図書館における視覚障害対応サービス

ひとまず国の枠付けにおける『視覚障害』枠としての手帳取得が実質難しいとわかり、そちらは長期戦と覚悟をしつつも、では極力手帳未取得であっても何とかして現時点からでも日常の生活の安全確保向上、QOLの維持向上、(手帳なしの状態では視覚障害を認知してもらっての就労も不可能であるため)自らの中にあるものを使って活動する他ない、そのための作業・活動を可能とするための手段を如何に集めるか、と、動き出している昨今。

複数の就労支援施設に行き(身体手帳なしでは利用不可と軒並み言われ)、

次に精神障害者生活支援センターへ行き(身体手帳なしでは実質ほとんど役に立てないと言われ)、

心療眼科の権威にお目通り叶い(しかし『眼科』から診断書や意見書を出しても国には何の効果もない実質何もできないと言われ)、

片道2時間かけて眼球使用困難症NPOに行き(相談には乗ってくださったが複雑ケースなのでほとんど助言できないと言われ)、

眼球使用困難症候群ネットワーク(自助団体)の無料ピアサポートに電話をかけ(相談に乗っていただき)、

NPOでもしかしたらと教えていただいた日本点字図書館に行き…そこでひとまず4月から点字教室を利用・月3回ほどなら対面朗読サービスも利用できることとなり、

…そして、本日(記事投稿日とは異なっております)、とある情報を得てもしかしたらと、近所の台東区立図書館へ突撃し、視覚障害者支援サービスについて尋ねてみた(Websiteで調べて行ったら利用申請書類に記載の上持参と書いてあったのだが、それ自体がまず大変なのだ)。

すると、親切に別室に案内してくれ…実はこの時、担当者に代わった途端に第一声に「本日手帳お持ちですか?」と聞かれ、私から先に聴取した職員が「持って(取得して)おられないようです」と言うと「あ、本日お持ちでないですか、はい」というやりとりがあったので、びくっとしたのだが…

まあ案内してくれるのだから、ともかく行けるところまで突っ込もうと思い。別室に案内してくださり、そこで対面朗読サービス、デイジー版図書と再生機器の貸出の説明、点字図書貸出の説明をしてくださった。

いざでは書類を書きましょうという段になって、念のため先に「手帳の有無や等級は問わない、と書いてありましたが…」とおずおずと切り出すと、「はい。問いません。」と。

活字を読めないのは、視覚障害だけではない、と。

手帳を取得できないけれども活字で本を読むことが難しい人もいますし、視覚自体に問題はなくても識字障害などの場合もある。そのため直接お話を伺って、明らかに必要と判断されればご利用登録可能です、と言ってくださった。

書く項目や枠位置など指示してもらいながら書類を記入し、デイジー再生機器をさっそく触らせて説明してくださった。

試しにデイジー図書を持ってきて、手続きで待っている間、実際使って試させてくださった。

デイジー版になっている図書自体は非常に少ないが、それでも、こんな、完全に耳と手の感覚(ボタンの位置を覚えるだけ、その上、何か押すと音声ガイドしてくれる)だけで読書ができるとは。

かつての人生、人生の時間でフィクションの読書などすることは論外、よほど本当に必要に駆られた教科書などしか読書には使えないと思っていたが、これなら小説など読んでみるのも良いなと、俄然興味も沸いた。やはり、子どもの頃から家族には推奨されながらも読書を敬遠していたのは(しかし読書自体は決して嫌いではなかった)、やはり視機能の問題だったのだと改めて感じた。

先日日点で、視覚など使わずとも文字くらい読めるようになりたい(点字で)と痛感したが、本日、まさに視覚を使わずに書籍を読むことができていることを実感した(しかもデイジーは、章ごとに選んだり細かく巻き戻し先飛ばしなどで場所を探したり、速度も変えることができるので速聴を鍛えれば視覚的速さでも聞くことができる)。

まるで思わず衝撃体験をし、いちもにもなく貸出を依頼し、機械に空きもあったためその場で貸与していただくことができた。
(同時に、長期貸出可能とのことだったのだが、機械に空きがすぐにあったということは、当事者たちはこの制度を知らない人が多いのだろうな、とも感じた。)

デイジー版図書になっているもので興味のあるものはさすがにほとんどなかったが、しかし機器の操作の練習も兼ね、デイジー図書「ギリシャ神話」も借りた。
その前に担当者に「心理や医学関係で何かありますか?」「ちょっとお待ちください…(目録ページを繰って)うーん…ほとんどないですねぇ…」「では…哲学は?」「外国文学、例えば仏文学なんかは?」…ことごとくデイジー化図書はほとんどないというやりとりをした後で、「心理学や哲学…とちょっと関連するところで言うと、『ギリシア神話』ってタイトルがありますけど」と、そこに繋がる思考回路・知識はさすが図書館員。

その図書館で、対面朗読サービスも、月1回ではあるが利用可能という。
対面朗読サービスに関しては、例えば自分に届いた手紙や明細、教科書など、図書館の書籍でなくとも持っていって構わない。

うまく利用すれば、交通費もかけて1時間はかかる日点までも行かずとも済むし、日点との併用もできる。

自ら可能性を閉ざさずとにかく見極めて動けば、必ず一歩一歩、活路を拓くことはできる。

感動とともに、ひしひしと体感した日だった。

さらに、デイジー図書は特殊な封筒(盲人用郵便)に入れて貸出してくれ、宛名カードを裏にひっくり返して(片側はこちらの住所、反対面は図書館住所が記載、しかもどちらかわかるように片面に点字を貼ってくれた)嵌めてポスト投函するだけで、郵送での貸与・返却も可能という。

予約は電話で可能(デイジー目録は一般非公開のためいずれにせよ電話のみかもしれない)。

また、もしこれは、使いようによっては、私自身の活動の助けともなるかもしれないと、工夫の可能性も見えて来た。

デイジー図書、存在自体は知ってはいたのだが、こんなに感激と活路を感じることとなるとは、まるで思ってもいなかった。

そして、また、「図書館」を利用する日々が来ることになるとは。

―写真はデイジー図書再生機器、その取扱説明書と取扱説明書音声CD版、デイジー図書目録・墨字テキスト冊子とデイジー版。

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