定なども調べながら手探りでやっていく、という感じで。
これやるぞ!となったら、どうやったらできるのかを調べたり。そういう仕事がよく入ってきます。


【宇宙と携わるきっかけ】たまたまのご縁からの「宇宙」業界

――そもそも、宇宙ベンチャーの総務に就いたきっかけは?

今の社長は前職のころからお付き合いがあって、「宇宙の事業するんで、よかったら手伝ってくれへんか」ということで、今の会社に呼ばれたんです。


――そうだったんですね、いきなり「宇宙」で不安はなかったですか?

仕事の内容は事務系で、総務や経理なので、特に不安はなかったです。
「宇宙」についてもですが、 ITの会社にいた時も、ITについて全く詳しくないんです。
でも、わからないから恥ずかしいとは思わなくて、わからなかったら聞いたらいいかなと思っています。宇宙の事も、技術の方がわかりやすく話してくださるんですよ。


――それを聞くと、これから宇宙の仕事にトライしてみよう!と思っている人の励みになりますね。
仕事でのやりがいを感じるのはどんなときですか?

そうですね、新しいことをするときですかね。
ちょっと宇宙とは関係ないかもしれないですけど、さっきの話の YouTubeチャンネルの開設なども、調べて仕組みがわかっていくのが、やっぱりおもしろいです。
多分、社内の環境がいいから楽しいと思えるんでしょうね。

新しいことだから心配、というのではなくて、新しいことだからちょっとワクワク、というのは、長年働いてきたから思うのかもしれないです。
社会人1~2年目のころだったら不安に思ってたかもしれないですけど。もともとは、そんな前向きな性格ではないんですよ。
でも、自分ひとりではできないことでも、誰かに聞いたり助けてもらったりで、なんとか乗り越えられるかな、と思えるようになりました。


――では、逆に仕事で大変だと思うことはありますか

多岐にわたる仕事がとても多いこと、ですかね。
メールだけでもものすごい量だから、漏れがないか、いつもかなり気になってます。自宅にいても、「あ!あれ忘れてた」とか、「TODO入れとかないと」、と考えています。

それから、経理は初めてなので、支払いミスがあったらどうしようとか、そうしたことが一番心配ですね。普通の連絡だったら多少遅れても大丈夫かもしれませんが、振込だけは「遅れちゃいました!」というわけにはいかないですから。
今のところ、そうしたチェックも自分1人でしなくちゃならない、というプレッシャーはあります。

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会社の中からのワンショット。ロケットの模型も置いてあります。


初めて、広報に携わってみた、ワクワク感

――これまでで一番印象に残ってる仕事は何ですか?

昨年末ぐらいから、広報に少し携わらせてもらったんですけど、これも初のことだったので。仕組みと言うか、あーこういうのを使って情報配信するんだ、ということも全然知らなかったんです。
2月に出した3回目のプレスリリースが、かなり反響があったので印象に残っています。そこからお問い合わせがすごく増えました。


――取材対応もたくさんありますよね。 

動画系だと、Abema TVなどのインターネットメディアや、「バラいろダンディ」などの地上波バラエティとか、 NHKもありました。雑誌や新聞、Webメディアも多いです。

2月8日に「宇宙法要」の中継をしたときは、テレビ局の取材もあって、多分夕方のニュースで流してくださったはず。ネットニュースでは、トップに出ることもありました。プレスリリースを打った甲斐があった、と思いましたね。

今もたまに取材のお申し込みをいただくので、このまま順調に広報ができるといいなと思っています。


みんな「宇宙が好き」でつながっている居心地の良さ

――ベンチャーならではの雰囲気、ってありますか?

前身のIT会社は100人ほどの規模で、そこからのベンチャー立ち上げでしたが、社長はいくつかの会社を運営しているので、そのひとつ、という感じですね。ベンチャーというと若い人が一念発起して起業する、というイメージがあるかもしれないですけど。

宇宙が好きで、宇宙を目指す夢がある、ということが、社員みんな一緒の想いで、技術の方も、経験がある人が集まったという感じなんです。
だから、仕事以外でも和気あいあいとしていますね。宇宙が好きな人同士の共通の話題がたくさんあって、スターウォーズが好きとか。そういう話をよくされています。

社外の関係者、ボランティアや協力してくださってる方々も、みんな「宇宙好き」というキーワードで一丸となっていますね。わたしが一番、宇宙については知らないです。


――今村さんは、宇宙について最初は特に興味があったわけではなかったんですね。

そうですね。今は、あまり知らないのも、と思って、会社にある本などは読ませてもらっています。
最近読んだ本だと『宇宙のがっこう』(JAXA宇宙教育センター監修、NHK出版 編)。子供向けの本なのですが、「簡単にわかる」とか書いてあっても、けっこう難しいんですよ。

あとは、『人工衛星をつくる−設計から打ち上げまで−』(宮崎康行 著)難しいんですけど、普段飛び交っている言葉が具体的に出てきて参考にさせていただいています。
『小さな宇宙ベンジャーが起こしたキセキ』(永崎将利 著)これは、とてもおもしろかったです。日本初の「宇宙商社」Space BD株式会社代表取締役社長のお話になります。

周りの人からも、「これ読んでみて」と勧められたりもしています。
いつも社長は「スターウォーズ」と「2001年宇宙の旅」について、語っています(笑)。

そういえば、最近、映画「ガガーリン 世界を変えた108分」を見たんですよ。それから、「はやぶさ/HAYABUSA」。関わる前に観ておいたほうがいいかと思って、勧められてはいないけど観ました。

お問い合わせを受けた時に、プレスリリースに書いてある範囲のことならすぐ対応できるのですが、書いてないことについての場合は、技術の方にお願いしています。とはいえ、窓口となる私も、少し勉強しておかないと、と思っています。

最近は特に、英語の必要性も感じています。今、ボランティアの募集は、日本語でしか出していませんが、けっこう海外の方から応募があって、わたしが対応しなくてはならないんです。
周りの人の助けも借りていますが、少しずつでも英語のビジネス文書もわかるようになりたいと……。


――ホームページへの英語でのお問い合わせ対応もありますよね。

祈願の受付がありますね。
英語で発信してないにもかかわらず、海外から祈願したいというオファーがあるんです。会社としても、海外の方にも対応したいと考えているようなので、どうやって勉強したらいいかなと…。
今は、毎朝ジムに行く前の30分間は英語のYouTubeを観るようにしています。

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会社の本棚には宇宙関係の本が揃っています。


【プライベート】業種は特に考える余裕もなく就いた仕事だった

――学生時代は、特に宇宙に関係するような勉強をされてきたわけではないんですね?

特に関係はなかったです。働く、ということについても、働かざるをえない状況で働き始めて、落ち着いたのがたまたまIT系だった、という感じです。


――ITの会社の前は、どういったお仕事だったんですか?

その前は働いていなかったんです。短大を卒業してすぐに結婚して、23歳で出産して、アルバイトの経験はありますが。
離婚することになって、「働かなあかん」って、がんばって働きだしました。そこからずっと働いています。

はじめの就職の条件は、子どものお迎えに行けること。そんな状況だったから、業種とかは見ていませんでした。
今はもう、子どもも育ったので、制約は特にありません。


――プライベートなお話もしてくださってありがとうございます。そこから、個人的なお話をもう少し……。リフレッシュ方法や趣味は?

特にのめり込んでいる趣味というものはないんですが、リフレッシュといえばお酒飲むことぐらいですかね。
一人で飲みに行ったり、たまに仕事で知り合った方と飲みに行ったりもあります。会社の飲み会も、以前はありました。
最近、大きい集まりとかはできないですけど、たまに行きます。会社近くの飲食店とかで。

それから、今年に入ってからは、ジムに通っています。
去年の11月に新たに開発室ができて、ここが自宅からとても近いのです。おかげで出勤時刻まで余裕ができたので、朝、会社近くのジムに行って、それから仕事開始というスケジュールになりました。


――すごい健康的。毎日ですか?

毎日です。朝行けなかったときは、お昼休みか夕方に行きます。今まで全然運動しなかったので、軽く動くくらいなんですが、体が軽くなりましたよ。
といっても、1月からなので、まだ2カ月くらいなんですけどね。


――素晴らしいですね。そんな今村さんが尊敬する人は?

両親ですかね。心が平穏というか、不満もめったに言わない人たちで、そこは自分にないところなので尊敬します。

あとホリエモンさん。
仕事で宇宙にかかわりがないころから。嫌な人というイメージがある人もいるみたいですけど、発信していることをこまめにチェックしていると、いい方だなと感じます。お会いしたことはないですけどね。
先日出したリリースに関しても、「ホリエモンさんもおもしろいって言ってはるよ」と人伝えに聞いて、すごい嬉しかった。いつか会えるかもしれない、と期待しています。

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リフレッシュのお酒。飲み会の場でも宇宙の話で盛り上がります。


【これから宇宙を目指す方へ】

――先ほどのお話で、業種は特に考えなかった、ということですが、立ち上げたばかりの宇宙ベンチャーで働くことに関して、こういう人が向いているといったことがあれば、教えてほしいです。

なんでもやってみようという方のほうが、こうした少人数の会社には向いていると思います。
何かを言われた時に、やってみる前から、「自分はやったことないし、できそうにない」と思ってしまう人だと、つらいかもしれません。自分の範囲外と思ってやることが狭まっちゃうともったいないな、とも思います。

もし、一緒に働いてくださる方がいらしたら、そういう柔軟性のある方がありがたいですね。
それと、コミュニケーション力とかも大事です。少人数だからこそ、人間関係がうまくいかないと働きにくいですし、わからないことは、まめに確認することが必要。
自分で確認して動くことができる人、ということは大切かもしれません。


――今後、今村さんのように宇宙ベンチャーで総務・経理といったお仕事も需要が増えるんじゃないかと思うのですが…。

他社のことはわからないんですが、みなさん、どんなふうにされているんでしょうね。おそらくですが、宇宙系ベンチャーだと、総務としての部署は置かずに、全部社長さんがやっているところも多いかもしれないですね。ある程度規模が大きくなってきたら、専任の部署があるかもしれませんが。


――たしかに。そういうベンチャーも今後増えるでしょうし、宇宙関係の広報とか総務とかされている方の交流会とかあってもおもしろそうですよね。

そういえば、コスモ女子さんは、noteを活用されてたり、TwitterをはじめSNSの発信をよくされていますよね。うちの会社はそうした発信がまだ弱いので、どうしたらうまくアピールできるのかを考え中です。

わたしはSNSの発信や、文章を書くことが得意ではないので。
本当はホームページのブログも頻繁に更新しないといけないんですが…、そのあたりをもう少し力を入れていきたいです。


――今村さんの今後の目標をぜひ聞かせてください。

わたし自身の夢というのは特にないんですが、一緒に仕事をしているみなさんの「宇宙を目指す!」という夢に乗せてもらっている感覚です。自分の夢が仮になくても、人の夢で輝くことも可能だと思っています。
だからこそ、宇宙の知識が特にない方でも、興味があるのなら、ぜひ宇宙関係のお仕事についてほしいなと思います。

一見、総務や経理の仕事は宇宙に関係がなさそうですが、宇宙を目指すという夢のためには不可欠な仕事です。わたしが努力をすることが、みなさんの夢に貢献すると思ってこれからも仕事をしていきたいと思います。


――最後に、宇宙業界を目指す方にメッセージをお願いします!

宇宙に関する仕事をしたいと思ってはる方なら、だめもとでもいろいろ応募してみたらいいと思います、今なら。自分で行動したら、何か変わるかもしれないし。

それと、気持ちよく自分が働きたいということが一番ですかね。あまり考えすぎないで新しいことどんどん挑戦してください!

――ありがとうございました。


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〇宇宙のお仕事図鑑とは?

このプロジェクトのきっかけは、「宇宙関係の仕事につきたかったけど、宇宙飛行士や天文学者しか知らなかった。」という声がコスモ女子のメンバーからたくさんあがったことでした。
宇宙のお仕事図鑑では、宇宙関連のお仕事をされている方々に取材をした記事を発信していきます。
文系の職種も理系の職種も(文理で区分する必要もないかもしれません)、大きな組織の中でのお仕事から、宇宙ベンチャーや個人でのお仕事まで、「宇宙のお仕事」をこのnoteで発信していきます。

〇コスモ女子とは?

「コスモ女子」は、宇宙業界で活躍したい女性中心のコミュニティです。

宇宙に関する知識を身につける「宇宙の基礎講座」や、宇宙に詳しくなくても楽しめる交流会などのイベントを毎月開催!

コスモ女子から発足した、コスモ女子アマチュア無線クラブが人工衛星を2024年に打ち上げる予定です。

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